「王家の血筋」と「始祖の巨人」の関係

進撃の巨人に登場する「王家」とは、基本的にエルディア帝国時代の王家であるフリッツ家および派生したレイス家(初代壁の王である145代目の王カール・フリッツの家系)のことを指します。

そして「王家の血筋」とはフリッツ家やレイス家の血筋のことです。

この王家の血筋は、始祖の巨人の真価を発揮するために必須とされています。

ただ単に王族だから偉いとか地位が高いというだけではなく、巨人の力に深く関わるからこそ物語で重要な役割を担っているということです。

エルディア帝国の王家。フリッツ系

エルディア帝国の王家。フリッツ家とレイス家

およそ2000年前、始祖ユミルが巨人の力を手に入れたことにより勢力を拡大したエルディアの部族が築いたのがエルディア帝国です。

全てのユミルの民は元を辿れば始祖ユミルに繋がると考えられています。

またフリーダやヒストリアなどパラディ島にいる王家も元を辿ればフリッツ家ということになります。

フリッツ家の分裂

©諫山創 講談社 進撃の巨人 21巻86話「あの日」

巨人大戦の頃、145代目の王の時代にフリッツ家は方向性の違いから分裂してしまいます。

そして敗戦後、大陸とパラディ島に分かれました

フリッツ家

初代王、ダイナ、ジークなど。

122話に登場したエルディア部族をルーツに持つ王家。

巨人大戦でエルディア帝国が敗れた後も大陸に残りました。

王家の残党は革命軍としてマーレと戦い続けたもののほとんどが粛清されたようです。どうやってダイナの家系が生き残ることができたのかは不明です。

後に唯一の王家の生き残りだったダイナ・フリッツがエルディア復権派に合流。リーダーのグリシャと結婚し息子ジークを出産。

レイス家

ロッド、ウーリ、フリーダ、ヒストリアなど。

巨人大戦終了後、145代目の王カール・フリッツが一部の国民を引き連れてパラディ島に移住しレイス家に名前を変えました。

三重の壁を築き、民の記憶を改竄。

偽フリッツ家(おそらく一緒に島に連れて来た貴族)を表の支配者として用意し、レイス家は裏の支配者として「始祖の巨人」を継承し続けていました。

およそ100年間平和を維持していたものの、845年にフリーダがグリシャから始祖の巨人を奪われてしまいます。

その他の国の王家

その他の国、といっても王家と呼べるような存在はヒィズル国の将軍家しか出てきません。

ヒィズル国の将軍家

ヒィズル国の将軍家

©諫山創 講談社 進撃の巨人 27巻107話「来客」

ミカサの母方の家系。

100年以上前、ヒィズル国はエルディア帝国と同盟関係にあり、フリッツ家と将軍家は懇意にしておりパラディ島に逗留していました。

ヒィズル国の認識では巨人大戦の混乱によって行方不明とされていたようですが、実はパラディ島でひっそりと血を繋いでいました。

ミカサが唯一の生き残りです。

「フリッツ家と懇意にしていた」ということで、ミカサにもフリッツ王家の血が入っている可能性もありますが詳細は不明です。

王家の血筋と始祖の巨人

始祖の巨人の真価を発揮するためには「王家の血を引く者」が継承しなければならない、というのが作中の定説です。

そしてこの王家の血統のことを表現する際に「王家の血筋」という言葉が使われています。

作中で「始祖の巨人」や「王家の血筋」がどのように描かれてきたのか、順を追って紹介します。

壁の中の巨人が見つかる 8巻33話「壁」

壁の中の巨人

©諫山創 講談社 進撃の巨人 8巻34話「戦士は踊る」

発端は対女型の巨人戦でストヘス区の壁の中の巨人が見つかったことです。

なぜ壁の中に巨人がいるの?!という衝撃。

このとき、ウォール教のニック司祭が「日光を当てるな」と大慌てで飛んできました。

ハンジに「こいつはなんか知っているに違いない」と目をつけられるのですが、ニックは頑なに秘密を喋ろうとしません。

壁の秘密を託されている血族の存在 9巻37話「南西へ」

ウォール・ローゼ破壊の報告を受けてハンジ達が壁の穴の修復に向かいます。このとき、ニック司祭はハンジ達に同行し、途中の街で避難する住民の様子を見て秘密を話すかどうか決めることにしました。

そして悲惨な状況を見て少し心が揺らぎ、秘密の一部を間接的に暴露します。

我々は代々強固なる誓約制度を築き上げ 壁の秘密をある血族に託してきた

ニック司祭のこの語りが「王家の血筋」を示唆する最初の場面です。

またニックはその血族は「壁の秘密を知り公に話すことを選べる権利を持っている」とも言います。

ヒストリアが王政に狙われる

エレンがライナーたちを巨人を操って追い払った後、王政の動きが激しくなります。

王政は中央憲兵を使ってエレンとヒストリアを露骨に狙ってくるようになりました。

調査兵団はあれやこれやと対抗するうちに、レイス家が本当の王家であることを突き止めます。

そして王政が狙うヒストリアはレイス家の血を引く者です。何か関係あるのでしょう。

巨人の力は人から人へ移し替えることが可能 14巻57話「切り裂きケニー」

エルヴィンはハンジから「エレンは器に過ぎない」という分析を聞いた後、ニック司祭が言った「誓約制度が云々」について見解を語るのですが、このセリフの解釈はちょっと難しいです。

簡単に言えばエルヴィンの疑問は、「ニック司祭が言う“ある血族が担うとされる役目”はとても大事なものなのだから普通は信頼できる人に任せるのでは?なのにどんな人間かもよくわかっていない、ましてや妾の子であるヒストリアがその重要な役目を担うのはおかしいだろう」というものです。

ところがどうやらエレンの中にある巨人の力をヒストリアに移せば王政の目的は達成されるらしい……。

エレンにはなくて、ヒストリアにはあるものは?

血統しかないよね ということになります。

レイス家の血を引く者 16巻64話「歓迎会」

巨人の力はレイス王家の血を引く者でなければ真の力が発揮されない

©諫山創 講談社 進撃の巨人 16巻64話「歓迎会」

 

この力はレイス王家の血を引く者でないと真の力が発揮されない

彼がその器である限り この地獄は続くのだ

ロッドのセリフによって、巨人の「真の力」を発揮するには、その力を宿すのはレイス王家の者でなければならないことが判明します。

これがまさに 王家の血筋 が重要だと言われる由縁です。

この巨人の力はグリシャがフリーダから奪い、それがエレンに引き継がれているのですが、それじゃ駄目だと。だから巨人の力をレイス王家の血を引くヒストリアに移そうという話です。

「強固な誓約制度」「壁の秘密を公に話す権利」

そしてニック司祭が言っていた「強固な誓約制度」「壁の秘密を公に話す権利」がはっきりします。

ロッドによれば、巨人の力を手に入れたレイス家の人間の中で 壁の秘密を世に広めた者は誰一人としていない そうです。

そしてそれが この壁の世界を創りし初代王の思想を継承した証拠 だと言います。

秘密が明らかになるかと思いきや、煙に巻かれてしまいました。

この辺の謎がややこしくて面白いのは、ヒストリア本人が自分の出生の詳細を知らず、ニック司祭や中央憲兵の人間も全貌までは知らず、挙句の果てにロッド・レイスも実はほとんど何も知らなかったというところです。

神 16巻66話「願い」

巨人継承者を神と呼ぶロッド・レイス

©諫山創 講談社 進撃の巨人 16巻64話「歓迎会」

ロッド・レイスは若い頃は「巨人を倒せ!」と意気込んでいたのですが、沈黙する家族の様子を何十年にも渡って見ているうちに諦めてしまったようです。

そして巨人継承者を「神」と呼び、弟ウーリにお願いされた通り、祈ることを自分の使命とするようになりました。

そんな父の姿や壁の王のあり方に疑問を抱いたヒストリアは父ロッドを投げ飛ばして巨人継承を放棄し、戦う道を選びます。

始祖の巨人 17巻67話「オルブド区外壁」

ハンジ命名・始祖の巨人

©諫山創 講談社 進撃の巨人 17巻67話「オルブド区外壁」

レイス家礼拝堂地下で起きた一連の騒動をヒストリアから聞いたハンジが、エレンの中にある巨人の力を「始祖の巨人」と呼びました。

以後、作中で「始祖の巨人」という呼称が定着します。

ハンジの分析

「始祖の巨人」の力はレイス家の血を引く者が持たないと真価を発揮できない。

しかし、レイス家の人間が「始祖の巨人」の力を得ても、「初代王の思想」に支配され…人類は巨人から解放されない

真価を発揮する、とは?

ここで疑問なのは「真価を発揮する」とは結局何を意味するのかよくわからないということです。

レイス家の血を引く者が始祖の巨人を継承しても、その力を満足に使えず人類が巨人から解放されないのであれば、それは「真価を発揮する」とは言えないのではないでしょうか?

ここに登場する「初代王の思想」というのが、後に登場する「不戦の契り」と呼ばれるものに繋がります。

ヒストリアは初代王の思想を「破滅的な平和思想」と呼び、切り捨てています。

初代王の思想 → 不戦の契り

「不戦の契り」に悩まされるフリーダ

©諫山創 講談社 進撃の巨人 22巻89話「会議」

「不戦の契り」については88話「進撃の巨人」でクルーガー、89話「会議」でハンジ、99話「疾しき影」でヴィリー・タイバーが演説で言及します。

しかし結局のところそれが何なのか詳細は不明であり、結果だけが提示されているという状態です。

要は「戦わない」ことで、自滅の道へ繋がるという話なのだと思われます。

座標の力・地鳴らし

座標の発動を思い出すエレン

©諫山創 講談社 進撃の巨人 22巻89話「会議」

なんだか役に立たなそうな王家の血筋ですが、その有用性が実は王政編に突入する直前の12巻50話で示されていた、ということが89話で発覚します。

エレンの「叫びの力」とか「座標」とか言われているあれです。

エレンはあのとき、巨人を操って母カルラを食べた巨人を倒したり、ライナーたちの足止めをしたりしました。

始祖の巨人は様々な力を持っていますが、「巨人のコントロール」はその中でも代表的なものです。

壁の中の巨人を発動させる「地鳴らし」もいわば「巨人のコントロール」の延長と解釈することができるでしょう。

王家の血を引く者。ダイナ・フリッツ

王家の血を引く者。ダイナ・フリッツ

©諫山創 講談社 進撃の巨人 22巻86話「あの日」

エレンは自分が「座標」を使ったときに触れたのが、グリシャの前妻であり王家の血を引く者でもあるダイナの巨人であることがわかってしまいました。

エレンは「始祖の巨人を宿す者」が「王家の血を引く巨人」に触れることで、始祖の巨人の真価を発揮できると気づいたのです。

確かに、あのときは「不戦の契り」らしきものに影響された様子はありませんでした。

しかし、この段階ではあくまでもエレンの推測に過ぎません。この事実を公にすればヒストリアが巨人にされてしまうかもしれないので、エレンは黙っていました。

クサヴァーの発言。エレンとジークの接触へ

「不戦の契り」を破る方法

©諫山創 講談社 進撃の巨人 29巻115話「会議」

「始祖の巨人保有者」と「王家の血を引く巨人」が接触することで「不戦の契り」を破ることが出来る。

この秘密はエレンが気付くよりずっと前にマーレの戦士クサヴァーが突き止めており、ジークに伝えていました。

ジークはグリシャとダイナの息子なので、王家の血筋です。そして獣の巨人の継承でもあるので見事に条件を満たしています。

いかにしてパラディ島が世界と戦うかという話になると「地鳴らし」は欠かせない。それには「王家の血筋」が必須。

ということで、エレンとジークを接触させるかさせないかがマーレ編以降の物語を左右する重要な要素になっていきます。

「普通のユミルの民」と「王家の血筋」との違い

122話の描写から、始祖ユミルが奴隷であること、また初代エルディア王は巨人の力を持たない人間であることがわかります。

そしてユミルの民とは初代エルディア王と始祖ユミルの娘たちから広がっていった民族であると思われます。

そうなると、ユミルの民は始祖ユミルと初代王の両方の血を受け継いでいることになり、全員が王家の血筋ということになってしまいます。

王家の血筋は特別な存在なはずなのに、これでは話が合いません。

王家の血筋の定義が間違っているのでしょうか?何か有効な判別方法があるのでしょうか?

あるいは、もっとふわっとした感じなんでしょうか?

作中で答えは出ていませんが、別ページで考察しています。

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