「いってらっしゃい」1話と138話の繋がりを考察
1話と138話の「いってらっしゃい」の繋がり、845のコマ周辺との関係を考察します。
大雑把に結論を言えば、物語はあくまでも一本道であり、不思議な場面は全て「道(記憶)」として解釈すれば辻褄が合うだろう、というものです。
- 「道」経由で循環(ループ)しているパターン
- 特に循環(ループ)していないパターン
- ペンローズの三角形パターン(ねじれたループ)
3つの可能性を考えます。
ループといっても記憶ツアーのエレンとグリシャと同じようなもので、やり直しとかではありません。
138話から1話に繋がるんだけど、初めから全てが決まっていた、未来と過去が同時発生して因果が循環している、というイメージです。
- 138話のミカサの理想も1話の845前も基本的に全部「道」という解釈で済ませられる。
- やり直しループ、俗に言うパラレルワールド(並行世界、if世界、〇〇ルート)ではない。
- 1話の『「いってらっしゃい」から845まで』の2ページ半はエレンの理想の世界(壁なし世界)である。
- 1話の少年エレン(道)が見たのは、138話の短髪エレン(道)がミカサに「いってらっしゃい エレン」と言われた記憶。
- 138話のミカサの理想の世界と1話のエレンの理想の世界がリンクしている。
- 1話の少年エレン(道)は「いってらっしゃい」によって未来のミカサからの承認を得たため、自由を求める心に火がついて現実(845の後)に戻ってきた。
- 「いってらっしゃい」の記憶を見たのは道の少年エレン。なので、進撃の巨人を継承する前だとか、未来の記憶が~という話は関係ない。
【導入・前置き】 なぜ「道」なのか
「道」の世界の不思議
作中で何度か描かれてきたように、道では時空がねじ曲がったような感じで不思議なことが起きます。
120話ではジークが鎖を作ったり壊したりしました。好きなものを想像すれば作れるということです。
137話ではアルミンには葉っぱに見えるものがジークには野球ボールに見えたりしました。本人の気持ち次第のようです。
また、昔の人が死んだときの姿で現れたりしていました。死のない世界です。
123, 131, 133話ではエレンが誰かにメッセージを送ったり、道に呼び寄せたり、他人の意識に介入しています。136話のアルミンは道に居ながら仲間の戦いの様子を把握できていました。現実世界と通信も可能なようです。
また道で流れる時間は言ってしまえば無限であり、過去と未来が同時に存在し、前後も関係もありません。
道は高次元の世界なのだと思います。
1話の不思議な場面。845のコマの前は壁がない
©諫山創 講談社 進撃の巨人 1巻1話「二千年後の君へ」
- 赤: 道の世界。エレンの理想?なので壁がない。
- 青: 現実世界。壁あり。845年のお話がここからスタート。
- 緑: 記憶。138話で短髪エレンが見たミカサ
根拠の詳細は別ページを読んでいただきたいのですが、赤枠内のコマは「道」での出来事だと考えられます。
845の後が845年なんだから、その前は845年じゃないだろう。じゃあ何なのかといえば道の世界の可能性が高い、という話です。
そして、ここはエレンの理想の世界なので壁がありません。
それから、木の幹に十文字の傷があるのですが、他の回想シーンに登場するこれと同じもののように見える木には傷がついていない、というか確認できません。つまり同じものではない可能性が高いということです。
この場面を現実世界だと解釈するとあらゆる出来事の辻褄が合わなくなりますので、とにかくこの赤枠内は「道」なのだと思って下さい。
138話のミカサの理想の世界はエレンと共有
©諫山創 講談社 進撃の巨人 34巻138話「長い夢」
138話の「ミカサの理想の世界」では、スイス風の山小屋でエレンとミカサが2人暮らしをしていました。
基本的にベースの部分は始祖の巨人の力で生み出されたものだと思います。「始祖は何でも作れる」というやつです。始祖の力と結び付けずに「そういうものだ」で済ましても良いと思います。13-14話のエレンとアルミンが子供の姿になってイェーガー宅で会話している場面がありますが、あれに始祖の力が絡んでいると考えるのは不自然です。だから山小屋も同じようなものだとみなしても特に不都合はないのではないでしょうか。
ミカサの理想が反映されているのはあくまでも「2人で暮らしている」という外側の部分が中心であり、意識の部分はエレンが介入している感じだと思います。
なぜなら、エレンのセリフ「マフラーを捨ててオレを忘れてくれ」は、ここが完全にミカサだけの理想の世界なのであれば出てこないはずだからです。また、エレンの寿命が残り4年であることはミカサにとって何も嬉しくないでしょう。
理想半分、現実半分という感じでしょうか。
エレンが釣りや薪割りといった仕事を精力的にこなしミカサがゆっくりしているのは現実と関係が逆になっており、これもある意味2人の理想が表現されているように感じます。
現実と理想が重なる描写
事実として、138話の終盤には「現実世界」と「理想世界」が重なっている描写が登場します。
- 現実ミカサが短髪エレンの頼みを「ごめん できない」と断っている(39p左下)。←通信しています。現実世界のミカサと理想世界のミカサが重なる。
- ロン毛エレンの首が切られた後、短髪エレンも首だけになっている(45p下)。←連動しています。現実世界のエレンと理想世界のエレンが重なる。
首がつながっていたらこういう持ち方にならない。下を隠したりしないはず。©諫山創 講談社 進撃の巨人 34巻138話「長い夢」
つまり、この理想世界も進撃ワールドにおいては広い意味で現実の範疇だということです。
これをif世界とか別の世界線とか別ルートという設定を持ち出して、1話との繋がり含めて矛盾なく説明するのはかなり難しいのではないでしょうか。
お互いにガンガン干渉しまくっている以上、少なくともif世界や別ルートではありませんし、世界線が枝分かれする必要もないでしょう。
また、複数の世界線が干渉して1つの世界を作り上げているのであれば、それこそ一本道と変わりありません。
「あの時ああしていれば、こうなったかも」なんていうのは読者である我々が普通に誰でも脳内でイメージすることです。
そもそも夢と現実が重なるような演出は珍しくありません。むしろ王道パターンであり焦点は見せ方です。その見せ方が上手いから進撃の巨人は面白いんじゃないでしょうか?
ということで、この一連の不思議な現象は記憶と道で説明してしまったほうが簡単だと思います。
理想の世界の時間設定と2人の姿
ミカサの理想の世界について、注目すべきはエレンのセリフ「マーレの戦争が終わって2ヶ月」です。現実の時間と合致していることを示しています。
ミカサの理想は「あのとき別の答えを選んでいたら」という想いや葛藤が強く反映されているものだと考えられます。だから123話の選択から138話までの現実に則した設定なのでしょう。
一方、1話のエレンの理想の世界は、おそらくアルミンに外の世界の本を見せられて「壁(不自由)」を意識したことが反映されています。だから「壁がない(自由)」のです。
そしてその頃のエレンとミカサは10歳なので、2人共その当時の姿であの理想の世界にいる、という感じなのではないでしょうか。
138話~1話。「道」で起きたこと
順番通りに並べればこんな感じになります。
「いってらっしゃい」を聞いた短髪エレンが眠りにつき、セットチェンジ。舞台はシガンシナ区郊外の野原へ。エレンとミカサは19歳から10歳に若返ります。
目覚めたエレンは目の前にいるミカサを見て、さっきまで見ていたミカサよりも髪が長いことに気づきます。
少年エレンが「短髪エレンの記憶(いってらっしゃい エレン)」を見た、ということです。
短髪エレンと少年エレンが繋がっている、つまり身体は少年エレンだけど心は短髪エレンなので「ミカサの髪が伸びている」と感じるのです。
これは87話でエレンとグリシャの記憶が繋がり、エレンが自分のことを「私」と言った場面と同じことが起きていると考えるとわかりやすいと思います。
ミカサやそれ以外の誰かがエレンに記憶を送った訳ではありません。もちろん誰かが記憶を送った可能性は0ではありませんが、無理して記憶のやり取りを考えなくてもこの場面の解釈は可能だということです。
ミカサにしてみれば「いってらっしゃい エレン」からの「おかえり エレン」ということになるのでしょうか。
どうやって短髪エレンから少年エレンに記憶が伝わるのか?
短髪エレンから少年エレンへの記憶伝達はどのように行われるのでしょうか?
「道」の世界の話なので「何でもあり」で済ませられそうです。短髪エレンも少年エレンも「道」では同一人物みたいなものだろうと。1人の人間であると考えれば記憶の伝達もクソもありません。
とはいえ、もう少しパキッとした結論が出るならそれに越したことはないとも思います。
©諫山創 講談社 進撃の巨人 32巻130話「人類の夜明け」
このコマは明らかに第三者目線です。そこに誰かいた、ということになるでしょう。違う可能性もありますが。
現実世界で死んだエレンが精神だけになって「道」のシステムを利用して自分の記憶を振り返るとか、鳥になって色々見て回るとか色々想像できます。
131話で始祖ユミルが地鳴らし現場に現れてラムジーの最期を見届けた場面がありましたし、138話でもミカサとエレンのキスを見ています。
結局、記憶ツアー的な何かが起きて記憶が伝わったということになるのかもしれません。
今のところ言えるのは、具体的な過程は不明だけれど短髪エレンから少年エレンに「いってらっしゃい」が伝わったことは確かだろう、ということです。
循環(ループ)するパターン
ループと言ってもやり直すためにループしているのではなく、一本道の物語の中に包まれる形で閉じたループがある、というイメージです。
上で書いたように、1話の「いってらっしゃい」から845のコマまでは「道の世界」です。
道で起きることは過去とか未来とか関係ありません。
なので、「138話: 854年スタイルの大人エレンと大人ミカサのいってらっしゃい」の後に「1話: 845年スタイルの少年エレンと少女ミカサ」が来る流れも成立します。記憶ツアー的なものが絡めばもっと融通が利くでしょう。
第1話の「現実のエレンとミカサ」と「道のエレンとミカサ(845年スタイル)」は互いに同期、干渉しているような感じなのだろうと思われます。
1話のエレンと138話のミカサの共通点
御存知の通り、1話のエレンと138話のミカサはどちらも「長い夢を見ていた気がする」と同じようなセリフを言い、同じように涙を流します。
このように 重ねて描かれている ということは、2人の置かれている状況も似ていると考えられる訳です。
138話の世界は、ざっくり言えば記憶の世界、つまり「道」です。そして138話のそれとそっくりな状況である1話の世界も「道」である可能性が高いと考えられます。
なぜ道と言えるのかというのは導入で書いた道の特徴に合致するからです。
作者はこれまでに「道ってだいたいこんな感じです」と散々布石を打ってきました。なぜかといえば後で使うためです。
物語のクライマックスで、謎の新設定を使うか、今まで布石を打ってきた設定を使うか、考えるまでもないでしょう。
ここに居て良いのかな??
138話のミカサは涙を流した後、「ここに居て良いのかな(※原作は全部ひらがな)」と言いました。
本人の中で現実に戻って戦わなくてはいけないという意識があるからでしょう。
ということは、1話のエレンも同様に、「ここに居て良いのかな??」と思っているんじゃないでしょうか。
他のエピソードとの類似
©諫山創 講談社 進撃の巨人 4巻14話「原初的欲求」
14話「原初的欲求」で戦闘不能になったエレンをアルミンが叩き起こす場面があります。
アルミンに「どうして外の世界に行きたいの?」と聞かれたエレンが「オレがこの世に生まれたからだ!!」といって闘志を燃やすアレです。
エレンはずっと家の中にいたいような雰囲気でしたが、アルミンの呼びかけで気持ちが変わりました。わずかでも外向きの気持ちがあったからでしょう。
ちなみにこのときのエレンとアルミンは子供の姿です。エレンの家族の姿も当時のものが再現されています。これは何か意味があるのでしょうか?もしあるとすれば1話のエレンとミカサが子供の姿であることと無関係ではないように思われます。
他にも126話のハンジ、127話のジャンなど、一旦自分の甘い理想の世界に浸りたいという願望を抱きながらも結局考え直して戦場に戻ってくる例がいくつかあります。
当然、138話のミカサもそうです。
これは1話の赤枠内のエレンにも当てはまるのではないでしょうか。
つまり道のエレンは理想の世界にいて楽しんでいるのだけれど、「いってらっしゃい」の記憶を見た影響で心の何処かで「ここに居て良いのかな」と思ってしまい涙が流れ、「戦わなくては」という意識が芽生えてきているということです。
「いってらっしゃい」の2つの意味
138話の「いってらっしゃい」は2つ意味があると思います。
1つは、「戦う覚悟を決めたミカサ」が「ロン毛エレン」に対する「逝ってらっしゃい」というお別れの意味。
それともう1つ、「戦う覚悟を決めたミカサ」が以前のミカサの理想の世界の住人である「戦うことを放り出した短髪エレン」に対して「行ってらっしゃい」という意味もあるでしょう。
ミカサは自分でマフラーを巻き戦う覚悟を決めた(マフラーも捨てたくないしエレンを忘れたくもないから)。そして同時に、いつも自由のために戦い、自分の元を離れていくエレンの生き方を認めた、ということなのだと思います。
エレンにとって、これは17話アルミンの「どうして外の世界に行きたいの?」と同じ役割のセリフだと思われます。いわば着火装置です。
ミカサの理想の世界とエレンの理想の世界のリンク
©諫山創 講談社 進撃の巨人 1巻1話「二千年後の君へ」
おそらくエレンは生まれたときにグリシャから「お前は自由だ」と言われており、自由の奴隷となっています。その一方で、空や雲を見てボケっとしている面も持ち併せています。動と静が絶えず綱引きしているような感じでしょう。
静のエレンの思いが強めに出ているのが理想の世界(壁なし世界)というイメージです。幼いエレンはアルミンの影響で自分の不自由さに気づき、壁が邪魔だから壊すために行動したいと思いつつも、それとはまた別に心に折り合いをつける1つの方法として初めから壁のない世界を想像している…要は138話のミカサと同じようなものです。
このエレンの理想の世界(壁なし世界)が138話のミカサの理想の世界(スイス山小屋)とリンクしている。だから138話の後に1話の世界が登場するのだと思います。
138話のミカサの理想の世界(夢?スイス山小屋)でミカサに「いってらっしゃい エレン」と言われた短髪エレンが目を覚ますと少年エレンになっており、目の前に少女ミカサがいて、そこはエレンの理想の世界(夢?壁なし世界)だった ということです。
記憶から記憶へ移動、言い換えれば道の世界で山小屋からシガンシナ近郊の野原に一瞬でセットチェンジしたような感じです。
そしてエレンは「ここに居て良いのかな?」と感じ、涙を流す。「いってらっしゃい(ミカサからの承認)」の影響で徐々に動のエレンが優位になって845のコマの後の現実世界へ戻ってきた……。
見事に繋がったんじゃないでしょうか。勘違いでしょうか??
なぜ進撃の巨人を継承する前の少年エレンが未来の記憶を見れたのか?
なぜ進撃の巨人継承前の少年エレンが未来の記憶を見られたのでしょうか?
答えは 見ていない ということになります。
- ①短髪エレン(道)
- ②いってらっしゃい(道)
- ③少年エレン(道)
- ④845年の本編エレン(現実・下界)
「いってらっしゃい」を見ているのは「①短髪エレン(道)」と「③少年エレン(道)」です。
①短髪エレン(道)は「いってらっしゃい」の現物を見ており、③少年エレン(道)は「①短髪エレンの記憶」を見ています。
2人は道にいるので、過去とか未来とか死んだとか死んでないとかあまり関係ない感じなんじゃないでしょうか。
④845年の本編エレンは同じ時間軸の③少年エレン(道)と重なってしている感じ(だから泣いている)かもしれませんが、未来の記憶を見たりはしていないということです。
別にゆるゆるでも良いのでは…
エレンは主人公だし、例外的に未来の記憶を見られてもいいんじゃないかとも思います。
進撃継承者の息子として生まれていること、赤ちゃんのときに記憶ツアーで大人の自分を見ているなど、条件はある程度揃っている気がします。
アニメのファルコが未来の記憶を見たっぽい描写もありますが、これは単なるメタ発言のお遊びかもしれません。内容も調査兵団と巨人が戦っているっぽいというだけで、「未来」とは限りません。
鳥の描写なんかも併せて、道の設定の核心に迫る何かが最終回で明らかになることを期待しています。
なぜ845年の「その日」とシンクロするのか
なぜ道のエレンと現実の845年のエレンがシンクロしたのかといえば、「その日」に超大型巨人が攻めてくるからでしょう。
ここでエレンが戦う気を起こさなければ、物語が進みません。
そしてもう1つ、120話に「記憶の断片」に登場するミカサ。
©諫山創 講談社 進撃の巨人 左・第1話「二千年後の君へ」 右・第120話「刹那」
- 左(1話)は「道のエレンが見たミカサ」
- 右(120話の記憶の断片)は「現実のエレンが見たミカサ」
だと考えられます。
1話では、845のコマの前に現実世界で何が起きたのか描かれていません。しかし120話の記憶の断片のミカサによって、1話の現実では道と重なってほぼ同じようなことが起きていたのだと想像出来ます。
少年エレンの変化
「いってらっしゃい」によって少年エレンはミカサに承認されたので、自由を求める気質が以前より強くなっています(「いってらっしゃい」より前の10歳エレンより強くなっているということです)。
だからその後、ハンネスに食って掛かり、調査兵団に入団する云々でミカサや母カルラと揉める訳です。
ハンネスは「あいつ調査兵団に入りたいんじゃ…」と驚いていますが、これはつまりエレンの変化を感じたということではないでしょうか。
そしてエレンはグリシャへ猛烈なプレゼンを披露し、「地下室を見せてやろう」に繋がっていきます。
循環(ループ)しないパターン
循環するパターンとほとんど同じ。1話との繋がりをしっかり触れるか触れないかの違いくらいしかありません。
©諫山創 講談社 進撃の巨人 1巻1話「二千年後の君へ」
- 赤: 道の世界。エレンの理想?なので壁がない。
- 青: 現実世界。壁あり。845年のお話がここからスタート。
- 緑: 記憶。138話で短髪エレンが見たミカサ
1話の赤枠内(道の世界)の描写は845の後と繋がっていると見せかけて実は違いました、あれはもっと先の話でしたよ、というパターンです。
赤枠内(道の世界)はエレンの理想の壁のない世界。幼い頃の美しい思い出を舞台にエレンとミカサが永遠に2人でいられる、みたいなロマンチックな話かもしれません。
この裏で現実世界では何が起こっていたのか、それが最終回で明らかになるのではないでしょうか。
ペンローズの三角形パターン
基本的な考え方はループするパターンを踏襲して、1話の845のコマ前後の繋がりをペンローズの三角形のようなイメージでねじれたループになっていると解釈することもできます。
気持ち悪いかもしれませんが、ねじれさえ受け入れられれば一本道で貫き通せるのでこれが一番シンプルなのではないでしょうか。
さらに、最終話(単行本加筆分)のフリッツ王が槍に刺されているコマの解釈もこのねじれに吸収させることができます。
まとめ
138話のミカサの理想も1話の845前も基本的に全部「道」という解釈で済ませられる。
やり直しループ、パラレルワールド(並行世界、if世界、〇〇ルート)ではない。
1話の『「いってらっしゃい」から845まで』の2ページ半はエレンの理想の世界(壁なし世界)である。
1話の少年エレン(道)が見たのは、138話の短髪エレン(道)がミカサに「いってらっしゃい エレン」と言われた記憶。
138話のミカサの理想の世界と1話のエレンの理想の世界がリンクしている。
1話の少年エレン(道)は「いってらっしゃい」によって未来のミカサからの承認を得たため、自由を求める心に火がついて現実(845の後)に戻ってきた。
「いってらっしゃい」の記憶を見たのは道の少年エレン。なので、進撃の巨人を継承する前だとか、未来の記憶が~という話は関係ない。
余談。頭痛など
将軍家(東洋の一族)の血 or アッカーマンの血による特殊能力など、そういった驚きの新設定なしでも「いってらっしゃい」は十分解釈可能なのではないでしょうか。
というのも、最終話で本格的なネタバラシが来た時に「そういうことだったのね!」という衝撃をもたらすには、既に仕込まれていて且つ無理のないこっそり感が必須だからです。あまりにも唐突で斬新過ぎると興醒めするでしょう。
ミカサがフリッツ王家の血を引いている(107話の将軍家がフリッツ家と懇意にしていた~ 123話のユミルの民の血を取り入れるのは高貴の証~)というのは伏線として解釈できるし既存の設定を踏襲しているのであり得るとは思います。そうするともしキスによって云々ということがあれば納得感が増します。
将軍家云々というのは意味ありげに感じるので形はどうあれ何かしらの回収がされる可能性もあると思います。そのほうがスッキリしますし。
頭痛は結局よくわかりませんが「ミカサが何かを強く感じているから起こる」ってことで十分なんじゃないでしょうか。
エレンも王政編まではグリシャのことを思い出して頭痛を起こしていますし、地下室以降は頭痛以上の苦しみを味わっています。苦しいのです。要は。
驚くような答えが出たら少し嬉しいですが、出なくても構わないかなとも思います。
138話の「いってらっしゃい」図解
終盤、道と現実が重なっていると思われます。
現実ではミカサがロン毛エレンの首を切断。道では「いってらっしゃい エレン」と言い、短髪エレンの生首をそっと持ち上げる。再び現実に戻り、ミカサが生首ロン毛エレンにキス。
現実の首斬りに合わせるように、道の短髪エレンが首だけになっているところを見ると、一連の流れは現実と道が干渉し合って重なっているのだと思います。
短髪エレンは寿命が尽きた訳ではなく、現実のロン毛エレンが首を切られるからぐったりしている、ということでしょう。漫画なので時間経過があったのならばそれに合わせてエレンとミカサの服装や髪型に変化があるはずです。