進撃の巨人 Attack Titan

進撃の巨人(しんげきのきょじん、Attack Titan, Shingeki No Kyojin)は、進撃の巨人に登場する9つの知性巨人のうちの1体。

いついかなる時代においても自由を求めて進み続けた巨人。

基本情報

名前
進撃の巨人
しんげきのきょじん
Attack Titan
Shingeki No Kyojin
歴代継承者
  • エルディア復権派のメンバー?
  • エレン・クルーガー(819年?)
  • グリシャ(832年)
  • エレン(845年)
体高15m
特徴
  • 未来の継承者の記憶を見ることが出来る

進撃の巨人の特性とは

121話「未来の記憶」でグリシャはこんなことを言いました。

「九つの巨人」にはそれぞれの特性がある… 私に宿る「進撃の巨人」にも

〜中略〜

「進撃の巨人」は未来の継承者の記憶をも覗き見ることができる… つまり未来を知ることが可能なのだ

進撃の巨人は「未来の継承者の記憶を見ることができる」ので、実質「未来を知る」ことが出来るのです

しかし、自分が見たい未来を自由自在に見られる訳ではありません。「未来の継承者の記憶」を見てわかる未来に限られます。

そして作中の描写から、登場人物は自分の中にある記憶を自由自在に見ることが出来ないのは明らかであり、進撃の巨人継承者も例外ではありません。

何かきっかけが無い限りは「未来の継承者の記憶」を見ることはないのです。

よってこれを自由自在に使える特殊な技術というような意味で「能力」と捉えるのは拡大解釈だと言えるでしょう。だからグリシャは「特性」と言っているのです。

好きなタイミングで自由に技を出す、という感じではないので、一般的な「能力」のイメージで捉えると重大な解釈間違いを起こすかもしれません。

未来の継承者の記憶「をも」と言っているのは、通常知性巨人が見られるのは過去の継承者の記憶だからだと考えられます。つまり進撃の巨人の継承者は、未来の継承者と過去の継承者の記憶を見られる、ということです。

自分の未来を直接見ることは出来ない

グリシャが進撃の巨人の特性によって見られるのは未来の継承者の記憶です。

つまり自分が死んだ後のエレンの記憶を見たとしても、自分が生きている間の未来のことはわからないということになります。当たり前の話ですが。

しかし記憶ツアーによって「エレン視点のグリシャの記憶」というのものが生まれたことで、グリシャは未来の継承者であるエレンの記憶を通じて自分の未来を知ることになったのです。

エレンが未来の記憶を見る仕組み

エレンが見た「未来の記憶」は、「未来の継承者の記憶」ではなく、「未来の自分の記憶」です。

  1. グリシャが「エレンの記憶(未来の継承者の記憶)」を見る ←進撃の巨人の力
  2. エレンが「グリシャの記憶(過去の継承者の記憶)」を見る ←知性巨人共通の力

エレンは直接「自分の未来の記憶」を見ている訳ではなく、あくまでもグリシャを経由して見ています。

ポイントは進撃の巨人の継承者が見ることが出来る「未来の記憶」はあくまでも「未来の継承者の記憶である」というところでしょう。

エレンの後に継承者がいなければ、エレンは未来の継承者の記憶を見ることはありません。つまり未来を知ることは出来ません。

しかしグリシャの記憶を通じて自分の記憶を見ることによって、未来を知ることができたのです。

未来の記憶を見る仕組み

進撃の巨人の「能力」にまつわる誤解

能力とは?

能力という言葉、そこからイメージされるものが元凶だと思います。

もし能力を「自由自在に発動できる特殊な力」というように解釈した場合、進撃の巨人に能力はないということになります。

あくまでも進撃の巨人の継承者たちはそういう境遇にある、というだけです。ただし自由自在に未来の継承者の記憶を見られる訳ではありません。

そういう境遇にあることを「能力がある」と解釈するのなら、能力はあるということになります。

ちなみに能力という言葉は作中でほとんど使われていません。ほとんどの場面で「力」という言い方をされています。

  • 巨人化の能力を有した人間(14巻57話・ハンジ)
  • 「進撃の巨人」に本当に時を超える能力があるのなら…(30巻121話・ジーク)

巨人化の能力は、条件さえ整えば知性巨人継承者は誰でも発動できるので一般的な能力のイメージ通りでしょう。ただし直後にハンジは「巨人化をコントロールする力」と言い直しています。

ジークのセリフは、あくまでも外から見ていた人間の想像であり仮定の話です。エレンはこれに一切返事をせず無視しています。

始祖ありき…?

「進撃の巨人に能力などなく、始祖の能力ありきの存在」という言い方をされることがあったりしますがこれは誤解です(完全にウソという訳ではありませんが)。

「始祖の巨人は記憶を見せることが可能」などとはどこにも書いていません。上の表現は仮定に仮定を重ねているだけなのです。

グリシャが進撃の巨人の継承者であることは間違いないでしょう。

グリシャが未来の継承者であるエレンの記憶を見たことも間違いないでしょう。

であれば、「進撃の巨人は未来の継承者の記憶を見ることができる」という表現は何も間違っていないということになります。

また、グリシャは「進撃の巨人だけが」とは言っていません。他にも未来の記憶を見ることができる存在はいるかもしれません(1話のエレンやアニメのファルコ)。

「能力」とか「固有能力」という言葉を使うからややこしいことになるのです。グリシャもエレンも「能力」とは言っていません。

グリシャが「未来視!オン!」などと言って能力を発動した場面があったでしょうか?ありませんよね。

「進撃の巨人の継承者であるグリシャは未来の継承者であるエレンの記憶を見た」という作中で描かれた結果をただ受け入れれば良いのです。勝手に要素を増やしたり減らしたりしてはいけません。

始祖の巨人が絡む話はもうちょっと複雑です。以下に続きます。

過去に干渉する能力?

グリシャやクルーガーがエレンの記憶を見たら、その時点で「未来が過去に干渉する」という現象は発生していることになります。

エレンに自覚があろうがなかろうが関係ありません。決め手はあくまでも過去の継承者が未来の継承者の記憶を見たり、その影響を受けて行動するかどうかです。

エレンが意識的にグリシャやクルーガーにはたらきかけるかどうかは絶対に必要な要素ではありません。

ユミルの民同士が道で繋がっていること、そしてそこに過去も未来もない(過去と未来が同時に存在している)からこそ、進撃の巨人の継承者は未来の継承者の記憶を見ることがあるのです。

そしてその中で進撃の巨人の継承者が未来の継承者の記憶を見るということが、「未来が過去に干渉する」ということになります。

道で繋がっている者たちが色々行動したら「過去干渉」はどこかしらで勝手に発生してしまう、構造上そうなっている、ということです。

よって、エレンが能力を使ってグリシャに干渉している、というような解釈は正確とは言えないでしょう。

そして、道の構造を支える存在が、始祖の巨人(座標)なのです。

「始祖の力がもたらす影響には過去も未来も無い…同時に存在する」とは?

エレンは「始祖の力がもたらす影響 には 過去も未来もない…同時に存在する」と言っています。

これは、なぜ進撃の巨人の継承者は未来の継承者の記憶を見るのか?という疑問に対する回答になっているでしょう。

注意しなければならないのは、「能力」という言葉は使われていないし、作中でエレンが自由自在に記憶を扱った場面は1つもない、ということです。

「始祖の巨人の能力によって過去の継承者に記憶を見せることが可能」などとは書かれていません。

エレンが「記憶送信!グリシャへ届け!」などと言って能力を発動した場面があったでしょうか?ありませんよね。

描かれたのは、「進撃の巨人の継承者が未来の継承者の記憶を見た」ということです。

書かれていることから想像する力もさることながら、書かれていないことをきちんと切り捨てる力もまた大切なのではないでしょうか。

「進撃の巨人は過去の継承者に記憶を選んで見せることができる」はウソ?

エレンもクルーガーもグリシャも「過去の継承者に自分の記憶を見せた(送った)」と明確にわかる描写は一切ありません。

ただこの3人が記憶を共有しているということがわかっているだけです。

描写がない以上、進撃の巨人には記憶を見せる(送信)能力など無い、と考えるべきでしょう。

グリシャが見ていた未来の記憶 in 記憶ツアー

もし記憶を送ることが出来るとしたら?

知性巨人継承者は、過去の継承者の記憶を自由自在に見ることは不可能です。

そんな状態で過去の継承者にどのような記憶を何の目的で送るのでしょうか?

過去の継承者の記憶を細部まで完璧に、しかも自由自在に見ることが出来るようになって初めて意味を持つ能力だなんて、漫画の設定としてイマイチ過ぎるでしょう。

しかもそれだと「過去改変」を想定することになる訳ですから、作中の描写と噛み合いません。

なぜ記憶を送ることが出来ると思われる?

それでもなぜか「進撃の巨人の固有能力は過去の継承者に記憶を見せること」だと解釈する人が多いのは、以下のようなセリフや描写が原因だと考えられます。

  • エレンがグリシャを操っているように見える
  • グリシャのセリフ「なぜ…すべてを見せてくれないんだ…」
  • ジークのセリフ『「進撃の巨人」に…本当に時を超える能力があるのなら…都合のいい記憶だけをグリシャに見せて影響を与えることも可能なはず…』

エレンがグリシャを操っているように見える

すべてエレンの思い通りにことが運んでいるように見えるのでしょう。

しかし、エレンはエレンでグリシャの影響を受けており、海に行く途中に遭遇した無垢の巨人を見て「オレ達の同胞だ」と言っています。

ある意味エレンもグリシャに操られているのです。

グリシャがフリーダを殺したことに、グリシャの意志が全く反映されていないのかといえばそんなことはないでしょう。

グリシャもフェイやダイナ、仲間たちに報いるためにも、エルディアの未来のためにも、やらなければならないと理解していたはずです。

何もかもエレンの思惑通りというのは大げさな解釈だと思います。

記憶ツアーで起きたこと

記憶ツアーで起きたことを整理します。

エレンはグリシャが髭面おじさんのジークに気づいたときに、『グリシャが「エレン視点のグリシャの記憶」を見ている(見ることになる)』と理解しました。

エレンはグリシャがどのような記憶を見ているのか全てを把握している訳ではありません。しかし、記憶ツアーの4年前の勲章授与式で礼拝堂地下の記憶は見ています。

つまり、エレンは礼拝堂地下の部分だけは絶対にグリシャが「エレン視点のグリシャの記憶」を見るとわかっているということです。

だからどんどんグリシャの記憶を見進めて、礼拝堂地下で「父さんが始めた物語だろ」と言ったのです。

結果的にグリシャは「エレンにとって都合のいい記憶を見る」ことになるので、ある意味「都合のいい記憶だけをグリシャに見せた」と言うことは出来るかもしれません。

ただし、そこに「記憶送信能力」など必要ないことは明らかでしょう。

なぜなら記憶を見ているのはグリシャ本人だからです。そこは疑いようがありません。

そして、このような状況になった原因は誰なのかと言えば、エレンをグリシャの記憶に連れ込んだジークです。

だからエレンは「感謝してるよ兄さん」と言ったのです。

なぜすべてを見せてくれないんだ&都合のいい記憶だけをグリシャに見せて〜

グリシャが「カルラの安否や壁が壊されること」の記憶を見られなかったのは、グリシャ本人がそのタイミングでシガンシナ区を離れてレイス家礼拝堂へ向かったからです。

「エレン視点のグリシャの記憶」に「カルラの安否や壁が壊されること」が含まれないのは当然のことなのです。

またグリシャのセリフ「なぜ…すべてを見せてくれないんだ…」は、「自分で見たいけど見られない」という意味です。

その証拠にグリシャが「先の記憶」を見た時は、「見た」と言っています。「見せられた」とか「送られてきた」とは言っていません。

またジークの言う「進撃の巨人に本当に時を超える能力があるのなら」の能力は、グリシャが言った「未来の継承者の記憶を見る」のことを指してます。「記憶送信能力」ではありません。

「都合のいい記憶だけをグリシャに見せて」というのも、グリシャが「未来の継承者の記憶を見る」ことで「実質そうなる」という話に過ぎないことは上で書いた通りです。

エレンは記憶ツアーによって発生した状況を巧みに利用しただけであり、「記憶を見せる」というようなありもしない能力を使った訳ではないのです。

関連

グリシャが見ていた未来の記憶 in 記憶ツアー

未来の記憶を見る仕組み

記憶を見せるのは進撃か始祖か

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