単行本の表紙と本編の内容の違い
進撃の巨人は単行本の表紙が本編に登場しない場面が描かれている…!
なーんて話題になったりしますが、それ自体は漫画として珍しいことではありません。よくある話です。
ただしそのズラし方がなかなか絶妙でけっこう面白かったりします。
このページの趣旨は、パラレルワールドか!?みたいな話ではなく、ただ単に「本編と違い」に注目して楽しむことです。
1巻
表紙エレンが壁内側から超大型巨人に斬りかかろうとしている
本編エレンは壁外側から超大型巨人のうなじを斬ろうとする。
このとき既にエレンは巨人の弱点が「うなじ」であることを知っています。
正面から飛び込む姿は間抜けに見えます。
2巻
表紙ミカサが巨人のうなじを斬って倒している
本編表紙でミカサが倒しているのはエレン巨人が倒した巨人
1巻最終話でエレンが巨人に食われてしまい生死不明。2巻ではエレンが巨人になって復活するので、ネタバレを防止するための仕掛けかもしれません。
しかしだからといってエレンが倒す巨人が登場するのもわざわざヒントを出しているようでおかしな話に思えます。
3巻
表紙エレンが部分的に巨人化。ミカサは中、アルミンは外にいる
本編エレンに呼ばれるまで2人は外に出ない
アルミンがエレン巨人の肋骨の外に出てきていますが、本編ではエレンに呼ばれるまで外に出てきません。
4巻
表紙訓練兵時代の104期生が集合
本編こんな場面はない
トロスト区攻防戦が一段落し、訓練兵団の回想が中心になる4巻に相応しい表紙です。
特に意味はないのかもしれませんが、ベルトルトとクリスタは成績上位にも拘わらず除外されています。
サシャが芋を食っている姿は地味にネタバレです。比較的スペースに余裕があるにも拘わらずコニーが見切れています。可哀想です。
5巻
表紙リヴァイ班が夜の街中を進軍中、巨人に遭遇
本編出発は朝。
壁外調査出発直後と思われる場面。出発は朝のはずが夜。しかも夜は動かないはずの巨人が襲ってきており地味に先の展開を示唆しています。
多分ペトラだと思うのですが、アルミンに見えます。
6巻
表紙荒野で女型の巨人+他と戦闘するエレン&ジャン&ライナー。エレンが頭に攻撃を受けて血飛沫が上がる
本編こんな場面はない。荒野で女型の巨人(1体のみ)と戦うのはアルミン&ジャン&ライナー
エレンのやられ様が銃で頭で撃たれた人のそれです。
7巻
表紙巨大樹の森でリヴァイ班&エレン巨人が女型の巨人と戦闘している
本編リヴァイ班とエレン巨人はそれぞれ別々に女型の巨人と戦闘する
後から見ると夢の協演という感じがして切ないです。エレンの後悔、無念が引き立ちます。
8巻
表紙街中でエレン巨人と女型の巨人が戦闘中。ミカサは別な相手と戦っているっぽい
本編街中での戦闘の相手は女型の巨人のみ
エレンと女型の巨人を差し置いて一番手前に描かれているミカサが目立ちます。
ミカサの視線が画面の外に向いているので女型の巨人に仲間がいるような雰囲気です。
鎧の巨人や超大型巨人も同時に現れたのでは?と思わせます。
9巻
表紙獣の巨人と戦うエレン&ミカサ
本編エレンとミカサは獣の巨人と戦わない
月明かりの下で戦っていることが本編の内容を匂わせています。
ちなみにエレンとミカサはついに獣の巨人と戦うことは1度もありませんでした。
10巻
表紙ウトガルド城の屋上にいる私服のクリスタ、コニー、ユミル、ライナー、ベルトルト。調査兵団の制服姿のエレンとミカサ。
本編エレンとミカサが駆けつけたときには既にウトガルド城は崩壊している。
コニーが顔面全て収まりました。何かを指差しているようです。他のメンバーもその方向を見ています。
ユミル巨人のことを考えると、時系列が歪んで色んな情報が一枚にまとめられているようで興味深い一枚です。
仲間を守るためにさっそうと駆けつけたエレンとミカサという感じになっていますが、実際のエレンは巨人を1体倒してはしゃいだ挙げ句転んで怒られます。
11巻
表紙エレン巨人が右手、鎧の巨人が左手で相手を殴ろうとしている
本編似たような場面で鎧の巨人は右手のパンチを繰り出す
ライナーの手が逆、という細かい違い。
激しい殴り合いという感じですが、打撃はライナーが圧倒的に強く一方的な展開。エレンは投げ技と極め技に活路を見出します。
12巻
表紙手から煙を出すエレン。脇腹を押さえているミカサ。ユミル巨人と肩に乗るヒストリア。周囲には巨人
本編こんな場面はない。4人が近くにいることもないし、エレンは手の傷が治るまでこんなポーズは取っていない。
この瞬間でシャッターを切った作者の悪意を感じますが、ユミル巨人はお気に入りらしいです。
実際はユミル&ヒストリアは調査兵団と対立する立場であり、エレン&ミカサと一緒に戦ったりしません。
13巻
表紙倉庫らしき場所で構える新リヴァイ班
本編倉庫に乗り込むとき、エレンとヒストリアは別な場所で避難している
ローアングルがなかなか粋な一枚。リヴァイ班に捕まった敵の目線のようです。
エレンはかなり格好つけていますが、本編では巨人化実験に失敗してぐちゃぐちゃになったり、ヒストリアと一緒にのんびり待機だったりとかなりイメージが違います。
14巻
表紙酒場のカウンターでエルヴィン、ハンジ、リヴァイがポーズを決めている
本編こんな場面はない
他の漫画にもありそうなイメージ画像的なパターン。主人公よりも人気がある上司3人組。場所はストヘス酒場でしょうか。
15巻
表紙目を見開くエレン。口の端にケガをしている
本編15巻の時点で、エレンはまだ猿轡を外してもらっていない
顔面ドアップという珍しい一枚。
エレンは14巻2話目で猿轡をはめられますが、15巻が終わってもまだ外してもらえません。
16巻
表紙ヒストリアが腕に注射器を当てている。背後には巨人の骨
本編ヒストリアが注射を打とうとする場面、側には常にロッド・レイスがいる。また右腕はもっと開いているし、左腕はもっと上に上げている。
注射が巨人化するためのものということは15巻でわかっているので、「え?!ヒストリアが巨人になるの?」という感じでなかなか緊張感があります。
17巻
表紙夕暮れ時の牧場らしきところで佇む新リヴァイ班
本編こんな場面はない。みんな忙しく荷物を運んでいる
他の漫画にもありそうなイメージ画像的なパターン。コニーが見切れています。
18巻
表紙壁の上。エレン、アルミン、リヴァイ、ミカサ他
本編この並びでいる場面はない。壁の上にいるときは基本的に全員フードを被っている。またアルミンだけは別行動
何かに驚き注目している兵士たちの巻。これも本誌の表紙などでよくあるパターン。
19巻
表紙鎧の巨人と戦うエレン巨人と肩に乗るアルミン、すぐそばで飛んでいるミカサ
本編鎧の巨人と戦うときはエレン巨人は1人
硬質化パンチ&雷槍のネタバレ。
20巻
表紙馬に乗って獣の巨人と戦うエルヴィンと調査兵団。頭と左腕を負傷しているリヴァイ。
本編馬に乗って獣の巨人に向かっていく時、リヴァイは別行動する上、ケガもしない
勇ましく獣の巨人に向かっていく兵士たちですが、実際はこんな悠長に近づける状況ではなく…。
特に周りに敵がいなそうな状況でリヴァイが頭と左肩をケガをするとすれば?という意味では本編の内容を示唆しているともいえるかもしれません。
21巻
表紙本を開く時、エレンの手が上(本の上の方を触っている)
本編本を開く時、ミカサの手が上(本の上の方を触っている)
地下室には「本」がある、というネタバレ(だいたい想像はつきますが)。
エレン、ミカサ、リヴァイ、ハンジの4人が地下室に行く…ということは生死が気になるあの2人はまさか……?と不安を煽っているように見えなくもありません。
22巻
表紙海に入って遠くを指差すエレン。後ろにはアルミンとミカサ。
本編最後のページは逆方向から描かれている。セリフの内容が表紙からは想像し難いものになっている。
「わあ、海だ!」と思わせて叩き落とすパターン。
23巻
表紙マーレの戦士隊&戦士候補生の集合
本編こんな場面はない。ライナーは上着を着ているときは襟付きのもの。
腕章の色の違い(名誉マーレ人・赤、戦士候補生・黄色)がわかるのはカラーの表紙ならでは。
ジークが1人だけそっぽを向いているのが後の裏切りを示唆。ピークとポルコは車力の巨人と顎の巨人で登場させて顔バレを防止。
24巻
表紙ウォール・マリア内の避難所。エレン&アルミン&ミカサとライナー&ベルトルト&アニがニアミス
本編このときお互いがこんなに近づくことはない。
ライナーがアニに肩を貸す姿を後ろから眺めるベルトルトが切ないです。
エレンはまだ鍵を貰っていない模様。
25巻
表紙建物を突き破って巨人化するエレン
本編ほぼ本編に則している。しかし、この角度で描かれているコマはない。表紙の部分だけだと周囲の状況がわからないが、本編ではそれが重要だったりする。
巨人が戦う漫画ですから表紙にされなくてもエレンが巨人化するのは予見できます。しかしそのタイミングや状況を考えるとなかなか笑える表紙に見えてきます。
26巻
表紙新しい制服&装備で戦うリヴァイ、ミカサ、ジャン、コニー、サシャ
本編ほぼ本編に則している。しかし、こんな場面はない。表紙はあくまでもイメージという感じ。
戦うヒーローたちのイメージ画像。
しかし彼らはエレンとジークの手の掌の上で踊らされており、この戦いの先に何があるのかよくわかっていません。
27巻
表紙牢屋の中で手を噛んで巨人化しようとするエレン
本編こんな場面はない。顔に巨人化跡を出すが、そのときは手を噛んでいない。
ハンジとの面会のときは手を噛んでいません。脱走のときはやっていたのかもしれませんが。
上に逃げるんじゃなくてそっちだったのね、と驚かせるための演出でしょうか。
カメラ目線はハンジにいじられそうです。
28巻
表紙うなだれるジーク、背後から迫るリヴァイ。奥に巨人らしき骨。
本編こんな場面はない。ジークはもっとひどい状態で巨人から出てくる。
ジークは兵長の怒りを買い、ぐちゃぐちゃにされて酷い言葉を浴びせられます…。
左の巨人の骸骨は軽く伏線っぽい感じはします。
29巻
表紙左にイェーガー派、右にマーレ軍
本編こんな場面はない。エレンと銃を突きつけるピークは登場する。表紙はあくまでもイメージという感じ。
イェーガー派 VS マーレ軍。パラディ島勢が完全に蚊帳の外です。
ドライアイスが焚かれているのがなんだか笑えます。
30巻
表紙左後ろを振り向くエレン、背後に始祖ユミル。
本編エレンは始祖ユミルを見る時、右後ろに振り向く。
まるでエレンと始祖ユミルだけのような印象ですが、本当はジークも居るし、ジークがいなければ座標に到達することは出来ませんでした。
31巻
表紙地鳴らし巨人と対峙するミカサ。遠くにエレン巨人
本編ミカサが地鳴らし巨人と正面から対峙する場面はない。
ミカサが一旦外しているはずのマフラーを巻いています。
奥の方に見える操り人形のような始祖エレンの上半身は32巻まで登場しません。巨人の顔が一人ひとりかなり違うのは芸が細かいです。
32巻
表紙夕日(朝日?)をバックに武器を放射状に構える調査兵団残党&マーレ軍残党合同チーム。
本編こんな場面はない。リヴァイとファルコとアルミンがいない。表紙はあくまでもイメージという感じ。
イェレナとオニャンコポンはともかく、リヴァイとアルミンとファルコの3人がいないのは何か意味があるのかと勘ぐってしまいます。
マフラーなしのミカサ。またしても見切れるコニー…。
33巻
表紙エレン巨人と対峙するミカサ、アルミン、リヴァイ、ジャン、コニー
本編こんな場面はない。実際はエレン巨人の背骨に着地するので正面に回ることはない。
勇ましく雷槍を構えて飛び込むアルミンですが、理想と現実の違いを叩きつけられることになります。
マフラーを巻いているミカサ。
34巻
表紙あの丘の木に向かって「かけっこ」する子供姿の104期主要メンバー12人。壁が無くなっている。
本編こんな場面はない。137話でアルミンがジークに話した「かけっこ」のメンバーは3人であり、背景には壁がある。
主要メンバー12人は最終話が掲載された別冊マガジン2021年5月号の表紙と同じです。
129話でマガトが語った「あの子達がただ普通に生きることができたら 俺は…どんなに嬉しかったか」が思い起こされます。