始祖ユミルが王を庇わなかった描写の意味。なぜ巨人の力が消えたのか

最終話で描かれた始祖ユミルが王を庇わなかったコマ(単行本加筆部分)はどのような意味を持つのでしょうか?

過去改変?妄想?世界が分岐した?

始祖ユミルが王を庇わなかった

©諫山創 講談社 進撃の巨人 34巻最終話「あの丘の木に向かって」

見方によっては、始祖ユミルが王を庇わず娘たちに巨人が継承される過去が変わったことによってユミルの民の巨人化能力が消えた、と解釈できるかもしれません。

しかし、過去が変わってしまったのであれば、当然2000年分の歴史も変わり、ミカサやアルミンらユミルの民の存在がなかったことになってしまいます。

それはおかしいというのは誰もが感じることだと思いますが、ではどうやって折り合いをつければ良いのでしょうか?

結論としては、始祖ユミルという存在は、言葉を選ばずに言えばユミルの民全員がもれなく保持しているウィルスとか病原菌のようなもので、その状態が変わったから巨人の力が消えたということになります。それを映像化しているのがあのコマだということです。

ユミルの民から巨人の力が消えた仕組み

始祖ユミルは天界からユミルの民を見下ろしているような1対多のイメージではなく、彼女のコピーがユミルの民1人1人の中にいるという感じです。

そうであれば、始祖ユミルの状態が変わったことによって、それに連動してユミルの民の体質が変わるというのも、ファンタジーとはいえごく自然なことだと感じられると思います。

始祖ユミルはユミルの民1人1人の中にいる…のイメージ

このように考えれば、あの一連の描写は過去が変わったという意味ではなく、現在進行系でユミルの民の状態が変わったもの、ということになります。

過去改変でもないし、世界が枝別れしたのでもないし、しかも単なる妄想ではなく、その中身が現実世界にしっかり反映される描写だったのです。

これでモヤモヤが解消されるのではないでしょうか。

全にして一、一にして全…みたいな感じで、1人1人のユミルの民はあの座標系(始祖を起点とする道の繋がり)の一部でありながら、同時にその座標系を体の中に持っている、と考えられます。

ユミルの民が巨人になるのは、始祖ユミルがずっと「悪夢」を見ていたからです。その「悪夢」がユミルの民1人1人の心(体?)の中にあり、特定の条件を満たすと「強くて大きな存在」のイメージが具現化して巨人になってしまう、ということなのだと思います。

そんな悪夢から始祖ユミルを解放したのがミカサ(&エレン他仲間たち)です。始祖ユミルはエレン達の行動を見て、特にアルミンとジークの影響で王への愛に執着して見失っていた娘たちの大切さを再認識し、ミカサが呈した愛する人を殺すという選択によって悪夢から解放された、ということでしょう。

最後にミカサは「おやすみなさい」と言いましたが、これは始祖ユミルがユミルの民の体の中から完全に消えた訳ではない、つまりその存在を否定しない、ということを示していると思われます。

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