なぜカール・フリッツは三重の壁を作らなければならなかったのか

カール・フリッツは地鳴らしを防ぐために壁を作ったのではないか、という考察です。

地鳴らしが起きるということは壁の巨人が解き放たれることですから、地鳴らしを防ぐために壁を作ったというのはちょっとおかしい気がします。

地鳴らしを防ぎたいなら初めから壁を作らないとか、根本的な対処法を考えるべきでしょう。

しかし、壁を作った目的が地鳴らしを防ぐためなのであれば、巨人大戦が起きたことや、パラディ島に引きこもったこと、不戦の契りが生み出されたことなどと辻褄が合うのです。

それを裏付けるシナリオがあるとしたら、これまで描かれてきた物語とどのように繋がるのでしょうか?

ちょっとおさらい

カール・フリッツの言い分

ヴィリー・タイバーが言うには、パラディ島の三重の壁は巨人戦後に145代目カール・フリッツが作りました。

カールは予てから平和を願っており、同族同士の争いに疲れ果て、マーレへの贖罪からパラディ島に引きこもることを決意したとのことです。

しかしエルディアが犯した罪は贖えるものではないからいつかマーレが侵略してきたらそれを受け入れる。ただし、それまでは壁の中の楽園で束の間の平和を享受することを許して欲しい、という話でした。

壁の巨人の中の人は誰?

壁が巨人で出来ているのであれば、当然その元となる人(ユミルの民)が必要です。

カール・フリッツが始祖の巨人のスーパーパワーを使って無から巨人を生み出したというシナリオもあり得るかもしれませんが、やはり実際に人が犠牲になっているほうがより残酷なので物語としても深みが増すでしょう。

犠牲になったのは大陸からパラディ島に連れて行った人たちだと思われます。始祖の力で洗脳したのかもしれません。

※ちなみにヴィリーの演説では壁の巨人は幾千万と言っていましたが、作中で明かされている壁の半径から計算すると中にいるのは約55万人です。まあこの辺りは漫画なのでアバウトどころかガンガン盛っても良いと思います。

カール・フリッツが三重の壁を作った理由

  • 平和を願った
  • 同族同士の争いに疲れ果てた
  • マーレを哀れんでいた
  • 束の間の楽園を築きたかった

これだけだとパラディ島へ引きこもった理由としてなら理解できますが、大量の島民を犠牲にしてまで壁を作った理由としては不十分だと思います。

ぜひとも 壁を作らなければならなかった強制的な理由 が欲しいところです。

カール・フリッツは 地鳴らし を予見できるだけの何かを見たんじゃないでしょうか??

しかし、進撃の巨人の特性を知らなかった王家の人間がどうやってそんなことを知るのでしょうか??

カール・フリッツが座標で見たもの

始祖の巨人を継承した王家は座標に来る

王家の血を引く始祖継承者はその力を使うために座標にやってくる。ジーク談

©諫山創 講談社 進撃の巨人 120話「刹那」

120話で座標に到達したジークは「おそらく始祖を継承した王家はここに来たんだろう」「始祖の力を行使する際に」と発言しています。

つまりカール・フリッツも座標に来たということです。

歴代初の始祖の巨人を継承した王がカール・フリッツ

巨人大戦のきっかけは145代目カール・フリッツが始祖の巨人を継承したこと

©諫山創 講談社 進撃の巨人 86話「あの日」

ちなみに144代以前の王は座標に来ていないと思います。なぜなら彼らはユミルの民ではないからです。

122話に登場するエルディアの王や壁内貴族の様子を見る限り、エルディア帝国では「支配するのは非ユミルの民で巨人を継承するのは奴隷のユミルの民」というスタイルを貫いていたと想像されます。

カール・フリッツは145代目にして初めて始祖の巨人を継承した「王家の血を引くユミルの民」だと考えられます。

だから座標に来ることが出来たし、記憶も繋がったはずです。そして、122話にあったような始祖ユミルが大量の超大型巨人を製作する姿を見たのでしょう。

144代以前の王はユミルの民ではないので座標の様子なんて知りようがないし、カール以前の始祖の巨人継承者は王家の血を引いていないので座標に来ることは出来なかったはずです。

カールは真実を知った初めての存在なのです。むしろそうでなければ巨人大戦のような大きな変革が起きたことの説明がつかないと思います。

始祖ユミルは何のために超大型巨人を量産していたのか

超大型巨人を製作する始祖ユミル

©諫山創 講談社 進撃の巨人 122話「二千年前の君から」

123話から始まる地鳴らし巨人を思わせる描写です。

道の時間は下界とは違うようですから何とも言えませんが、この光景が意味するのは座標(道)にはエルディアの王がいざ始祖継承者に命令すればいつでも発動できる超大型巨人が大量に控えていた、ということなのではないでしょうか?

エルディアの王が事前に発注していたのか、始祖ユミルが自発的に製作して機会を伺っていたのか、それはわかりません。わかりませんが、エレンが選択を迫った結果、始祖ユミルは壁の超大型巨人を解放したわけですから、答えは半分出ているようなものでしょう。

始祖ユミルには破滅願望があり、ずっとそのときを待っていたのかもしれません。なぜなら自分が巨人の力を手に入れたことで憎しみの連鎖が加速し、娘たちが何代にも渡って犠牲になり続ける状況が生まれたからです。すべて消し去ってしまいたいと思うのも無理もないでしょう。

そして何より、始祖ユミルはいずれその時が来るのを「知っていた」ということなのだと思います。

しかし王の命令なしには始祖ユミルは超大型巨人を出動させることは出来ません。だから2000年間ずっと待っていたのでしょう。

カール・フリッツの選択

エレンは始祖ユミルに好きなようにさせました(実質一択の強引な誘導にも思えますが)。

一方、カール・フリッツは始祖を封印する選択をした、ということです。

エルディア帝国は長い間、同族同士の争いが激化するとエルディアの王が始祖の巨人の力を使って収めていたようです。具体的にどうやっていたのかはわかりませんが、争いが絶えなかったということは力でねじ伏せていたのでしょう。

ということは、いつか収拾がつかなくなったとき、エルディアの王は出荷待ちの大量の超大型巨人を使ってしまうかもしれません。もちろんそうなったら世界は終わりです。

同族同士の争いを続ける限り、エルディアの王が力で争いを沈めて頂点に君臨する限り、この危険な状態は終わりません。

この事実を突きつけられた145代目の王カール・フリッツはなんとか世界を救う方法はないかと考えたのではないでしょうか。

カール・フリッツの世界を救う施策

  • 不戦の契り → 壁の巨人を封印(地鳴らし封印)
  • 三重の壁と無垢の巨人 → フリッツ王家の侵略を防ぐ
  • レイス王家で始祖を継承し続ける → 安全維持

これがカール・フリッツが編み出した世界を救う施策です。

  • レイス王家 → 145代目カール・フリッツの子孫。ロッド、ウーリ、フリーダたち。
  • フリッツ王家 → エルディアの王。大陸に残った元々の王家。ダイナの家系。

不戦の契り

不戦の契りに囚われるフリーダ

©諫山創 講談社 進撃の巨人 89話「会議」

始祖の力を制限するといえば「不戦の契り」です。しかしこれだけでは足りません。

なぜなら「不戦の契り」はレイス家にしか通用せず、よその血筋の者に奪われた途端に無効になるからです。

思想の違うフリッツ王家に始祖を奪い返されてしまった場合、血迷って超大型巨人を出動させるかもしれません。

カール・フリッツはフリッツ家を裏切って始祖を奪った立場なので、当然敵は血眼になって狙ってきます。

始祖を敵から守り抜くためにはもっと強力な対策が必要です。

超大型巨人による三重の壁

カール・フリッツはあれほど恐れた超大型巨人の大群を結局使ってしまった、ということです。

道に封印しておけるのであればそれが一番良かったのですが、フリッツ王家からの侵略を防ぐにはもうそんなことも言ってられません。

ウォール教の祈り

©諫山創 講談社 進撃の巨人 33話「壁」

カール・フリッツはフリッツ本家と距離を取るためにパラディ島に逃げ、道で出荷待ちの超大型巨人を地上に出現させ、すぐに硬質化で固めて三重の壁を作ることにしました。

超大型巨人を使うということは、当然その器となる50万超のユミルの民が必要になります。それは大陸から連れてきた国民の一部です。これはカールが抱える大きな罪の1つでしょう。

エルディアの残虐な歴史に対して罪悪感を抱くのも理解できるのですが、フリーダの落ち込みようを見るとやはりカール由来の罪もあるほうが自然な気がします。

「壁の巨人の中の人」は世界の平和を守るために自らが生贄となることを受け入れた人たちなのでしょうか?あるいは始祖の巨人によって洗脳されたのでしょうか?

いつかその真相をアルミンが知ることになるのかもしれません。ベルトルトの「誰か僕らを見つけてくれ」は壁巨人の中の人たちの代弁、という解釈も出来ます。

レイス一族が抱える罪悪感はエルディア帝国時代のものに加えて、この壁巨人に対するものもあるのではないでしょうか。

楽園送りはフリッツ王家を根絶やしにするため

さらにタイバー家に協力を要請し、大陸のフリッツ王家の粛清に励んでもらいました。これが楽園送りです。フリッツ王家の根絶やしに成功すれば、始祖の力を行使することが出来る存在はレイス家だけになります。

三重の壁に加えて、大量の無垢の巨人が壁外を彷徨うことにより、強力な防御態勢が完成しました。壁内人類には記憶改竄を施し、自らの家名をレイスに変えてカモフラージュも完璧です。

粛清・楽園送りが順調に進めば、フリッツ王家の血筋は根絶し、始祖の力を行使できるのはレイス家のみになります。ここまでがカールの計画だったのでしょう。

カールの施策の矛盾と顛末

  • 不戦の契り → 壁の巨人を封印(地鳴らし封印)
  • 三重の壁と無垢の巨人 → フリッツ王家の侵略を防ぐ
  • レイス王家で始祖を継承し続ける → 安全維持

「壁の巨人を封印するために壁の巨人が必要」というおかしな関係になってしまっています。

そしてご存知の通り、この計画は失敗に終わります。

カール・フリッツは小さな破壊の繰り返しを断とうとしたことで、皮肉にも最大の破壊を招くことになりました。

言ってしまえばもはやカール・フリッツが地鳴らしを起こしたようなもんです。

カールやタイバーが甘かったのか、エルディアの執念が勝ったのか。

そもそも巨人大戦勃発周辺にはおそらく「進撃の巨人」も絡んでいると思うのですが、この辺りも考察すると面白そうです。

まとめ

三重の壁は145代目カール・フリッツが地鳴らしを防ぐために作ったと考えられる。それ裏付けるシナリオがあるとしたらどんなものか。

カールは始祖の力を行使するために座標を訪れたときに始祖ユミルが超大型巨人を量産する姿を見た。

これはつまり始祖ユミルに破壊の意志がある(ないこともない)ということ。始祖の力の使い方を誤って超大型巨人の大群を出動させれば世界は終わる。

超大型巨人の出動を防ぎつつ、始祖の巨人をフリッツ王家に奪われないようにする方法を模索した結果、パラディ島へ逃避して三重の壁を作るに至った。

壁を作った後は自らに「不戦の契り」を課し、始祖の巨人の力を一部を使えないようにした。

さらに防御態勢を固めるために、大陸ではタイバー家がフリッツ王家の粛清、楽園送りを敢行。壁外を無垢の巨人で埋め尽くし侵略を困難にした。

壁の巨人の中の人は当然ユミルの民である。カールは世界の安全と引き換えに大量の国民を犠牲にしたことになる。

残された謎

  • 壁の中の人は誰か: 何か特別な思想を持つ人たちなのか?
  • 三重にしてある理由: 娘が3人であること以外に理由があるのか?
  • 巨人を並べる方法: 始祖による巨人コントロール?

余談・ジークとアルミンは地鳴らしを止められるのか

136話でジークとアルミンが道で出会ったのは非常に興味深いことです。

ジークの破滅的な思想はカール・フリッツと通じるものがありますし、彼らは親戚同士です。不戦の契りを無力化したジークであれば他にも何かを掴んでいる可能性があります。

アルミンは超大型巨人の継承者ですから、壁の中の地鳴らし巨人と道で繋がっていると考えられます。135話で涙を流すベルトルトが現れたのも無関係ではないでしょう。

2人はカール・フリッツがやったように超大型巨人の暴走を止める方法を見つけ出すのではないでしょうか。

巨人を操ることが出来るジークと超大型巨人と繋がっているアルミンであれば、あっと驚く方法で地鳴らしに対抗出来るのではないかと思います。

メニュー