ユミルの民とは
129話までのネタバレを含みます。
このページでは、ユミルの民がユミルの民である条件、ユミルの民と他の民族と区別する方法について考察しています。
巨人になれること、始祖ユミルとの血縁、道で繋がっていること、123話のエレンの放送、脊髄液注射の効果、血液検査といった要素を分析して、ユミルの民の定義(のようなもの)を導き出します。
目次
ユミルの民の条件
ユミルの民とは、巨人になる民族です。彼らは全て始祖ユミルの子孫であり、道で繋がっています。
実際に巨人化しない限り、その者がユミルの民であるかどうか確認しようがないと思われるかもしれませんが、血液検査をすれば事前にわかる、ということになっています(123話「島の悪魔」や86話~89話)。
血液検査以外の描写から判断するならば、
- 巨人になる(一部例外あり?)
- 始祖の巨人の力で記憶の改竄を受ける(一部例外あり)
- エレンの放送が聞こえる(例外なし?)
基本的に上の条件のどれかに当てはまればユミルの民として認定して良いと思います。
巨人になる
諫山創 進撃の巨人 講談社 89話「会議」
楽園送りにされて脊髄液を注射され無垢の巨人となった者は皆ユミルの民です。
エルディア復権派のメンバー、104期ユミルや彼女を教祖として崇めていた宗教団体のメンバーがこれに該当します。彼らは岸壁から地面に落とされた時にその衝撃で巨人化します。
またジークの脊髄液入りガスを吸引したラガコ村の住民(コニー母など)、ジークの脊髄液入りワインを飲んだ者(ピクシスやナイル、ローグなど)は、ジークの叫びによって巨人化します。
9つの知性巨人の継承者は言うまでもなくユミルの民です。
エルディア人はユミルの民ではない?
ちなみに、エルディア人とユミルの民の区別についてですが、作中で言うエルディア人というのは基本的に122話に出てきたエルディア部族の末裔とユミルの民だと思っていれば問題ないでしょう。
エルディア帝国には純血エルディア人もいたし、ユミルの民もいたし、他にいろんな民族がいっぱいいたと想像されます。どのような統治体制だったのかは不明ですが、支配下にある国は完全に吸収合併されていたのではなくある程度独立して存在していたのでしょう。というのも2000年経ってもマーレ人が反逆の意思を失わなかったからです。
マーレ人からするとエルディア人といえば主に純血エルディア人(かつての支配層)と巨人(ユミルの民)です。自分たちを虐げてきたエルディア帝国の人間≒エルディア人(純血+ユミルの民)という感じで一括りにして言っているんだろうと思います。
エルディア国籍ではないユミルの民(ライナーとか)もいるのですが、マーレ人からすれば巨人になれる者はマーレ人ではないのでしょう。だからライナーたち戦士隊はエルディア人と呼ばれています。
詳細は別の記事で考察しています。
アッカーマンは例外?
126話「矜持」のハンジのセリフ「…みんな巨人にされたけど君だけ生き残った。この怪我でまだ生きているのも同じ理由だろうね。君がアッカーマンだからだ」
これが意味するところは、
- みんな巨人にされたけど生き残っていること
- 大怪我をしても生きていることと
アッカーマンはジークの脊髄液を摂取しても無垢の巨人にならないし、ものすごく頑丈だ、ということでしょう。
112話「無知」のエレンのセリフに「ユミルの民を弄くり回した結果偶然出来たのが、人の姿のまま一部巨人の力を引き出せるアッカーマン一族だ」というものがあります。
このときの一連の会話でエレンは嘘と事実を織り交ぜながら話しています。全ての言葉を信用することは出来ませんが、一部は本当のことを言っているはずです。
ということは、エレンがこのとき強調して言いたかったこと(つまり嘘)が「ミカサはアッカーマンの習性で自分に執着している」であるならば、「アッカーマンはユミルの民である」という情報は事実である可能性が高いでしょう。
また「人の姿のまま一部巨人の力を引き出せる」という言葉は、リヴァイやミカサは既に「実質巨人の力を得ている」と解釈できます。となると、脊髄液を摂取したところで大きな変化が起きないこともある程度納得出来るのではないでしょうか。
アッカーマンは巨人なのか
結局はっきりしたことはわかっていなのですが、アッカーマンは半分巨人みたいなものということで良いような気がします。
ジークの言う「巨人化学の副産物」という言葉の意味するところは、「ユミルの民を巨人化させる実験を繰り返していたら偶然アッカーマンが出来上がった」みたいな感じだと思います。
ちなみに連載時は「巨人科学」でしたが、単行本で「巨人化学」に修正されました。
わざわざ修正したということは、「巨人・科学」や「巨人・化学」ではなく、「巨人化・学」だということなのでしょう。
始祖の巨人の力で記憶の改竄を受けた
諫山創 進撃の巨人 講談社 64話「歓迎会」
王政幹部の貴族たち、アッカーマン、東洋の一族を除く壁内に住む住人がこれに当てはまります。
とはいえ、大々的に記憶の改竄が行われたのは巨人大戦終了後にパラディ島に移住したときの1度だけと思われ、移住後に生まれた世代はただ単に壁の外の世界を知らないだけでしょう。
リヴァイはおろかケニーやミカサの両親も、壁内世界が出来上がった後に生まれているので、本当に記憶が改竄されないのかは確かめようがありません。
エレンの放送が聞こえた(道で繋がっている)
一番わかり易い判別方法だと思います。
諫山創 進撃の巨人 講談社 123話「島の悪魔」
123話「島の悪魔」のラストでエレンは「全てのユミルの民に告ぐ」と言ってから、地鳴らしを宣言しました。
エレンがしゃべっている間、ユミルの民は座標空間(道)へ飛ばされたような描写になっています。
よってこのエレンの放送が聞こえた人間は全てユミルの民となります。
「全てのユミルの民は道で繋がっている」というクルーガーの説明(88話「進撃の巨人」)も正しかったことがわかりました。
アッカーマンであるミカサやリヴァイも例外ではありませんでした(リヴァイは126話で寝たまま座標空間に飛んでいます)。
また、マーレのレベリオ収容区に住む人々(アニの父など)にもエレンの声が届いていますから、この人達もユミルの民であることが確定します。
※ちなみに、全てユミルの民にメッセージを送ることが出来たのも、大量の壁の巨人を動かすことが出来たのも全ては始祖の巨人の力によるものです。道を通じたコミュニケーション能力をフルに発揮できるのは、全ての道が交わる始祖の巨人だけ、ということでしょう。
生まれながらにしてユミルの民はユミルの民である
ジャンとコニー、ガビはこれまでに1度も巨人化していません。ジークの脊髄液入ワインも飲んでいません。
しかし彼らはしっかりエレンの放送を聞いていました。つまり生まれつきユミルの民だということです。
放送が聞こえなかった人たち
放送当時、レベリオにいたマーレ兵士やシガンシナ区にいたオニャンコポンは聞こえていないようでした。
よって彼らはユミルの民ではないということになります。
ユミルの民は全員始祖ユミルの子孫なのか
- 巨人になる(一部例外あり?)
- 始祖の巨人の力で記憶の改竄を受ける(一部例外あり)
- エレンの放送が聞こえる(例外なし?)
この3つのうちどれかに当てはまった者は皆ユミルの民であると言って間違いないでしょう。
だからといって、ユミルの民は全てユミルの子孫であると言えるのでしょうか?
要は血統なのか、そうではないのかという問題です。
脊髄液の注射で誰でもユミルの民になるのか
脊髄液を摂取すれば誰でも巨人化するんじゃないの?
つまり誰でも後からユミルの民になる可能性があるんじゃないの?
と考える人がいるかもしれません。
しかし、その可能性はあまり高くなさそうです。
諫山創 進撃の巨人 講談社 87話「境界線」
もしグロス曹長の発言と血液検査の話が正しければ、脊髄液を摂取することで初めてユミルの民になる、という説は成立しないことになります。
ユミルの民かどうか判別するには
マーレ人の立場になって考えてみます。
目的は、ユミルの民とそれ以外の人間を区別することです。
ということは当然ユミルの民以外の民族に脊髄液注射をして実験してみないといけません。
- 脊髄液摂取 → 傷を負う → 無垢の巨人化 → ユミルの民です。
- 脊髄液摂取 → 傷を負う → 何も起きない → ユミルの民ではありません。
実験の結果、巨人化するのはユミルの民だけであることがわかりました。実験は成功です。
もし脊髄液注射で被験者全員が巨人化していたら?
ユミルの民とそうでない人間を区別できないので実験は失敗です。
脊髄液注射はあまりにも危険なので使用禁止になるでしょう。
ジークの脊髄液と叫びの力を利用し無垢の巨人を兵器として使う作戦もやりません。なぜならマーレ人を巻き込む可能性があるからです。
血液検査の必要性。脊髄液だけでは判別は容易ではない
脊髄液によってユミルの民とそうでない者を判別することが出来ました。
そこまでわかったとしても、実際に判別するには被験者を巨人化させなくてはいけません。
これはとても危険です。注射を打たれた人が傷を負うなどしてうっかり無垢の巨人になってしまったら、人を食べるために永久に動き続けるのですから。
だから、血液検査をするようになったのです。
血液検査による判別が成立するということは、
- ユミルの民判定陽性 → 脊髄液摂取 → 傷を負う → 無垢の巨人化
- ユミルの民判定陰性 → 脊髄液摂取 → 傷を負う → 何も起きない
ユミルの民ではないものに脊髄液を打ったところで何も変わらないということです。
よってユミルの民の性質は生まれつきのものであり、脊髄液を摂取するなどして後からユミルの民になることはない、と結論づけることが出来ます。
ユミルの民とはサイヤ人である
ユミルの民の性質が生まれつきのものである、つまりユミルの民がユミルの民であることは血統で決まるということを説明するにはサイヤ人で考えるのが一番手っ取り早いと思います。
脊髄液とは何のなのか
ユミルの民の脊髄液(巨人化脊髄液)とは一体どのような役割を持つのでしょうか。
ユミルの民をサイヤ人同じようなものだと思って考えるとわかりやすくなります。
- ユミルの民 → サイヤ人
- 脊髄液 → 修行
- 巨人 → 超サイヤ人
地球人はいくら修行して戦闘力を上げても超サイヤ人にはなれませんよね。超サイヤ人になれるのはサイヤ人だけです。また満月を見て大猿になるのもサイヤ人だけです。
- ユミルの民 → サイヤ人
- 脊髄液 → 満月
- 巨人 → 大猿
だからユミルの民以外の民族の者が巨人化脊髄液を摂取しても巨人にならないのです。
始祖ユミルは後天的に巨人の力を手に入れたじゃないか
諫山創 進撃の巨人 講談社 122話「二千年前の君から」
始祖ユミルは謎の生物と接触したことで巨人の力を手に入れました。
つまり「巨人になる性質」は生まれつきのものではなかったということです。
あれが成立するなら、普通の人が脊髄液を摂取して巨人になることも可能なのではないかと思われるかもしれません。
しかし、ちょっと違います。
「奴隷の少女」が「謎の生物」と接触して合体し、「始祖ユミル(巨人)」になりました。
始祖ユミルはユミルの民ではなくて、 ユミルの民の始祖だから始祖ユミルなのです。
始祖ユミルはあの接触をきっかけに完全に別な生き物になったと考えられます。
先程のようにサイヤ人で喩えると、
「奴隷の少女(地球人)」が「謎の生物(異星人)」と融合して「始祖ユミル(伝説の超サイヤ人)」が誕生した、ということです。
悪魔と合体したデビルマンでも良いかもしれません、とにかく人間界の常識が通用しない別な生き物が生まれたのです。
つまり、 「ユミルの民になる方法」と「巨人になる方法」は違う、ということです。
奴隷の少女がオプションで巨人化能力を手に入れた、みたいな感覚は捨てたほうが良いでしょう(ちなみに奴隷の少女の名前は明かされていませんが、ユミルではなかったんじゃないかなと思います)。
そして始祖ユミルは新たに誕生した民族(サイヤ人)なので、その子孫も当然サイヤ人(ユミルの民)ということになります。
しかし3人娘のマリア・ローゼ・シーナはそのままでは「巨人(超サイヤ人)」になれないので、「始祖ユミルの脊髄液を摂取(修行)」することで「巨人の力(超サイヤ人)」を手に入れました。生まれ持った才能があるからこそ成立する話です。
ちなみに、サイヤ人はハーフだろうがクウォーターだろうが、もっともっと薄まろうが、だいたい頑張れば誰でも超サイヤ人になれそうですよね。ユミルの民が巨人になれるかどうかもそんな感じだと思います。
まとめ
ユミルの民とは「人間ではない別の生き物(宇宙人・サイヤ人のようなもの)である」と考えると様々な疑問が腑に落ちやすくなります。
この前提で考えば「ユミルの民とは始祖ユミルの子孫であり、巨人になることができて、道で繋がっている」ということに納得がいくと思います。
上の文章はただ単に、ユミルの民という民族がいて、その民族の特徴はこんなんですよ、と説明しているだけだからです。
というかそれ以上突っ込んで考えても満足のいく結論が出ない気がします。
脊髄液の注射を生粋のマーレ人に打ったらユミルの民になるの?というような疑問は、ポニーが大人になったらサラブレッドになるの?とか、チンパンジーが筋トレしたらゴリラになるの?という疑問と一緒なのです。
改めてユミルの民の特徴
ユミルの民とは、ある奴隷の少女と謎の生物が融合して出来た新しい生き物・始祖ユミルの子孫たちのことです。だから人間ではありません。
ユミルの民の特性は多くの生物と同様に子に遺伝します。だから生まれつき巨人化する能力(素質)を持っているのですが、そのままでは巨人化しません(素質が開花しない)。巨人化するためには(素質を開花させるためには)、代々受け継いできた始祖ユミル由来の脊髄液を摂取する必要があります。
ユミルの民は目に見えない道で繋がっています。その道を通じて、巨人を形成する血や骨、記憶や意志が送られてきます。とにかく、そういう仕組なのです。
ユミルの民は道を通じてコミュニケーション出来ます。それはリアルタイムの言葉に限らず、記憶や意志、血や骨までも可能なのです。
ただし、コミュニケーションの範囲や深さは一律ではなく、道の始まり(終わり?)である始祖の巨人が最も強力です。