進撃の巨人「王政編」のあらすじを解説

進撃の巨人「王政編(13~18巻)」は、調査兵団と王政(中央政府)による「エレンとヒストリアの取り合い」です。これまで巨人とばかり戦っていましたが、相手が人間になります。

調査兵団の目的は一貫して「ウォール・マリア奪還」と「エレン宅の地下室へ行くこと」の2つ。

なぜかこれを阻もうとしてくる中央政府。彼らは一体何を企んでいるのでしょうか?

エレンが「叫びの力」を使えること(「巨人になれる」だけではない)、ヒストリアの生まれ(血統に秘密がある)。この2つが大きな鍵を握っています。

クーデターを企てるエルヴィン団長の狙い、相談を受けるピクシス司令の考え、敵となるケニー・アッカーマンや中央憲兵の兵士たちの言い分、それぞれの思惑が複雑に絡み合う大変興味深い内容です。

あらすじ

王政は直属の組織である中央第一憲兵を使ってエレンとヒストリアを攫おうとします。

この動きを察知していた調査兵団は新リヴァイ班を結成。メンバーはエレン、ミカサ、アルミン、ヒストリア、コニー、ジャン、サシャ。

リヴァイ班はエレンの硬質化の実験も兼ねて人里離れた山奥の一軒家で活動中。

ニック司祭の殺害

ある日、ニック司祭殺害の知らせが飛び込んできます。調査兵団にとってニック司祭は壁の謎やヒストリアの秘密を知る重要人物です。

中央憲兵がニック司祭からエレンとヒストリアの居場所を聞き出そうと拷問したものの最後まで喋らなかったために殺害されたものと思われます。

ニック司祭はトロスト区で女型の巨人との戦闘の後に調査兵団と接触して共に行動しています。その時点で身の危険があったため、ハンジは特別に住居を用意して匿っていたのですが、見つかってしまったわけです。

ニック司祭殺害の件でハンジは責任を感じ、エレンの実験を続ければいずれリヴァイ班の居場所も見つかってしまうと慎重な姿勢を見せます。しかし、リヴァイに説得され、実験続行と王政への対策を同時進行することを決意。

ヒストリア出生の秘密

ヒストリアが自分の生い立ちについてリヴァイ班のメンバーに話します。

幼少期、ヒストリアは母親と祖父母と共に暮らしており、父親には会ったことがありませんでした。そこでの暮らしは孤独で、身内からは疎まれていました。理由は彼女が貴族の妾の子供だったからです。

854年。ウォール・マリアが突破されたあの日、ヒストリアの父ロッド・レイスが中央憲兵と共に彼女の前に現れました。目の前で中央憲兵により母親は殺され、ヒストリアも殺されそうになりますが、ロッドによって止められます。

ヒストリアは名前をクリスタと変え、生きることを許されました。

エルヴィンのクーデター

エルヴィンはナイルと共に王都へ。ここで何をしたのか詳細は明かされていませんが、エルヴィンは貴族たちの様子を見て、彼らは自分の財産を守ることしか頭になく、人類の未来を託す存在としてふさわしくないと判断した模様。

エルヴィンの中では、エレンの引き渡しの件などいくら不条理なことがあっても王政に何か考えがあってのことでは、という部分があったのでしょう。しかし、何もないことが今回はっきりした。

ウォール・マリア奪還を実現するには調査兵団が主導権を握らなければいけない。そのためにはクーデターを起こすしかない。これがエルヴィンの結論です。

以降、クーデターに突き進んでいきます。

ジャンとアルミンの替え玉作戦

クーデター作戦はリヴァイ班にも伝わり、さっそく行動開始。拠点を山奥からトロスト区へ移動。エレンとヒストリアを狙う中央に対して、こちらから仕掛ける作戦です。

リヴァイ班は、ジャンとアルミンをエレンとヒストリアの替え玉にして、わざと敵に捕まって敵の正体を暴こうとします。

そして、犯人リーブス商会であることが判明。リヴァイはリーブス会長に交渉を持ちかけ、手を組むことになりました。

あえてエレンとヒストリアを引き渡し、後をつけようと作戦を立てます。

ヒストリアが真の王家の血筋であることが判明

リーブス商会の協力により、ニック司祭を拷問して殺害した中央第一憲兵のサネスを誘拐。ハンジとリヴァイが拷問し、本当の王家はレイス家であることを吐かせます。

これはつまりヒストリアの父ロッドが真の王であり、彼女は王家の血筋であるということです。

エルヴィンの狙い

エルヴィンの作戦はヒストリアを女王にすることで壁内の支配者を変え、自分たち調査兵団の都合の良いように統率しようというものだったことが明らかになります。

武力で中央を倒すのではなく、本来あるべき支配者を立てることで自分たちの正当性を示すということです。

ヒストリアはこの計画を聞かされ驚き、自分には出来ないと躊躇しますが、リヴァイに脅されて了承します。

エルヴィンの夢

エルヴィンはこの作戦をピクシス司令に相談中、自身の夢について話します。

エルヴィンの夢は、教師であった父の仮説「壁の中の人類は記憶を改竄されており、壁の外にも人類がいる」を証明することでした。ラガコ村での一件で、おそらく巨人の正体は人であると説明されたときにエルヴィンが思わず笑ってしまったのはこの夢に一歩近づいたと確信したからです。

エルヴィンとピクシス司令の交渉決裂

ピクシス司令は非常に保守的な人間です。エルヴィンのクーデターの計画を聞き、ヒストリアが真の女王であることが判明してもなお、はっきりと賛成の意思を示しませんでした。

ピクシスは、人類の未来のために支配者として相応しいのは現在の王政なのか、自分たちなのか決めあぐねている様子です。

巨人の脅威はあるとはいえ、現在の王政は曲がりなりにも100年以上続いており、それなりに平和を保ってきました。それが急に自分たちが実権を握ったところで状況が好転する保証はありません。仮にウォール・マリアを奪還出来たとしても、その後の運営に関しては未知の部分も多いです。

そういった理由から、ピクシス司令は態度を保留します。

エレンが食われる可能性が浮上

エレンはライナーとベルトルトに攫われていたときの会話を思い出します。ユミルとベルトルトが「ユミルがマルセルを食った」と話していた部分です。

これを聞いたハンジは「エレンが食われる」こと危惧します。知性巨人の能力は捕食して継承されるのであれば、王政はエレンではなく別な人間を巨人として保持したいと考えるはずだからです。

ハンジはエルヴィンにこのことを報告し、作戦中止を訴えます。ほんの少しの間でもエレンの身が敵に渡っている状態は危険です。

エレンとヒストリアが本当に攫われ、調査兵団は追われる立場に

しかし、時既に遅し。エレンとヒストリアをリーブス商会に引き渡され、しかもそこに中央第一憲兵のケニー・アッカーマンが現れリーブス会長と子分たちを殺害。2人は本当に攫われていしまいます。

リーブス会長が寝返っていたことがバレていたのです。

中央憲兵はリーブス会長を殺害したのは調査兵団であることにし、エルヴィンが逮捕されてしまいます。そして調査兵団は活動停止、追われる立場となり、まともに行動できなくなってしまいました。

リヴァイ班 VS ケニー・アッカーマン部隊

中央憲兵に攫われたエレンとヒストリアを密かに追跡していたリヴァイ班のメンバー。

しかし、リヴァイの育ての親であるケニー・アッカーマン率いる中央憲兵の部隊に阻まれ、街中で戦闘。2人を逃してしまいます。

アルミンはこの戦闘で初めて人を殺し、ジャンは逆に殺人を躊躇したことで命の危険に晒され、思い悩むことに。

ハンジとフレーゲルと新聞記者

ハンジはリヴァイ班と別行動。リーブス会長殺害の時に偶然逃れた息子フレーゲルと新聞記者を味方につけ、王政の不正を暴こうとします。

フレーゲルはリーブス会長殺害の「真実」を知る存在のため、中央憲兵に命を狙われていました。そこであえてフレーゲルは街中で中央憲兵に捕まり、何も知らないふりをして最後の情けにと憲兵の口から真相を聞き出すことに成功。

一連の出来事を影で見ていた市民たちは証人となりました。

王政貴族の本当の姿がバレてしまう

エルヴィンが死刑になる直前、ウォール・ローゼが破壊された知らせが届きます。

兵士たちはウォール・シーナへ住民を避難させようとしますが、王政府は拒否。これによって王政府がいかに自分たちのことしか考えていない最低な集団かはっきりとしました。

直後、ウォール・ローゼ破壊はピクシス司令とザックレー総統が仕組んだ嘘情報であったことが明かされます。

フレーゲルの件、王政府の判断、偽り王、一連の出来事が記事になり、クーデターは無事成功。

ハンジはリヴァイ班に合流しクーデター成功を報告。エルヴィンの事前調査からエレンとヒストリアの居場所を推測し、レイス家の教会を目指すことになりました。

エレンの巨人化能力の秘密が判明

一方その頃、エレンはレイス家の教会地下で拘束されていました。

ヒストリアとロッドはエレンの背中に触れたことで「記憶の蓋」が開きます。

エレンが見た記憶は父グリシャのもの。ウォール・マリアが破壊された日にレイス家の教会を訪れ、ヒストリアの姉フリーダを殺し「始祖の巨人」を奪い、一家を惨殺していたことが判明。一方、ヒストリアの記憶も蘇り、姉フリーダと過ごした幼い日々のことを思い出します。

※このときグリシャが何のためにフリーダを殺し始祖の巨人を奪ったのかはロッドも分かっていません。

ロッドの超大型巨人

レイス家は王家の一族として「始祖の巨人」を代々継承してきたこと、「始祖の巨人」は王族でないと真の力を発揮できないことから、エレンが始祖の力を保持している現状は好ましくないというのがロッドの主張。

ロッドは我が子ヒストリアを巨人化させ、エレンを食わせようとします。ヒストリアは一旦受け入れるものの、最終的に拒否しました。

逆上し我を失ったロッドは注射の液体を舐め、巨人化。あまりにも大きいため洞窟が壊れ始めます。

そこへリヴァイ班が到着。エレンは、ヨロイブラウンと書いてある瓶の中の液体を飲んで巨人化し、硬質化能力を使ってみんなを守りました。

巨人化したロッドはオルブド区へ向かって這いつくばって進行中。ここでエルヴィンが合流し、巨人を倒す作戦を立てます。

オルブド区壁上で巨人を迎え入れた兵士たちは順調に作戦を進め、最後はヒストリアが自らトドメを刺して決着。

住民たちがヒストリアの戦う姿を直接目にしたことで、女王戴冠もスムーズに進み、クーデターは完全に成功となりました。

ケニーとリヴァイの関係

事後処理にあたっていたリヴァイがケニーを発見。ロッドの巨人化に巻き込まれた重傷を負っていました。

ここでケニーとウーリとの回想を経て、かの名言「みんな何かに酔っ払ってねぇとやってらんなかったんだな」が飛び出します。

ケニーはロッドから巨人化注射を盗んでおり、巨人の力を奪うタイミングを図っていましたが、結局実現できず。最後はその注射を甥であるリヴァイに託し息を引き取ります。

ウォール・マリア奪還へ

エレンは地下洞窟でヨロイブラウンの液体を摂取して硬質化能力を手に入れました。

これで壁の穴を塞ぐ目処が立ち、いよいよウォール・マリア奪還も現実味を帯びてきたことになります。

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