「誰か僕らを見つけてくれ」の意味

頼む…誰か…お願いだ…誰か僕らを見つけてくれ…

©諫山創 講談社 進撃の巨人 12巻48話「誰か」

ベルトルトの世紀の迷言「誰か僕らを見つけてくれ」

エレンを誘拐中、同期たちに説得されている最中に飛び出した意味不明なこのセリフ。誰に向かって言っているのかも不明、「僕ら」とは自分以外は誰を指すのかも不明、見つけたところでどうして欲しいのかも不明…わからないことだらけです。

104期ユミルはベルトルトのこの言葉を聞いたことで何かを感じ、壁内にヒストリアを残し、ライナーとベルトルトを助けて一緒に彼らの故郷に帰ることを決断します。

エレンが叫びの力(座標)を使ったのを見て、104期ユミルは「壁の中にも希望がある」と感じていました。つまりヒストリアと共に生きる道を選ぶことも出来たにも拘わらず、敢えてライナー達を助けたのです。

104期ユミルはなぜそこまでする必要があったのでしょうか??

彼女の行動とベルトルトのセリフに何か関係があるのでしょうか?

誰か僕らを見つけてくれ

ベルトルトは超大型巨人の継承者です。そして、三重の壁は超大型巨人で作られています。

ベルトルトは「僕ら」と言っています。

つまり、壁の中の巨人たちを見つけて欲しい、どんな思いで壁の巨人になったのか知って欲しいということなのかもしれません。

真相は超大型巨人を継承したアルミンがいずれ知ることになるのではないでしょうか。

しかしこのセリフが不思議なのは、これにユミルが反応しているということです。何か別な意味も隠されている可能性があります。

104期ユミルの境遇と行動

世界の真相を知っていたのか

ウトガルド城や巨大樹の森での会話から、104期ユミルは壁の外の世界について何か知っていそうなことがわかります。

結局彼女がどこまで知っていたのかは謎のままですが、ヒストリアに宛てた手紙の内容から察するにマーレ時代の記憶はしっかり戻っていたようです。

エルディア人(ユミルの民)が世界中から憎まれておりいずれパラディ島が危険な状況に陥ってしまうことは、ライナーたちの言動・行動から察した部分も含め、おおよそ理解していたのだと考えられます。

104期ユミルは当時の壁内人類より一歩先に進んだ人物であり、彼女の行動は示唆に富むものだと思います。

なぜライナー&ベルトルトと帰ったのか

お前の声が聞こえちまったからな…

お前らがこの壁を壊しに来なければ 私はずっと覚めない悪夢を見ていたんだ。私はただ…その時借りたものを返してるだけだよ

©諫山創 講談社 進撃の巨人 12巻50話「叫び」※単行本追加ページ

104期ユミルはライナーたちの仲間(マルセル)を食って人間に戻り※、悪夢から目覚めて束の間の自由を得ることが出来ました。

自分が壁内に戻り自由を謳歌し続けるということは、ライナーとベルトルトを犠牲にすることにもなります。

もしあのとき104期ユミルがエレンやヒストリアと一緒に壁内に戻っていたら、ライナーたちはすぐ追いかけて来たでしょう。彼らにとって手ぶらで故郷に帰ることは死を意味するからです。

そうなるとボロボロの調査兵団はどうなっていたでしょうか。ヒストリアを助けることは出来なかったかもしれません。

彼女は様々なことを考えて「借りを返す」決断をしたのでしょう。

※ 正確には人間には戻っていません。顎の巨人を継承したことで寿命が13年になってしまいました。

「誰か僕らを見つけてくれ」への回答

エレンが始祖ユミルにかけた言葉

待っていたんだろ ずっと

二千年前から 誰かを

©諫山創 講談社 進撃の巨人 30巻122話「二千年前の君から」

ちょっと複雑ですが、ベルトルトのセリフは座標で始祖ユミルが2000年間誰か(エレン)を待ち続けていたことの伏線だったといえるでしょう。

エレンが始祖ユミルにかけた言葉によってベルトルトの言葉の意味が明確になって回収された、ということになると思います。

全てのユミルの民は見えない道で繋がっている、ということを踏まえるとなんとなく腑に落ちるのではないでしょうか。

また、マルセルの件があったとはいえ、104期ユミルは壁外人類に救いの手を差し伸べた最初の人物となりました。この物語がただ単に敵と味方が戦って勝った負けたで終わらないのだということを強烈に印象づけたように思います。

さらにこの2つのセリフは、下のヒストリアのセリフとも繋がっていると考えられます。

レイス家礼拝堂地下にてエレンを助けるヒストリアのセリフ

自分なんかいらないなんて言って泣いている人がいたら…そんなことないよって伝えにいきたい

©諫山創 講談社 進撃の巨人 16巻66話「願い」

ヒストリアのセリフはユミルとの出会いが大きく影響しています。

104期ユミルは困っているベルトルトを見つけました(他のメンバーはベルトルトが目の前にいるのに見つけられませんでした。やむを得ないことですが)。

そしてエレンに受け継がれ、始祖ユミルとのシーンに繋がっていきます。

まとめ

「頼む…誰か…お願いだ…誰か僕らを見つけてくれ…」

「自分なんかいらないなんて言って泣いている人がいたら…そんなことないよって伝えにいきたい」

「待っていたんだろ、ずっと。二千年前から誰かを」

ベルトルトと始祖ユミルが繋がったようにも感じられますし、始祖ユミルがベルトルトを通して発したメッセージのようにも受け取れます。

104期ユミルがベルトルトやヒストリアを、ヒストリアがエレンを、エレンが始祖ユミルを「見つけた」ということなのだと思います。

「見つける」「見つけてほしい」ってどいういうことなのでしょうか。

「許し」や「承認」あたりが近いのかもしれませんが、非常に難解です。

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