進撃の巨人2000年問題「二千年後の君へ」の年数はぴったりなのか?
「二千年後の君へ(二千年前の君から)」の年数は、果たしてぴったり2000年なのでしょうか?それとも約2000年なのでしょうか?
ぴったり2000年説を後押しする根拠として、しばしば取り上げられる2つの有名な計算式があります。
122話「二千年前の君から」公開以前は①が、公開以降は②が有力視されているように思います。
しかし、この2つの式に登場する 13、1885、102 という3つ数字ですが、実はそれほど信頼できるものではありません。
野暮かもしれませんがこれらを真面目に分析し、新たな計算式を生み出したいと思います。
※↓結論
©諫山創 講談社 進撃の巨人 29巻115話「支え」
目次
2000年の計算式① 1885+102+13
88話公開後に考えられたであろう計算式
- 歴代始祖継承者 → 13年 x 145代 = 1885年
- 壁内の歴史開始からエレンの始祖継承まで → 102年
- エレンの始祖継承から寿命まで → 13年
1885 + 102 + 13 = 2000
2000年の計算式①の根拠??
- 1巻1話 サブタイトル「二千年後の君へ」
- 1巻2話 壁内の歴史開始から845まで102年(850年の時点で壁が出来てから107年)
- 21巻86話 ダイナのセリフ「145代目の王が云々」
- 22巻88話 クルーガーのセリフ「九つの巨人を継承したものは13年で死ぬ」&エレンのセリフ「13年は始祖ユミルが力に目覚めてから死ぬまでの年月に相当する時間~」
2000年の計算式①はおそらくこの4つを根拠に成り立つと考えられている、のだと思います。
ユミル・フリッツからエレンの寿命までの2000年に渡る物語、みたいな感じでしょうか。
2000年の計算式①の疑問
- 壁外1885年分の内訳が不明
- ユミル・フリッツが初代の始祖継承者なのか、初代の王と呼べる存在なのかどうか不明
- 歴代の始祖145代分の継承が全てきっちり13年で行われていたかどうか不明
- 壁内102年分の内訳が不明
- 現代から遡っていない
- 壁内移住直後にスパッと王が切り替わるのは不自然では?
- 2000年のゴールがエレンの寿命(エレンの次の継承者)という理屈が意味不明
「ユミル・フリッツからエレンの次の継承者までがぴったり2000年だ」と言われても、それがどうしたの?と感じてしまいます。
なぜ主人公のエレンがすっ飛ばされるのでしょうか。「二千年後の君へ」の2000年を解読しようという意図が先走りまくりです。
「元々エレンの次の継承者に何か意味があると考えられていて、実はユミル・フリッツから数えてぴったり2000年だった」のではなく「2000年の計算に合うからエレンの次の継承者に意味があると思うよ」と言っているように感じませんでしょうか。
結局、 なんかよくわかんないけど適当に数字を組み合わせたらきっちり2000になった… というだけの話であるように思います。
車のナンバーとか電話番号を見て勝手に意味をつけて計算したりこじつけたりするアレです。
とはいえ連載中の予想なので、あやふやな点が多いのは当たり前です。始まりも終わりもはっきりしていないのですから。
最終的にどうなるかはわかりません。主人公がエレンからファルコに変わったという明確な描写があればこの説も説得力が増すでしょう。
そして122話が公開されてからこの計算式に改良が加えられました。
2000年の計算式②(①の改良版)13+1885+102
122話公開後に考えられたであろう計算式
- 始祖ユミルの寿命 → 13年
- 歴代始祖継承者 → 13年 x 145代 = 1885年
- 壁内の歴史開始からエレンの始祖継承まで → 102年
13 + 1885 + 102 = 2000
2000年の計算式②の根拠??
- 1巻1話 サブタイトル「二千年後の君へ」
- 1巻2話 壁内の歴史開始から845まで102年(850年の時点で壁が出来てから107年)
- 21巻86話 ダイナのセリフ「145代目の王が云々」
- 22巻88話 クルーガーのセリフ「九つの巨人を継承したものは13年で死ぬ」&エレンのセリフ「13年は始祖ユミルが力に目覚めてから死ぬまでの年月に相当する時間~」
- 30巻122話 サブタイトル 「二千年前の君から」new
- 122話で始祖ユミルは巨人の力を手に入れてから13ページ後に死んでいるnew
- 122話 エレンのセリフ「待っていたんだろ ずっと 2000年前から誰かを」new
2000年の計算式②はおそらくこの7つを根拠に成り立つと考えられている、のだと思います。
「二千年後の君へ」の君はエレン、「二千年前の君から」の君は始祖ユミル、という解釈が生まれました。
始祖ユミルが巨人の力を手に入れた年(2000年前)に、845年のエレンに何かしらのメッセージを伝えたのだろう、ということです。①とは解釈がだいぶ変わりました。
2000年の計算式②の疑問
- 始祖ユミルの次の人間が初代始祖継承者になる根拠が不明
- 始祖ユミルが奴隷であり王ではなかったということは、同時に 歴代の王が始祖の継承者ではない 可能性を生み出し、145代の繋がりの根拠があやしくなる
- 壁外1885年分の内訳が不明
- 歴代の始祖継承が全てきっちり13年で行われていたかどうか不明
- 壁内102年分の内訳が不明
- 現代から遡っていない
- 2000年のゴールがエレンの始祖継承時かどうか不明
なぜ始祖ユミル(最初の13)と歴代始祖継承者(13x145=1885)を切り離してしまったのでしょうか?
122話の描写の中にそれを裏付けるものは1つもありません。始祖ユミルとは別の人間が初代・始祖継承者という理屈は意味不明です。
2000年の終端がエレンの次の継承者ではなさそうだから、あぶれた13を最初に持ってきただけではないでしょうか?
①の計算式に引っ張られ過ぎのような気がします。
また「始祖ユミルが奴隷であり王ではなかった」という事実は、同時に「歴代の王は始祖の巨人の継承者ではない」という可能性を生み出したことになります。
そうなると「145代続いた始祖の巨人の力を宿すエルディア帝国の王」という前提が崩壊するんじゃないでしょうか。
繰り返しますが連載中の予想なので、あやふやな点が多いのは当たり前です。楽しい都市伝説だと思います。
奇跡的に作者もこの計算式を考えていた、という可能性も0ではありませんが、おそらくそれは無いでしょう。
①と②の計算式に対する所感
色々不明な点があるのは当然として、①と②の計算式は都合の良い数字を集めてきただけ、という印象は否めません。
1885や102の内訳を吟味しようという意図を感じませんし、現代から遡ることを一切していないのもまずいと思います。
普通に考えて 現在に近いものほど情報の信憑性は高い のですから、まず真っ先にそこに触れるべきでしょう。
特に描写の多い壁内の歴史について検討してみます。
102にテコ入れ。始祖の継承を現在から遡る
特に何も起きなければ13年の継承サイクルが守られると仮定すると、歴代の始祖継承者とその継承年は以下のようになります。
- 845年 グリシャ→エレン
- 842年 フリーダ
- 829年 ウーリ
- 816年 ウーリの父
- 803年 6代目
- 790年 5代目
- 777年 4代目
- 764年 3代目
- 751年 2代目
- 743年 ※壁の歴史スタートの年
- 738年 初代レイス王(145代目カール・フリッツ)
壁内の歴史102年と壁外の歴史1885年(13年x145代)が重なってしまいました。
これが正しければ、②13+1885+102=2000の計算はかなり苦しいことになります。継承年がズレるに相応しい作り話をあれやこれやと盛り込まないといけません。
①1885+102+13=2000も苦しくなりますが、物語の結末次第ではまだこじつける余地があります。
フリーダの継承は842年
©諫山創 講談社 進撃の巨人 16巻64話「歓迎会」
「今から8年前のこの場所で…
彼女の叔父にあたる私の弟を食べた時からだ」
↑フリーダが叔父ウーリを食べて始祖の巨人を継承したときのことをロッド・レイスが語っている場面です。
このときは850年なので、8年前とは842年のことを示しています。
レイス家(フリーダ以外)13年きっちりで継承
©諫山創 講談社 進撃の巨人 22巻88話「進撃の巨人」
「レイス家の継承期間がこの13年を目安にしていたことからも…間違いないみたいだね」
アルミンのこのセリフは、おそらくエルヴィンやハンジが調べたであろうレイス家の記録を根拠にしていると思われます。エレンの記憶からの証言、グリシャの手記、レイス家の記録。この3つの言っていることが合致するから「間違いないみたい」と判断しているのでしょう。
グリシャが始祖を奪還するまでの壁内世界はかなり安定していたようです。反乱は全てレイス家直属の中央第一憲兵が沈めていたからでしょう。
レイス家はフリーダがグリシャに始祖を奪われるまではきっちり13年周期で継承していたと見て良いのではないでしょうか。
145代目カール・フリッツは任期13年を全うした?
フリーダ以外のレイス家継承者がきっちり13年ずつ任期を全うしたとすると、2代目壁の王は751年、初代壁の王であるカール・フリッツは738年に始祖を継承したことになります。
カール・フリッツはパラディ島に移住して三重の壁を築き、島民の記憶の改竄。そして「不戦の契り」を編み出して子孫に継承していきます。
それなりの意思を持って色々な仕事をこなしている訳です。そんな人が任期を全うすること無く次世代に始祖を譲るでしょうか?
普通に13年の任期を全うしたと考えるのが自然な気がします。というかそうでないと壁内の始祖の継承者のつじつまが合わなくなります。
2000年の計算式③(②の改良版)壁内の始祖継承を考慮
これまでの考察を踏まえ、②をベースに計算式を作ります。
- 始祖ユミルの寿命 → 13年
- 144代目まで → 13年 x 144代 = 1872年
- カール・フリッツが始祖を継承してから壁内に移住するまで → 5年
- 壁内の歴史 → 102年
13 + 1872 + 5 + 102 = 1992
残念ながら8年足りません。
新たに設定した壁内の歴史(102+5)と従来の1885(13年x145代)は145代目カール・フリッツのところで 8年分重なってしまう からです。
2000年の計算式④(③の改良版)ゴールは座標でエレンと始祖ユミルが出会った854年説
では、ゴールをエレンと始祖ユミルが座標で出会う854年にしてしまえばどうでしょうか。
854 - 845 = 9
13 + 1872 + 5 + 102 + 9 = 2001
わざわざ言うまでもありませんが、1年はみ出してしまいます。
しかもこれだとゴールが19歳エレンなので、1話の少年エレンが記憶(長い夢)を見たことの説明も新たに加える必要があります。
2000年の計算式③,④の条件や根拠
- フリーダの継承は842年
- レイス家(フリーダ以外)は13年きっちりで継承
- 遡ると2代目の継承は751年。その13年前の738年が初代の継承年となる
- 145代目カール・フリッツは任期13年を全うした(つまり初代壁の王である)
2000年の計算式③,④の疑問
- 2000年ぴったりじゃない
- 144代目以前の内訳が不明
- 始祖ユミルの次の人間が初代始祖継承者である根拠がない
①~④まで見てきてわかるのは、カール・フリッツより前の部分が足を引っ張っているということです。
初代壁の王はカールではないとしたら?
初代壁の王を別に用意
③や④のように壁内の始祖継承を考慮しつつ「2000年ぴったり」にしたい場合、どうすれば良いのでしょうか?
例えば初代壁の王とカール・フリッツは別な人間だとすると…
13 + 1885(13x145 ここにカール・フリッツも含む) + 102 = 2000
とすることが出来ます。
巨人大戦が終わってカール・フリッツがパラディ島移住した年に、すぐに次の継承者に始祖が渡った場合です。これは結果的に②の計算式と同じ数字が並ぶことになります。
作中の年数とズレてしまう
ところが初代壁の王を別に立てる説だと作中の年数とずれが生じてしまいます。
13年継承サイクルを前提とするとフリーダの始祖継承は847年になるのです。作中で継承年が明言されていないウーリ以前の継承者ならまだしも、フリーダはさすがに無視できません。
壁内の歴史の中でフリーダ以前に13年サイクルが崩れたことがあったのでは??
と考えることもできなくはないでしょう。
しかしそれではアルミンのセリフ(レイス家は13年で継承していた)と矛盾しますし、その矛盾を解消するために新たにストーリーを作らなくてはならなくなります。
たとえ2000年ぴったりになるとしても、作中の描写が無い根拠薄弱な妄想をふんだんに盛り込まないと成立しないのであれば本末転倒でしょう。
13年継承サイクルの信憑性。知性巨人は簡単に死なない
計算式①や②では、特に説明もなく始祖の継承サイクルが13年で固定されています。にも拘わらずあまり疑問に思われないのは、知性巨人の生命力がものすごいことを多くの読者が納得しているからでしょう。
ライナーが良い例ですが、ちょっとやそっとじゃ死にません。
クルーガーやウーリ、ウーリの父、クサヴァーは晩年かなり老け込んでいた描写があります。逆にフリーダ、ベルトルト、マルセル、ユミルの4人は若い姿のまま食われて死にました。
これが意味するのは、余程のことが無い限り知性巨人はきっちり寿命(老け込む)まで任期を全うするのが普通だということではないでしょうか。
安心と信頼の13年継承サイクルなのです。
13 x 145 = 1885 という計算式は、1885年もの長い間、特にトラブルなくきっちり13年毎に始祖が継承されていたことを意味します。不自然に感じるかもしれませんが、作中の描写がない以上は滞りなく継承が行われたとするのはそこまでおかしな解釈ではないでしょう。
絶対に13年継承サイクルが守られたと言うことも出来ませんが、絶対どこかで失敗しているとも言い難いのです。
だからこそ、知性巨人が任期の途中で死ぬことがドラマになるのだと思います。
つまり、13年サイクルを崩してまで2000年ぴったりの計算式を作るには、それ相応の納得感のあるドラマを用意しないといけない、ということです。
一旦まとめ 1885年が問題??
壁内の歴史に手を付けてみましたが、なんだかすっきりしない感じです。
1885年の部分は2000年計算式の9割を占めるデカイ数字にも関わらず、しっかり検討されていないのが問題だと思います。
あやふやなわりに、13年継承サイクルを強く否定できる材料がないので非常に厄介です。
この先は少し見方を変えて、始祖ユミル(13の部分)と1885年の部分を突っ込んで考察します。
13にテコ入れ。そもそも“初代”は「何の初代」なのか
そもそも145代目の○代目というのは、何の何代目を指してるのでしょうか?
エルディア帝国の王として、でしょうか?
それとも始祖の巨人の継承として、でしょうか?
あるいは両方なのでしょうか?
ダイナによる巨人大戦始まりのきっかけの説明©諫山創 講談社 進撃の巨人 21巻86話「あの日」
ヴィリー・タイバーの演説©諫山創 講談社 進撃の巨人 25巻99話「疾しき影」
ヴィリー・タイバーとダイナが 145代目の王 と言っているので、カール・フリッツは間違いなく王なのでしょう。
であれば、この○代目というのはストレートに解釈して エルディアの王として145代目 ということになるのではないでしょうか。
一方、「○代目の始祖継承者」という表現は、穴が開くほど原作を読んでもどこにも見つかりません。
屁理屈っぽいですがつまりこういうことです。
- ✕ カールが「145代目の始祖の巨人の継承者」とは言えない
- ○ カールが「145代目の王」であることはほぼ確実
ということは、②~④の計算式の「始祖ユミルの次の継承者を1人目とし、以後カール・フリッツまで145人で始祖の巨人を継承した」という前提は、根本的に目のつけどころを間違えている可能性があります。
始祖とは?初代とは?
そもそも「始祖ユミルは初代始祖の巨人継承者じゃない」というのも何処から出てきた話なのかよくわかりません。
なぜそんなことが言えるのでしょうか?
ではこの巨人は何なのでしょうか?
人々はこれを始祖の巨人ではないと言う©諫山創 講談社 進撃の巨人 30巻122話「二千年前の君から」
エルディアの王をはじめ、作中の人々は皆、この人類史上初の巨人をその目で見ている訳です。
これが「始祖の巨人」でなければ一体何なのでしょうか?
かの計算式②13(始祖ユミル) + 1885(娘~カール) + 102(壁内)= 2000 では、初代・始祖の巨人継承者は1885(13x145)の中に含まれることになっています。
つまり、 始祖の巨人の継承者の初代はユミルの娘 と言っている訳です。
最初の巨人から生まれた2番目の巨人を「始祖の巨人」と呼ぶのは矛盾しています。
「いや、始祖ユミルの巨人も始祖の巨人だ。それを3人娘の誰かが継承者したのだ」というのであれば、それもまた矛盾しています。
娘が母から始祖の巨人を受け継いでいるのだから、 初代は始祖ユミルであり、娘は2代目 ということになるのではないでしょうか?
始祖ユミルの巨人を「始祖の巨人 零 -ZERO-」のような感じで解釈すればありっちゃありかもしれませんが…
13 + 1885 + 102 の限界
なぜこんな矛盾が発生するかというと、①と②で言いたいことの内容が変わっているのに13x145の部分をそのまま流用しているからです。
13 x 145 は何回計算しても1885より上の数字を叩き出せません。これに壁内の歴史102年を足しても1987にしかなりません。
なぜなら数字とはそういうものだからです。
つまり、計算式②で始祖ユミルを145代の外に出した理由は「13を足さないとぴったり2000年にならないから無理やりくっつけただけ」であり、それ以上でもそれ以下でもないということなのではないでしょうか。
「二千年後の君(エレン)へ」と「二千年前の君(始祖ユミル)から」の関係を維持しつつ、2000年ぴったりにするには既存の計算式では限界があるようです。
13を始祖ユミルにするのも無理がある。壁内102年の歴史も作中の描写から動かしがたい。ならば残る1885にテコ入れするしかないでしょう。
1885にテコ入れ。フリッツ王家の継承を再考
エルディア部族の長が初代フリッツ王なら
13 x 145 = 1885 は一旦忘れることにして、別な角度から145代目以前の歴史を見てみます。
初代フリッツ王は122話に登場したエルディア部族の長(子種おじさん)ということにしましょう。
122話の描写や壁内貴族の態度を見ると、彼らはユミルの民を奴隷扱いしており自分が巨人になろうとする様子はありませんでした。
つまり145代より前(144代まで)の歴代フリッツ王は 非ユミルの民だった可能性が高い ということです。
これを前提に普通の人間(非ユミルの民)が王を務める国が145代続くとしたらだいたい何年になるかということを考えてみます。
265年続いた徳川家(15代)は1人平均17.6年
江戸時代は1603~1868年の265年間です。
265年 ÷ 徳川15代 = 1代平均17.6年
知性巨人の寿命と比べると約1.3倍の長さになります。
日本の天皇 2680年
令和天皇は126代目であり、紀元前660年の神武天皇から数えれば約2680年の歴史になります。
2680 ÷ 126 ≒ 1代平均21年
また、ちょうど100代前の継体天皇が西暦でいうと大体450年頃とされています。
2020 - 450 = 1570年
1570 ÷ 100 = 1代平均15.7年
エルディア帝国 1893年
ではエルディア帝国の場合はどうなるでしょうか。
歴代のフリッツ王が非ユミルの民であり、その体制がカール・フリッツが始祖の巨人を継承する738年まで144代続いていたのだとしたら。
さらに始祖ユミルが巨人の力を手に入れた年を元年とし、エレンが始祖を継承した年を2000年とすると、738年は第1話の845年の107年前なので、
2000年 - 107年 = 1893年
始祖ユミルが巨人の力を手に入れてからカール・フリッツが始祖を継承するまでは 1893年 ということになります。
1893年を徳川家のように1人17年で繋いだ場合
→ 1893 ÷ 17 ≒ 111代
1893年を知性巨人と同じく1人13年で繋いだ場合
→ 1893 ÷ 13 ≒ 146代
フリッツ王家144代はまあまあ現実的
江戸時代のように比較的安定した情勢で265年を1人平均約17年であれば、それより文明が古く戦乱の時代だったエルディア帝国が1893年を1人平均約13年で王の座が継承されていった、というのはまあまあ現実的なところではないでしょうか。
フリッツ王家が王位を144代に渡って継承しつつ、王の任期とほぼ並行して始祖の巨人をユミルの民が継承していた、というのは十分あり得る体制だと思います。
王位継承と始祖継承のサイクルが多少ずれたとしても、問題にはならないでしょう。
巨人大戦とカール・フリッツの始祖継承
始祖の巨人が13年サイクルで継承されていったとすると、1893年は146代目の8年目にあたります。
カールが始祖の巨人の継承者である以上、146代目から強引に始祖を奪ったことにしなければなりません。
ダイナによれば 「巨人大戦」とは145代目の王(カール・フリッツ)が「始祖の巨人」を継承したことが始まり です(86話「あの日」)。
それまでは争いが起きてもフリッツ王が沈めていたのに、巨人大戦は違った。つまりカールの始祖継承は今までの歴史にないターニングポイントだったと考えられます。
カールがタイバー家と結託して革命を起こしたということであれば、任期途中の先代から「始祖の巨人」を奪ったとしてもそれなりに納得感があるのではないでしょうか。13年サイクルが崩れる理由として十分だと思います。
2000年の計算式⑤ 145代はフリッツ王家であり始祖ではない
以上を踏まえて、これが結論らしきものになります。
- 始祖ユミルが巨人の力を手に入れてから145代目カール・フリッツの始祖&王位継承までの年数 → 1893年
- 145代目カール・フリッツの始祖&王位継承からパラディ島へ移住するまで → 5年
- 壁内の歴史開始からエレンの始祖継承まで → 102年
2000年の計算式⑤の根拠
- 144代以前の王は始祖の継承者じゃない(非ユミルの民)。←13年縛りがないので年数に幅を持たせられる
- 人間の王(非ユミルの民)が144代で1893年というはまあまあ現実的な数字
- カール・フリッツは145代目のエルディア帝国の王
- カール・フリッツは146代目の始祖継承者から「始祖の巨人」を強奪。147代目の始祖継承となった(←始祖が何代かはこの説においてさほど重要ではない)
- カール・フリッツの始祖継承が「巨人大戦」に繋がった。←イレギュラーな出来事
- フリーダ以外のレイス家は13年サイクルで継承したとするとカール・フリッツは738年に継承したことになる
- 738年は845の107年前(壁内の歴史102年 + カールの移住まで5年)
- 2000 - 107(5+102) = 1893
この計算式ならば、ぴったり2000年かもしれない可能性も残し、「二千年後の君へ」と「二千年前の君から」の対比を損なわず、始祖ユミルとエレンの素敵な繋がりを維持できます。
さらに、たとえ2000年の終端がエレンの寿命の858年だろうが、854年だろうが、1893年の部分をいじくればぴったり2000年に調節可能です。
始祖継承の13x145=1885に拘る必要がないので、カール・フリッツが何代目の始祖継承者であろうが145代の王であることに変わりはありません。
そして145代のエルディア王(歴代フリッツ王)の内訳は、作中に年表がない以上、歴代の王それぞれの任期は後付でどうにでもなってしまいます。
結局妄想なので1893年の部分はモヤモヤしますが、それは①~④の計算式も同じですし、何も根拠が無いよりは幾分マシではないでしょうか。
2000年の計算式⑤の疑問
- 145代より前の王が非ユミルの民であることが前提
- 1893年の内訳が妄想頼み
“約”2000年でいいんじゃないか説
個人的には、というか多くの読者はこう思っているような気がします。
2000年ぴったりじゃなくても何も問題はないでしょう。
マーレの歴史書 1820年前
©諫山創 講談社 進撃の巨人 21巻86話「あの日」
832年でジークが7歳。その15年前にグリシャが壁を出てフェイが殺されました。
ということは、グリシャの父が歴史書を読んでいるこの場面は817年ということになります。
ちなみにグリシャがエルディア復権派に入ったのは18歳、結婚~ジークの誕生(825年)で20歳くらい。またフェイが殺されたのはグリシャが12歳の時ということになります。
845年から見て30年弱の開きがあるので、始祖ユミルが巨人の力を手に入れたのはおよそ1850年前ということになり、2000年に全然足りません。
マーレの歴史書だからいい加減なことが書かれてあるのでしょうか?
1820年と具体的な数字を出してきたということは何か意図があるのかもしれません。
©諫山創 講談社 進撃の巨人 21巻88話「進撃の巨人」
マーレが嘘ばかりついているとも限りません。
エルディアだって自分たちの都合の良い解釈をしています。
これは誰にでも当てはまることです。
アバウト2000年派
©諫山創 講談社 進撃の巨人 14巻55話「痛み」
王政編のときのピクシスのセリフ「中でも2000年以上も続くとされる王家の血筋は人類の繁栄の象徴としての役割を担っておる」
おそらく壁内の貴族(他人種系エルディア人)がエルディア帝国のことを引っ張ってきて流している話だと思います。彼らがエルディア帝国の歴史はおおよそ2000年という感覚で居ることが伺えます。
2000年はとっくに過ぎていた。クサヴァーさんの衝撃発言
©諫山創 講談社 進撃の巨人 28巻114話「唯一の救い」
クサヴァーさんは巨人化学の学者です。しかも本人が獣の巨人継承者ですから、完璧ではないにせよユミルの民の記憶にアクセスすることが可能な人物です。
グリシャの父が読んでいたマーレの歴史書や壁内貴族の発言よりは信憑性が高いのではないでしょうか。
そんなクサヴァーさんが「私達の生まれるより2000年も前から存在したとされる9つの巨人だが」とけっこう曖昧なことを言っている訳です。
このセリフが正しいとすると、2000年以上前に始祖ユミルは「巨人の力」を手に入れ、フリッツ王の下で働き、子供を残し、亡くなり、魂を9つの巨人に分けたことになります。
「2000年後」はとうの昔に過ぎ去っていたのです。
伝承だから曖昧なのは当然なのですが、その差は100年以上の開きがあります。100年と言ったら巨人大戦が終わって壁内が平和だった期間と同じ。この問題を考える上では誤差で済むような値ではありません。真面目に計算するのがバカバカしくなります。
2000年?いやもっとだ
©諫山創 講談社 進撃の巨人 27巻109話「導く者」
何千年間も!!
衝撃的なことを言う人がここにもいました。
カヤも言葉を失っています。
いや2000年だ
©諫山創 講談社 進撃の巨人 30巻122話「二千年前の君から」
エレンが2000年って言ってるんだから誰がなんと言おうが2000年だ、ということで全て丸く収まってくれると嬉しいです。
まとめ
作中の描写から逆算できるのはせいぜいカール・フリッツが始祖を継承した年が738年と考えられる、というところまでです。
それより昔のことは作中の描写も曖昧なので想像するしかありません。そうやって無理やり辻褄をあわせたのが⑤の計算式です。
②の13 + 1885 + 102 = 2000 は現在から遡ると計算が合わなくなります。この計算式はカール・フリッツの継承年を考慮に入れていないのでちょっと苦しいと思います。
始祖ユミルが初代(145代の中の初代)ではない、と断言できる根拠はどこにもありません。
1885年の内訳が「始祖の巨人継承者の寿命13年 x 145人分」というのも、本当にその通りかどうかわかりません。
しかし、だからといって②13+1885+102が間違っていると断言することは出来ません。当たっている可能性もありますし、これはこれでシンプルで綺麗だと思います。当たっているのなら。
この手の考察、都市伝説的なものは公式の発表や作者のインタビューで真実が明かされない限り、答えは出ません。
とはいえ、数字が合っているからといって、中身を確かめもせず信じてしまうのはどうなんでしょうか。
全ては作者のさじ加減ひとつですので、作中で明らかになるか設定本など公式からの新情報が出るのを期待します。
それまでは“約2000年”と思っておくのが精神衛生上一番良いのではないでしょうか。
余談
第1話の「二千年後の君へ」の「君」ですが、2845年の君という可能性もあるのではないでしょうか。それが誰だかわからないし、全然上手くないし、面白くもないのですが。
とはいえ、「君」がエレンだと信じ切っているとまんまとやられそうな気もします。