最終話「あの丘の木に向かって」
概要
道の世界でのエレンとアルミンのやり取り。2人の予てからの夢だった未知の世界を冒険しながら、エレンがアルミンにこれまでの行動の真意を話し始める。
エレンはアルミン達に自分を殺させるために、始祖の力を使って真意を伝えつつ、あえて記憶を消していた。
最終的にミカサの手によってとどめが刺され、エレンが死んだことによってユミルも成仏(?)、光るムカデも消滅。そして巨人の力がこの世から消え去り、無垢の巨人と化していたジャンやコニー、ガビら全てのエルディア人が人間の姿に戻る。
ミカサはエレンを埋葬するために生首を抱えて1人でこっそりパラディ島へ向けて出発。
アルミンはミュラー長官らマーレ人に対して、エルディア人はもう巨人になれないから争う必要はないと説得しその場を収める。
そして3年後。世界の緊張状態は続いていおり、パラディ島エルディア国は軍備増強に力を注いでいる。一方、世界連合はアルミンらを大使としてエルディア国との和平交渉を試みようとしていた。
シガンシナ区の郊外のあの丘の木。エレンを想い続けるミカサの元に1羽の鳥が訪れる。
関連
「始祖の力がもたらす影響には過去も未来も無い…同時に存在する」とは?
エレンが過去のダイナ巨人を操った方法。ベルトルトを見逃してカルラの元へ向かわせた理由
なぜ「未来は変えられない」のか
なぜ始祖ユミルを解放するのはミカサでなければならなかったのか
アッカーマンに記憶の改竄は効かない?
この回で回収された伏線
お前は自由だ…
情熱大陸(2018/11/18)で明かされた最後のコマ(予定。変更もありえると発言していた)のセリフ。赤子を抱く男性(?)が描かれている。
男性はグリシャで赤子はエレン。「オレがこの世に生まれたからだ」「生まれたときからこうだった」「原初的欲求」に繋がる。グリシャは祝福つもりで言ったのかもしれないがエレンはある意味自由に囚われた。結果的にはグロス曹長や初代フリッツ王のセリフと同じような感じ。代償を払い進み続ける地獄の自由。
木に彫られた十文字(十字架)
エレンが寝ていた木の幹に十文字が彫られている
1巻1話「二千年後の君へ」
エレンの死を示唆。また、木の幹の十文字の傷が消えている、というか「無い」。1話と最終話の木は別物、つまり1話の場面は「道」ないしは夢や空想であり、最終話のラストシーンは現実(下界)と考えられる。エルディア復権派のメンバーが体に彫る印も十文字なので何か意味があるのかもしれない。ちなみにアニメ版では木に十文字の傷は無い。明るさ、明瞭度等を上げて見るとわかる。無い。
エレンの涙
エレンは起きた後なぜ涙を流していたの?
1巻1話「二千年後の君へ」
罪悪感だと考えられる。あるいは138話のミカサのように「(自由を求めて、みんなのために戦わずに)ここに居ても良いのだろうか」という気持ち。87話から「記憶の持ち主」と感情や行動がシンクロすることがあるとわかる。
鳥籠 その2
なぜ人類が鳥籠に囚われる?
1巻1話「二千年後の君へ」
最終的にエレンが鳥になるから、と解釈できる。
駆逐してやる一匹残らず②
エレンのセリフ「駆逐してやる一匹残らず」
1巻2話「その日」
自ら犠牲となりこの世から巨人の力を消し去った。
エレンの夢 その2
エレンのセリフ「巨人を駆逐してこの狭い壁内の世界を出たら…外の世界を探検するんだ」
1巻3話「解散式の夜」
エレンの始祖の力によってアルミンと2人で外の世界の探検が実現。現実ではついに叶うことはなかったが鳥になって世界を飛び回っているのかもしれない。
炎の水・氷の大地・砂の雪原
アルミンの祖父の本に書いてある「炎の水・氷の大地・砂の雪原」
1巻4話「初陣」
始祖の巨人の力を使い、エレンとアルミンが2人で未知の世界を冒険しているような形で登場する。炎の水→マグマ。氷の大地→そのまま。オーロラが見える場所。砂の雪原→プレーンな道の世界。あるいは「地鳴らし」で踏み潰された後の荒野。
鳥
唐突に鳥
9巻36話「ただいま」
空飛ぶ巨人の伏線?あるいは鳥になったエレン?
本当に気持ち悪いよ
エレンのモノローグ。ライナーに対して「本当に気持ち悪いよ」と毒を吐く
11巻43話「鎧の巨人」
ライナーはヒストリアの手紙の匂いを嗅ぎ、ジャンに「気持ち悪い」と言われる
母さんが食われたときの話
エレンが母カルラが巨人に食われたときの話をしてベルトルトを攻める。「気の毒だと思ったよ」と答えるベルトルト…
11巻46話「開口」
実はエレン自身が原因だった。
エレンとカルラの会話
なぜここでカルラの思い出?
12巻50話「叫び」
エレンが母の死を受け入れてミカサや仲間たちを守るために座標の力を使ったことを示唆。50話のエレンが無垢のダイナ巨人と接触するには、845年のダイナ巨人にベルトルトを見逃してカルラの元へ向かってもらう必要がある。50話のエレンが座標の力を使うということは過去のカルラが死が確定するということをエレンが認めなければならない。
マフラーを巻いてくれてありがとう
ミカサのセリフ「マフラーを巻いてくれてありがとう」
12巻50話「叫び」
本編最後のセリフ。未来のミカサとシンクロしていた?
そんなもん何度でも巻いてやる
ミカサに「マフラーを巻いてくれてありがとう」と言われたエレンのセリフ「そんなもん何度でも巻いてやる これからもずっとオレが何度でも」
12巻50話「叫び」
エレンが鳥になったのであれば、約束が果たされたことになる。
神だ
ロッド・レイスが「神だ」と言うコマは鎖に繋がれたエレンの後ろ姿が描かれている。
16巻66話「願い」
エレンが始祖ユミルについて語る場面で「神に等しい力を手にした」と言っている。それは始祖を掌握したエレンにも言えること。
ヒストリアの選択
父ロッドに嫌われたくなかった、間違っていないと信じたかったヒストリアが父を殺す選択をする。
17巻67話「オルブド区外壁」
ミカサがエレンを殺す選択をした結果を受けて始祖ユミルは王を庇わない画を想像していた。始祖ユミルは王に愛情を持ちつつそれ故縛られ従い続けることに葛藤があった。始祖ユミルと王家の血筋であるヒストリアは重ねられている描写が多い。
みんな何かの奴隷だった
ケニーのセリフ「みんな何かに酔っ払ってねぇと やってらんなかったんだな… みんな… 何かの奴隷だった… あいつ(ウーリ)でさえも」
17巻69話「友人」
問答無用で全員に当てはまってしまう超万能キラーフレーズ。始祖ユミルが奴隷であったことやエレンが自由に縛られていることを示唆していた、と捉えることも出来る
壁の外で燃え尽きるのだろう
シャーディスのモノローグ「あの目だ――あの子は父親が願ったように 自らの命を燃やし 壁の外で燃え尽きるのだろう 母親の想いも知らずに――」
18巻71話「傍観者」
その通りに燃え尽きた。ただし、母カルラの想いはシャーディスからエレンに伝えられた
エレンはグリシャに洗脳されている?
獣の巨人の中の人のセリフ「お前は父親に洗脳されている」
21巻83話「大鉈」
ジークが思うような洗脳はされていない。むしろエレンがグリシャを誘導していたフシがある。しかし「お前は自由だ」によって全てが始まったと考えればエレンもまたグリシャに植え付けられた固定観念に囚われていたということになる。
人類を救うのはアルミンだ!そうだろミカサ
エレンのセリフ「人類を救うのはオレでも団長でもない!!アルミンだ!!そうだろミカサ!?」
21巻84話「白夜」
道でエレンがアルミン本人に伝えた。そして「地鳴らし」を止めたことで島以外の人類を救い、さらにミュラー長官を説得してエルディア人を救うことになる。ただしエレンを殺したのは自分だと嘘をついた(本当はミカサがやった)。不発続きのゲスミンのホラ吹き作戦だったが、ラストはミカサとエレン(首)を守りつつ人類を救うという見事な締め括りとなった。またエレン斬首後の一連の流れが起こることをミカサも事前に知っていたと考えられる。
ダイナの最期
あの最期を見る限り間違ってなかった……と思う。
22巻88話「進撃の巨人」
「最期」とは?50話でエレンが座標の力を使ったときをダイナの「最期」とするのならば…クルーガーはそこまで見越してダイナを巨人にしたということになる。
人を愛せ
クルーガーのセリフ「壁の中で人を愛せ」の意味は?
22巻89話「会議」
エレンが生まれるために必要だから?最終的に巨人を駆逐するには、エレンには復讐心だけでなく愛も必要だった。
海
アルミンが嬉しそうに貝殻を見せているのにエレンは無視して海の向こうの敵の話を始める。貝殻には夢の終わり、少年期の終わりの意味が込められている。嫌な予感、不穏な空気が漂う。
22巻90話「壁の向こう側へ」
「道」の海。アルミンがエレンを殴り、エレンはアルミンに本音を漏らした。童心に帰ったような2人のやり取り。
貝殻
見向きもされなかった貝殻(夢の終わり、少年期の終わりを意味している)。
22巻90話「壁の向こう側へ」
「道」での別れの場面。アルミンからエレンに貝殻が手渡された。感謝、友情の象徴&引導。憎しみ合う世界を次のフェーズ(壁の向こう側へ)進めようとする想い。アルミンは「話し合い」を理想としていたが、一旦エレンが「地鳴らし」を起こして世界をパラディ島と同じ土俵に引きずり降ろさなければ何も始まらなかった。バトンタッチ的な意味もあると思われる。
鳥
ファルコが鳥を見て逃げろと言っている
23巻91話「海の向こう側」
鳥になったエレンがファルコを見ていた?
ダイナ巨人がベルトルトをスルー
なぜダイナ巨人はベルトルトを見逃したのか?
24巻96話「希望の扉」
50話でエレンが始祖の力を使った影響で、かつ始祖の力を使うために過去のダイナ巨人はベルトルトを見逃してカルラの元へ向かった。
オレにはわからなかったんだ
エレンのセリフ「どうして何もしていない人達があんな目に遭って…大勢の人が食い殺されてしまったのか…オレにはわからなかったんだ」
25巻100話「宣戦布告」
エレンは頭がめちゃくちゃになっている。
何で母さんは食われた?
エレンにカルラが巨人に食われた原因を問われたライナーは自分のせいだと答える。
25巻100話「宣戦布告」
139話を読んだ後だと、驚くエレンは何を思っていたのだろうか、と考えさせられる。
世界を救うためなら仕方がない
エレンのセリフ「世界を救うためだったら そりぁ 仕方ないよなぁ…」
25巻100話「宣戦布告」
139話を読んだ後だと、エレンはセリフは「世界(パラディ島のエルディア人)を救うためだったら(オレが母親を殺したのも)仕方ないよなぁ」と自問自答的なニュアンスも加わっているように感じられる。
ベルトルトの記憶
エレンがアルミンに「ベルトルトの記憶は何か見たか?」と聞く
26巻106話「義勇兵」
106話の段階では戦力的な話、あるいは巨人の秘密的な何かを想像させる。131話の時点ではアニ関連だったのかな?と思わせ、最終話まで読むと「ベルトルトが見たダイナ巨人」のこともあったとわかる。
ヒストリアの子の父
ヒストリアの子の父は誰?
27巻107話「来客」
作中では不明なまま。様々な可能性が考えられる。どうしても答えが欲しければキャラクター名鑑 FINAL を購入しましょう。
どっちが先?
ガビ「先に殺したのはそっちだ!!」ニコロ「知るかよ…どっちが先とか」
28巻111話「森の子ら」
過去と未来が同時に存在し互いに影響を及ぼしている時間の描き方と、憎しみの連鎖(マーレとエルディア等)が重なっている。始まりや原因はない。料理人だけに鶏卵…
自由意思
エレンのセリフ「それはオレの自由意思が選択したものだ」
28巻112話「無知」
進撃の巨人連載時期(2009~2021)の科学の常識では、人間の自由意志(free will)は存在しないとされている。エレンの迷走っぷりを示唆している?とはいえ、「自由“意志”」ではなく「自由“意思”」としているので何か意図があるのかもしれない。また自由意志はあるという主張もある。その場合、人間がコントロール出来るのは「止める」ことだけであり、始まってしまうものは勝手に始まってしまう。自由を求めるエレンの「地鳴らし」や始祖ユミルの「道に居続けること」を「止めた」ことで物語は完結した。
頭ベルトルト
エレン曰くアルミンの頭の一部はベルトルトになってしまっている。
28巻112話「無知」
複数の巨人を継承しているエレン自身にその自覚があったから言っていた。
お前がずっと嫌いだった
エレンのセリフ「オレは…ガキの頃からずっと ミカサ お前がずっと嫌いだった」
28巻112話「無知」
むしろ気持ち悪いほど好きで好きでたまらなかった。
エレンの不可解な行動
なぜエレンはミカサとアルミンを突き放すようなことをした?
28巻112話「無知」
パラディ島と仲間を救いつつ、同時に自身の変態的欲求を満たすため。
鳥
シガンシナ区上空を鳥の群れが飛んでいる
30巻120話「刹那」
ファルコが飛ぶ伏線? or 鳥になったエレン? or エレンが操っている鳥? or 始祖の巨人と視野を共有する鳥?
エレンの切ない表情
37ページ(記憶ツアー4ページ目)左下のエレン。切ない表情で家族3人の幸せそうな様子を見ている
30巻120話「刹那」
最終話を読んだ後だとより刺さる。ただ単にセンチメンタルになっている訳ではなかった。
エレンを…止めてくれ
グリシャのセリフ「エレンを…止めてくれ」
30巻121話「未来の記憶」
結局この後グリシャはエレンに巨人の力を継承してしまう。しかし、エレンが巨人の力を手に入れ、そしてその上で死ななければ巨人の力はこの世から消えないのでグリシャの言っていることとやっていることは矛盾しない。
タイムパラドックス?
「エレンがけしかけたことによって達成されたグリシャの始祖奪還(記憶ツアー必須)」と「エレンとジークが記憶ツアーを敢行(エレンの始祖必須)」の因果関係が矛盾してしまう?
30巻121話「未来の記憶」
この作品に(親殺しの)タイムパラドックスは存在しない。未来と過去が同時に存在して因果が循環する状況を生み出しているのが巨人の力なのだと考えられる。(そもそも因果などない or 「未来→過去」の因果も成立すると考えておけば納得できるかもしれない)
今の道
エレンがジークに向けて言うセリフ「あんたがオレを親父の記憶に連れ込んだおかげで今の道がある」
30巻121話「未来の記憶」
別な道(世界線?)があると思わせるミスリードだと考えられる。この作品では未来と過去は同時に存在する設定なので何をどう頑張っても「今の道」しか存在できない。「あのときの苦労があるから今のオレがある」のように現実世界でも普通に使われる表現なのでややこしい。もし仮に別な道があったとしても、エレンたちは認識できないはず。
誰か
エレンのセリフ「待っていたんだろ ずっと 誰かを」
30巻122話「二千年前の君から」
「誰か」は結果的にミカサ(エレン、みんなと解釈しても構わないような気もする)。ミカサがエレンにとどめを刺すことで、始祖ユミルは愛の苦しみから解放された。
いつか立ち上がる日
シャーディス教官が訓練兵のスルマたちに言ったセリフ
31巻125話「夕焼け」
いつかスルマたちがパラディ島のために活躍する?←残念ながらスルマは登場しなかった。まだ早かったらしい。
鳥
アルミンたちが乗る船の上空を飛ぶ鳥
32巻130話「人類の夜明け」
まるでこの鳥がエレンであるかのように回想が始まる。エレンは最後に鳥になった?
「どこでもいい」のグリシャ【記憶の断片】
「どこでもいい」のグリシャ。
32巻130話「人類の夜明け」
赤子のエレンを見るグリシャ。「お前は自由だ」のときだと思われる。
ベルトルト【記憶の断片】
96話。ウォール・マリアを破壊し巨人化解除直後のベルトルト。※ダイナ巨人視点
32巻130話「人類の夜明け」
エレンが始祖の力を使った影響でダイナ巨人はベルトルトを見逃してカルラの元へ向かうことになった。
ファルコ【記憶の断片】
91話。上空に手を伸ばすファルコ。※視点不明
32巻130話「人類の夜明け」
鳥になったエレン、または始祖が操っている鳥がファルコを見ていたのだと考えられる。
ヒストリアが妊娠する意味
ヒストリアの妊娠がもたらしたものは?
32巻130話「人類の夜明け」
エレンがヒストリアに提案したのは「争う or 逃げる」なのでいずれにせよ兵団と揉めて女王の立場は危うくなる。しかし妊娠ならば「エレンの真意を知っていたこと」を隠しつつ獣継承を避け、兵団とうまくやっていける。妊娠がなければジャンやコニーの家族を守ることや、和平交渉のための機会が設けられることすらなかったかもしれない。
道で会うエレンとアルミン
子供エレンと大人アルミンが道で遭遇。なぜ子供エレンと大人アルミンが道で会うのか?
33巻131話「地鳴らし」
エレンが子供でアルミンが大人なのは、道の世界の時間の流れは普通と違うから。道で遭遇していたのはエレンが始祖の巨人の力を使ってアルミンと未知の世界を冒険し、本音を話していたから。その締め括りが子供エレンと大人アルミンの描写。
壁の向こう側
アルミンのセリフ「まだ…僕らの知らない壁の向こう側があるはずだと…信じたいんだ」
33巻131話「地鳴らし」
このセリフの直前、アルミンはエレンと道で会話していた。そしてエレンから人類を救い壁の向こう側に行くことを託されていた。それが和平交渉へ向かう船上でのアルミンのセリフ「みんな知りたくなるはずだ 僕たちの物語を」に繋がっている。
誰かに…
ライナーは「エレンは誰かに止めてもらいと思っている」と思っている。直後にミカサのコマ
33巻133話「罪人達(つみびとたち)」
ミカサがエレンにとどめを刺した。
エレンと始祖ユミルのシンクロ
座標に並んで立つエレンと始祖ユミル
33巻133話「罪人達(つみびとたち)」
おそらくエレンと始祖ユミルは繋がっている。だから「誰か」をミカサだと感じたエレンの感覚はユミルのものでもある。よってミカサのエレン斬首&キスによって始祖ユミルは笑顔で解放された。ミカサはエレンと始祖ユミルを同時に巨人の力の呪いから解放したのだと考えられる。
豚を逃がそうとする(?)始祖ユミル
豚の囲いの柵に手をかけて微笑む始祖ユミル。
34巻135話「天と地の戦い」
始祖ユミルはフリッツ王への愛の呪縛にずっと苦しんでおり、解き放たれて自由になることを夢見ていた。33巻末の34巻予告や139話のエレンのセリフ、138話の始祖ユミルの笑顔と繋がる。
始祖ユミルの未練
始祖ユミルの未練とは?
34巻137話「巨人」
フリッツ王を愛していたが、その愛に縛られ道に残り巨人を作り続けていた。愛の縛りと自由を求める気持ちの間で葛藤し苦しんでいた。
全話 伏線一覧へ↩
謎
エレンとアルミンの会話の内容の信憑性は?
エレンとアルミンの会話はおそらく「道」で行われている。これは1つ前138話のミカサと同じパターンのはず(最後にエレンの顔に巨人化跡が出る)。ということはエレンが話している内容はアルミンが知りたかったことが反映されているのでは?
138話のスイス風山小屋のエレンはエレンらしからぬセリフを連発している。原因はあれがミカサの理想が絡んでいるからと考えられる。ならば最終話のエレンが話していることも、エレンの本音を知りたいアルミンが自分を納得させるために勝手に想像している部分があるのでは?
始祖ユミルの正体
始祖ユミルって何者?
極端に説明が少ないが他のキャラクターを通して描かれているからあえて省いていると思われる。ユミルの民にとって始祖ユミルは自分自身を写す鏡のようなものだと考えると終盤のエレン・ミカサ・アルミンらのセリフや行動は納得しやすい。もちろん完全に1:1という訳ではないと思う
始祖ユミルが待っていたのはミカサ?
なぜ始祖ユミルはミカサを待っていたのか?なぜミカサでなければいけないのか?
待っていたのは「誰か」であり、ミカサというのは結果論。始祖ユミルが幼い頃に男女がキスする光景を見て抱いた気持ちは、呪われた2000年が始まるきっかけのようなもの。始祖ユミルはエレンとの接触を機に終わらせると決め、「地鳴らし」以降、エレンが斬られるまでの過程の中で色々確認していった。そして最後にミカサとエレンがキスをする光景をかつて見たそれに重ねて、自分の気持ちを確認し「夢を諦めた」みたいな感じだと思われる。ミカサはミカサで人生の次の段階に進むためにはエレンを手放す必要があった。ユミルの話はエレンの潜在意識が作った寓話(嘘という訳ではない)、だから最後はミカサじゃないといけなかった。
なぜエレンはダイナの記憶を見たのか?
なぜエレンはダイナがベルトルトを見逃す場面の記憶を見たのか?接触が原因だとして、内容の由来は?
エレンが「カルラが巨人に食われて死ぬ」というトラウマを乗り越えて成熟した大人になるには、精神的・比喩的に親を殺さなければならない。それが達成されて初めてエレンは「自由」になれる。そしてこの告白が成り立つにはアルミンも同じ場面の記憶を見ていなければならない。だから最終話と131話の「自由だ 〜 なあ アルミン」が繋がっていると考えられる
なぜ巨人の力が消滅した?
ミカサのエレン斬首&キス→始祖ユミル笑顔→巨人消滅。なぜ??
始祖ユミルの未練(王への愛の苦しみ自由への渇望、娘たちの犠牲)の解消と納得。未練に執着することは巨人を作る続けることを意味する。彼女はエレンとミカサ以外にもジークとアルミンのやり取りや「地鳴らし」の惨状を観察していた。そして自分なりに葛藤への答えが出て執着するのを止めることにしたのだと思われる。
始祖の力がもたらす影響とは?
エレンのセリフ「始祖の力がもたらす影響には過去も未来も無い。同時に存在する」とは?どういうこと?
雑に言えばエレンにとっては「巨人の力のせいですべてが最初から決まっている(だけどオレが望んだからそうなったのかもしれない)」という認識だということ。もう少し細かい例: 50話でエレンとダイナ巨人との接触により始祖の力が発動され、その影響として「850年:無垢の巨人群がダイナ巨人や鎧の巨人を襲う」と同時に「845年:ベルトルト・スルー」も起きてしまったみたいな話。因果のループ(ブートストラップ・パラドックス)なので2000年全てを見渡せば何が原因なのかは特定できない。力の発動も同時なので結局最初からすべて決まっていたということになる。
世界線、パラレル、ループ、〇〇ルート??
世界線(俗的な)、パラレルワールド(俗的な)、ループ(やり直し)、if世界云々、別ルート云々
「変える前」の描写が一切登場しないため、これらの改変を伴うような概念は存在しないと考えられる(138話の山小屋も例外ではない)。物理学的な世界線やパラレル(並行世界)が作中に盛り込まれているかどうかは不明。ループというなら全く同じ時間を無限にループしているパターン。この辺のSF設定的な部分の解釈は、「ウォッチメン」のDr.マンハッタンの能力、小説「あなたの人生の物語(映画「Arrival(メッセージ)」)「タイタンの幼女」「スローターハウス5」映画「12 monkeys」「インターステラー」「テネット」、マンガ「手天童子(永井豪)」辺りが参考になるはず。
過去改変?
エレンは過去を改変している?
過去を変えたとわかる描写は1つもない(1つの場面に対してビフォー・アフターが存在しない)。すべて「実はこうでした」という形で抜けていた部分が明らかになっているだけ。過去干渉は織り込み済みで最初から決まっているので「改変前」は存在しない。
エレンの介入?
エレンは様々な場面に介入していた?出来るならもっと良い結末があったのでは?
意図的な介入をしていたとわかる描写はない。始祖の力を使ったせいで結果的に影響を与えていたとエレンが考えているものはある、という感じ。ダイナ巨人のベルトルトスルー(結果)は50話の座標発動(原因)と密接に絡み合って成立している。グリシャのレイス家惨殺と同じようなもの。
エレンは何を考えている?
エレンが何を考えているかわからない…?
人拐い殺しやリヴァイのエレン評など、かなり初期からエレンが異常なやつであることは示されている。とはいえ、状況は複雑であり何か一つの原因やエレンの目的を辿って誰もが納得する答えを出すのは難しいと思う。誰にも理解されない生まれつきの変態的な欲望を持つエレンに作者が寄り添った結果こうなったという考えもあるが、これは進撃の巨人でありヒメアノ〜ルではない。
映画「ヒメアノ~ル」なんですが - 現在進行中の黒歴史(作者・諫山創先生のブログ)
虐殺ありがとう?
アルミンや104期生は虐殺を肯定している?
アルミンは「…エレン ありがとう 僕たちのために… 殺戮者になってくれて… この過ちは絶対に無駄にしないと思う」と言っている。
アッカーマンに記憶の改竄は効かないのでは?
ミカサ「アルミンも…記憶が戻ったんでしょ?」アッカーマンに記憶の改竄は効かないのでは?
ミカサはアルミンの元に来る前にジャンたちの様子を見ていたから「アルミンも」と言った。みんな一斉に巨人化解除されているのだからミカサはそれを確認できたはず。また、ミカサはエレンが死ぬ前に山小屋の記憶(エレンとのやり取り)を見ており、アルミンたちとはタイミングが違う。あるいはミカサはエレンを殺したくない気持ちが強かったから自分で封じ込めていただけと考えたりもできる。いずれにせよこのセリフや138話の描写だけでミカサの記憶が改竄されたとは言えない。
なぜエレンは巨人の力が消滅することを知っている?
死んだ後のことはわからないと言ったエレンがなぜ巨人の力が消滅すること(ミカサの選択がもたらす結果)を知っているのか?
①推測 ②消える直前の始祖ユミルの視野を拝借 ③1話の「いってらっしゃい」から845のコマまでの「壁がない世界(巨人がいない世界)」を見ているから。
やりたかったんだ…どうしても…
なぜエレンはアルミンに地鳴らしを最後までやろうとした理由をわからないと言った?
エレンが地鳴らしを最後までやろうとしたことに明確な理由があると、アルミンが地鳴らしを止めた理由はエレンのそれよりも「崇高なもの・良いもの」になってしまう。かといって「仲間のため(パラディ島のため)」としてしまうと、アルミン達が共犯者であるとエレンが認めることになる。アルミンは自分が共犯者であることはわかっているし、エレンはアルミンがそう思っていることをわかっているが、それでもそうしないように答えている、ということなのだと思われる。
エレンは鳥になったのか?
エレンは鳥になったのか?
鳥や空を飛ぶことは自由の象徴として描かれているので、エレンは鳥になったのかもしれない。なったというか繋がっている。130話のファルコの記憶の断片(鳥視点)や131話&139話でアルミンと絡んだ鳥の描かれ方から見ると可能性は高い。ちなみにこの鳥のモデルはトウゾクカモメ類(北米で「parasitic jaeger(寄生的な猟兵)」呼ばれる(英名は arctic skua)。jaeger はドイツ語の狩人が語源)ではないかと言われていたりする。
壁の巨人はの中の人どうなった?
壁の中の地鳴らし巨人や中の人はどうなった?
「地鳴らし」のためだけに作られた巨人なので元々中の人がいない?三重の壁は将来「地鳴らし」が起きるから「作られてしまった」ものだと考えられる。始祖ユミルの未練である3人の娘の名前がついているのもそのため。
イェレナはどうなった?
イェレナはどうなった?
キヨミが生存していたのでイェレナもパラディ島に辿り着いているはず。散々島を掻き乱したので牢獄に入れられているのかもしれない。
ミカサはどうやって帰った?
ミカサはどうやってパラディ島へ帰ったのか?
長旅。再登場まで3年あるのでじっくり帰ったということにしておきたい。見た目ではエルディア人だとはわからないので途中で誰かに会っても問題ない。飛行艇で来た道を逆行してオディハ(or 近くの港街)まで歩き、船を拝借して1人で漕いで帰ったのかもしれない。
初代もカール・フリッツ?
初代フリッツ王の名前は145代と同様にカールだった?
別におかしくはないが、145代の王カール・フリッツⅡ世などと言われてもやや混乱する。エレン(クルーガー&イェーガー)、ユミル(始祖&104期)のようなパターンで何か意味があるのかもしれない。あるいは同様の誤植の可能性もある。単行本で修正されるかもしれない。←修正された。ちなみにアニメではカール・フリッツはフリッツ王としか呼ばれていないので、145代目であることや名前がカールであることは重要視されていない模様。
エレンは生きている?
エレンが生きている可能性はあるのか
139話ラストはじめ様々な鳥の描写&130話の鳥視点の記憶があり、さらにエレンが「ミカサの選択の結果」を知っていた、ということはあれで完全に絶命したとは言い切れない。もしかしたら道に逃れた可能性がある。「ユミルの民の道」→「エレンの民の道」的な移行があったかもしれない。
なぜ始祖ユミルはミカサの頭の中を覗いていたのか?
ユミルはミカサの頭の中を覗いていた?なぜそんなことがわかる?
始祖ユミルはミカサの中にあるもう一人の自分のイメージなのだと思われる。そもそもユミルの民全員にとって始祖ユミルはそういう存在なのだろう。みんなが存在すると信じているから存在するもの。
始祖ユミルが王を庇わなかったコマ
「ミカサの選択」により、始祖ユミルが王を庇わない世界が生まれた?過去が変わった?
138話の山小屋のようなものだろう。だから過去は変わっていない。変わったらミカサやアルミンは存在しないことになってしまう。始祖ユミルはユミルの民1人1人の中におり、彼女が悪夢から解放され別な夢を見始めたので巨人の力が消えた、という描写であるとすれば過去が変わったかどうか考えなくて済む。
始祖ユミルが王を庇わなかった描写の意味。なぜ巨人の力が消えたのか
ミカサとジャンは結ばれたのか?
ミカサとジャンは結ばれたのか?
エレンの墓参りをしているのはミカサとジャンっぽい。好きなように解釈すれば良いのでは。
最後の少年(少女?)は誰?
最後の少年(少女?)はミカサの子孫?
流れ的にミカサの子孫っぽいが不明。それなりに綺麗な格好をしているのでパラディ島はともかく世界全体がボロボロな訳ではなさそう。
過去回と重ねられている描写
巨人大戦
エレンがやったことは結果的に巨人大戦の再現のようなものになった。
エレン→カール・フリッツ。アルミン→タイバー家。ミカサ→へーロス。あるいはジャンやコニーたち含めて Heroes という解釈もできる。ギリシア神話では神と人間のミックスを英雄(へーロス)という。アッカーマン、特にミカサはへーロスのイメージなのかもしれない。
25巻99話「疾しき影」
「ありがとう」
アルミンがエレンに言った「…エレン ありがとう 僕たちのために… 殺戮者になってくれて… この過ちは絶対無駄にしないと思う」←エレンはアルミンはじめパラディ島を救うために「地鳴らし」をした(エレンの目的はそれだけでは無いが)。
リヴァイがアルミンに言った「アルミン お前が手を汚してくれたおかげで俺達は助かった ありがとう」←アルミンはジャンを助けるために対人制圧部隊の女性兵士を射殺した。
15巻59話「外道の魂」
報い
エレンが死なずに済む道を探そうと言うアルミンに対するエレンのセリフ「許されるわけがないだろう…」
ジークのセリフ「いっぱい殺してといて そんなの虫がよすぎるよな…」
34巻137話「巨人」
人か巨人か
ミュラー長官がアニ父らエルディア人に対して「ただの人であり巨人でないこと」を証明しろと言う。
キッツ隊長(小鹿隊長)が巨人になれるエレンを警戒し、貴様の正体は何だ?と問い詰める。
3巻10話「左腕の行方」
立体機動装置を捨てて説得を試みるアルミン
立体機動装置を外し無抵抗であることを示しつつ、エルディア人は敵ではないと訴えミュラー長官を説得するアルミン。
エレンが敵ではないことを訴え、キッツ隊長(小鹿隊長)を説得するアルミン。
3巻11話「応える」
自己紹介
アルミン「パラディ島のエルディア人 アルミン・アルレルト 「進撃の巨人」エレン・イェーガーを殺した者です」
ヒストリア「ヒストリア・レイス この壁の真の王です」
17巻68話「壁の王」
リーダーの顔
エルディア国を率いて世界と対峙するヒストリア
目つき顔つきがエルヴィンの面影がある描かれ方。手紙の内容「どちらかが消え去るまで」はエルヴィンがピクシスに語ったセリフ(16巻63話)やシガンシナ区決戦開始直後(17巻74話)を思わせる。
17巻74話「作戦成功条件」
抱っこ
ヒストリアが我が子を抱く姿
ミカサがエレンの生首を抱く姿
34巻最終話「あの丘の木に向かって」
マフラーを巻いてくれてありがとう
鳥にマフラーを巻いてもらったミカサのセリフ。
死を覚悟したのか、エレンに想いを伝えるミカサのセリフ。
12巻50話「叫び」
ミカサの決めゼリフ最終章
止めを刺すときのミカサのセリフ
Ⅰ. アニ落ちて(33話) Ⅱ. ライナー出て(82話) Ⅲ. いってらっしゃいエレン(138話) Ⅳ. おやすみなさいユミル
話
少年と木
少年と巨大樹
始祖ユミルと巨大樹。ユミルは犬に追いかけられていたが、少年は犬と共に行動している。
30巻122話「二千年前の君から」
小ネタ・擬音
女王もそういう時期
ヒストリアの手紙の内容
文体、内容が「そういう時期」を感じさせる。エレンのそれが伝染している
エレンの墓に刻まれた文字
エレンの墓に刻まれた文字の内容
おそらく「サイアイノアナタ ココデトワニ イネムリニツク 854(最愛のあなた ここで永遠に 居眠りにつく 854)」だと思われる
解決せずに決着したということで、とても進撃らしくて良いエンディングだったのではないでしょうか。
この作品は序盤からずっと、仲間、友情、信頼、勝利、正義、自由、愛……といった一般的にポジティブなものとされることに対して「こういう側面もあるのではないですか?」と疑問を投げかけ続けてきたように感じます。
だから最後に何かが解決されるのはあり得ないのだと思います。解決に繋がるような伏線は張られていないということです。
単行本、別冊マガジン掲載時の情報
タイトル | 最終話「あの丘の木に向かって」Toward the Tree on That Hill |
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公開 | 別冊少年マガジン:2021年5月号 発売日:2021年4月9日(金) |
コミックス | 発売日:2021年6月9日(水) |
サブタイトル「あの丘の木に向かって」の意味
鳥になったエレンが時空を超えて色々な場所を巡り、最後にミカサが待つあの丘の木に向かって飛んでいった。始祖ユミルが巨人の力を手に入れたあの巨木とそっくりになった丘の木の元へ新たな訪問者が訪れる。
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