第130話「人類の夜明け」

概要

区切り(?)の130話。ついに地鳴らしが本格的に描写されエレン巨人の全体像が明らかに。

鳥籠に囚われ、まるで操り人形のような皮肉の塊エレン巨人。禍々しいデザインでまさにラスボスと呼ぶに相応しい雰囲気を漂わせつつ、フィジカルは脆弱に見えます。ポキっと簡単に逝ってしまいそうです。

絶賛地鳴らし進行中のエレンの回想が中心で、お相手はイェレナ、ヒストリア、フロック、ジーク。ずっと伏せられてきたエレンの真意・会話の内容が明かされます。

しかし、ここまで来てもすっきり回収とはいかず、意味深な鳥が登場したりとさらなる謎がボコボコ生まれております。

関連

未来の記憶を見る仕組み

記憶を見せるのは進撃なのか始祖なのか

なぜ「未来は変えられない」のか

この回で張られていた伏線

アルミンたちが乗る船の上空を飛ぶ鳥

「いや…」の豚【記憶の断片】

「いや…」の豚。

「どこでもいい」のグリシャ【記憶の断片】

「どこでもいい」のグリシャ。

ベルトルト【記憶の断片】

96話。ウォール・マリアを破壊し巨人化解除直後のベルトルト。※ダイナ巨人視点

ファルコ【記憶の断片】

91話。上空に手を伸ばすファルコ。※視点不明

ヒストリアが妊娠する意味

ヒストリアの妊娠がもたらしたものは?

地鳴らしが襲った港街の場所

サブタイトル「人類の夜明け」&作中世界で太陽は西から昇るので、連合艦隊は東西に水平に並んでいることがわかる。つまり地鳴らしは街から見て北→南の向きで進んでいる。じゃあこの街はどこ?

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この回で回収された伏線

最低最悪の超悪い子

伏線

ヒストリアのセリフ「むしろ人類なんか嫌いだ!!巨人に滅ぼされたらいいんだ!!つまり私は人類の敵!!わかる!?最低最悪の超悪い子!!」

16巻66話「願い」

回収

エレンがヒストリアを説得する際にこのことを蒸し返す。

進撃の巨人

伏線

クルーガー→グリシャ→エレンへと継承された巨人の名前。作品タイトル回収

22巻88話「進撃の巨人」

回収

さらに「敵を駆逐するために進撃する巨人」というような意味合いもある

女の子か?

伏線

なぜエレンがファルコの恋心に気づけた?

24巻97話「手から手へ」

回収

エレンはマーレ潜入後にジークと会ったときにミカサについて話していたから

それが兄貴ってやつだろ

伏線

エレンとはろくに交流がないはずのジークが兄貴がなんたるかを語っている

24巻98話「よかったな」

回収

ジークはエレンと会っていた。エレンに恋愛相談されて浮かれているジーク…

グリシャの父との接触

伏線

グリシャの父、つまりエレンの祖父。

24巻98話「よかったな」

回収

エレンは勲章授与式(90話)でヒストリアと接触した際、未来の記憶でこのときの祖父を見ている。ということはグリシャも見たことになる。

ヒストリアの妊娠

伏線

なぜヒストリアは妊娠した?

27巻107話「来客」

回収

憲兵団がヒストリアにジークを食わせようと計画していた。それを避けるためにエレンは逃げるように勧めた。しかしヒストリアは自ら妊娠することを提案。

ヒストリアに助言したのは誰?

伏線

ヒストリアに妊娠するように助言したと思われる黒い服を着ている人物は誰?

27巻108話「正論」

回収

おそらくエレン。エレンはヒストリアに逃げるように助言している。妊娠はヒストリアが自ら提案した。29巻の表紙や、脱獄後のエレンはいつもポケットに手を突っ込んでおり、それがヒントになっている。巨人化のために手に傷をつけていることを隠すため?※助言したのがイェレナである可能性は消えていない。

トロッコ問題と一本道

伏線

エレンが「お前らが大事だからだ」と言ったときに104期メンバーが乗っていたトロッコ

27巻108話「正論」

回収

仲間のために世界を踏み潰す決断をするエレンの姿はトロッコ問題を、線路が一本なのはそれ以外に道がなくなったことをそれぞれ暗示していると考えられる

自信満々のエレン

伏線

ピークちゃんに銃を向けられても全く動じる様子がないエレン。巨人継承の仕組みやマーレ軍の命令云々の理由はもっともだがなぜそこまで強気でいられたのか?

29巻116話「天地」

回収

未来の記憶で見ていた模様。とはいえ、記憶に関係なく思い至ることが出来る程度の内容ではある。

記憶の断片が示すもの

伏線

見開きページの無数の「記憶の断片」は、エレン、グリシャ、クルーガー、フリーダの記憶映像と思われる

30巻120話「刹那」

回収

基本的にこの時点(854年のシガンシナの戦い)から見て過去の記憶。本編で描かれていない過去も含む。大人ヒストリアやミカサの横の少年など

大人ヒストリア【記憶の断片】

伏線

記憶の断片ページ。左上に大人のヒストリア。

30巻120話「刹那」

回収

およそ10ヶ月前、エレンは憲兵団がヒストリアにジークを食わせる計画を立てていることを知ったため、ヒストリアに逃亡を勧めていた。

また同じことをやる

伏線

アニのセリフ「父の元へ帰るためならまた同じことをやる」

31巻125話「夕焼け」

回収

相手の都合を理解し、その上でやる。みんな自分の大切なものを守りたいだけなのだ…的な。エレンが進み続けることの動機の1つはこれと同じ。他の人達も同じ。

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始まりはどこ?

ミカサの「いってらっしゃい」・豚(視点は始祖ユミル?エレン?)・グリシャの「お前は自由だ」

考察

始まりも終わりもない。少なくともエレンには認識できない

「あそこか?」のエレンとミカサ【記憶の断片】

「あそこか?」のエレンとミカサ。第三者目線。

考察

1話「いってらっしゃい」周辺の場面だと思われる。

「すべてが最初から決まっていたとしても すべてはオレが望んだこと」

エレンが望んだ通りにことが進んでいる?

考察

ニーチェの著書ツァラトゥストラに『すべての「そうだった」を「俺はそう望んだのだ」につくり変える。そういうことこそ、はじめて救いと呼べるものなのだ。』という言葉がある。(エレンにとって)最初から決まっていることを自分がそう望んだと見なすことで自由になれる。「始祖の力がもたらす影響」とは、エレンの意思の影響とも言える。

アルミン【記憶の断片】

112話。ニコロのレストラン会談でエレンにボコボコに殴られたアルミン

考察

レストランの会談でエレンはアルミンに何か重要なことを伝えていた?

グリシャの父(エレンの祖父)【記憶の断片】

98話。マーレ潜入時、エレンが病院で会ったグリシャの父(エレンの祖父)。

考察

家族に後悔があったのはグリシャも同じ。ジークのことをずっと想っていた。またグリシャの父は、グリシャが壁を出たことやその気持ちを今でも尊重していなかったように感じられる。

メガネなしハンジ【記憶の断片】

??話。メガネなし&眼帯ハンジ

考察

ハンジが死亡するまでメガネなしでかつ眼帯ありで描かれたことは1度もない。別な人間の視点か、回想か、道関係か。104期と同様、エレンがハンジに会いに行っていたのかもしれない。

グリシャ【記憶の断片】

121話。記憶ツアーのときのエレンの立ち位置から見たグリシャ

考察

記憶ツアーを示唆。しかしこの記憶を見た当時、エレンは何がきっかけでそんな状況になったのかわからなかったと思われる。

ジーク【記憶の断片】

119, 120話。エレンの生首と接触直前のジーク

考察

ジークと接触できる、つまりヒストリアを犠牲にせず地鳴らしを発動させられるとエレンは信じて行動していた?

フロック【記憶の断片】

130話?見切れているフロック

考察

地鳴らし発動まで協力することを示唆していた?

大人ミカサ【記憶の断片】

101話。レベリオ襲撃に駆けつけたミカサ

考察

レベリオ襲撃で共に戦うことを示唆。

鳥2羽【記憶の断片】

アニメ1話から輸入?

考察

アニメ1話に登場する構図に似ている。

104期の面々【記憶の断片】

鉄道工事後の夕焼けトロッコ

考察

108話「お前らが大事だからだ」の場面。ここで外交による和睦の道が断たれ、エレンが仲間のために世界を踏み潰すことを決断をする道がほぼ定まってしまった。

ミカサ?【記憶の断片】

ミカサ?

考察

1&138話「いってらっしゃい」のときのミカサ or 139話の最後のミカサ

ヒストリア【記憶の断片】

ヒストリア?

考察

130話?牧場での密会場面のヒストリアに見える。

リヴァイ【記憶の断片】

見下ろすリヴァイ

考察

105話。レベリオ襲撃時、飛行船に乗り込んだエレンを見下ろすリヴァイ。

ピーク【記憶の断片】

銃を構えるピーク

考察

116話。ピークが潜入し、ガビの牢獄でのエレンと駆け引きしたとき?

連合艦隊の上空を飛ぶ鳥

考察

回想前に鳥、回想終わりも鳥。アルミンたちが乗る船と連合艦隊では場所も離れているし時系列も繋がらない。つまり別な鳥が回想前後にくっついて描写されている。エレンは複数の鳥を操っていてそれらは繋がっている?

過去回と重ねられている描写

進撃の巨人だ

地鳴らし巨人群と共に上陸するエレンの巨大な巨人を見て驚愕する連合軍兵士たち

内容

超大型巨人がシガンシナ区に現れたときの「巨人だ」との対比。立場逆転

1巻1話「二千年後の君へ」

駆逐してやるこの世から一匹残らず

地鳴らしがマーレに上陸する際のエレンのセリフ(モノローグ?)

内容

故郷の街の壁を壊され母を殺された10歳のエレンが放ったセリフと対になっている。巨人どころか人間(敵とみなした者)までも駆逐対象になってしまった。

1巻2話「その日」

小ネタ・擬音

サブタイトル「人類の夜明け」の由来

小ネタ

サブタイトル「人類の夜明け The Dawn of Humanity」の由来

内容

スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」の第1章「人類の夜明け THE DAWN OF MAN」を意識しているはず。ニーチェのツァラトゥストラはかく語りき(音楽&著書)、神の死(巨人の消滅?)、永劫回帰、超人、等々…。

所感・考察

オディハに向かう船内

アニの心が折れてしまう

レベリオを救えないことが(ほぼ)確定してしまい、意気消沈するマーレ組。特にアニの落胆ぶりは激しく、完全に戦意喪失。

ライナーやピーク、ガビ、多分ベルトルトもそうですが、結局は家族という人質があるからパラディ島のエルディア人を悪魔と決めつけて戦うことが出来ていた、ということでしょう。

人質も失い、パラディ島民が悪魔じゃないことを知っている今、何を理由に戦うのでしょうか。

迫害され、家族を人質に取られ、殺したくもない相手を殺し、勝ったところで自由が待っている訳ではないマーレの戦士たちに比べると、迫害には無自覚で壁の外に出たいからといって殺しても罪悪感が沸かない巨人を駆逐して自由を勝ち取ることを夢見て戦っていたパラディ島勢のほうが随分マシに見えます。

パラディ島組は後に世界の真実を知る訳ですが、それでも自分たちのやっていることに対する葛藤の度合いは低いように思えます。その分彼らは、世界中に憎まれているとはいえ自己肯定感が高いまま「パラディ島だけのため」から「名も知らぬ人々を救う」へとスムーズにモチベーションを移行出来ているようです。

ガビの再覚醒も約束された?

それまで他のマーレ勢と同じように意気消沈していたガビですが、ハンジからマガトの意志を聞かされてただ1人目に輝きが戻っています。

ライナーはまだ仲間を心配する余裕があり「まあ最後までやるしかないよね」という感じでしたが、ガビは一旦激しく落ちた分、上昇幅も大きいように感じます。

最終決戦の重要な局面で大きな役割を果たしてくれるんじゃないでしょうか。

ミカサの決断が迫る

アニはミカサに再び「エレンを殺せるの?」と訪ねました。

127話のシチューの夜は「あんた達」でしたが、今回はいよいよ「あんた」に変わっています。

アニは127話当時「マーレ勢がエレンを殺そうとすれば、パラディ島は止めに入るよね?そしたらマーレとパラディの殺し合いになるよ?」と警告していました。しかし今回アニは、エレンともミカサたちとも戦いたくないと言いました。

つまり「ミカサがエレンをやってくれ」と言っているようなもんです。

104期にせよ、アニやライナーにせよ、エレンのことを仲間だと思っている人間ではこの役目は務まらない、唯一仲間以上の存在であるミカサがやるしかないってことなんじゃないでしょうか。

鳥。ここにきて思わせぶりな鳥

ハンジたちの船を見下ろしていた鳥からエレンの回想へ突入、そして地鳴らしを見下ろす鳥。

この2つのシーンは時間にズレがありますが、同じ鳥なんでしょうか?別な鳥なんでしょうか?

鳥はエレンの一部、あるいは鳥がエレンなのかもしれません。記憶の共有も出来ているようです。

原作第1話でエレンがじっくり見ていた風見鶏、アニメ第1話序盤でエレンの目に映っていた鳥。調査兵団の自由の翼。

作者のインタビューを読んだのですが、原作第1話は予定を大幅に変更して書き直しているそうです。つまり風見鶏には意味がある確率が高いと思います。

そしてアニメは誌面の都合上原作で描き切れなかった部分を盛り込んだりしているそうです。

マーレ編のスタートが鳥で、ファルコ巨人はどうみても鳥。カルヴィ元帥の羽の生えた巨人発言…

そして、まるで鳥籠に飼われている鳥のようなエレン巨人の姿。

妄想がはかどります。

エレンが見た未来の記憶

すべてが最初から決まっている

すべてが最初から決まっていたとしても

すべてはオレが望んだこと

終盤の巨人の姿も圧巻でしたが、今回の最大の見所はここじゃないでしょうか。

未来は変えられない、ということが改めて強調されているように感じます。

進撃の巨人の世界観は、未来と過去が同時に存在し互いに影響し合って現在を作っているように見受けられ、一見ループやパラレルワールドのように見える表現は全て「道と座標」によって生み出されていると考えられます。

少なくとも「エレンが見た未来の記憶」は、そのときが来たら全て例外なく実際に起きているようですし、未来は変えられないのは間違いないようです。

結末を迎えた時に、これらが上手く整理・理解できるようになるのでしょうか。非常に楽しみです。

どこからが始まりだろう

あそこか?いや…どこでもいい、の3つのコマ。

なぜこの順番なんでしょうか?

なぜ「豚→グリシャ→エレンとミカサ」ではないのでしょう?

物語の進む順番「1話→122話→最終話?」だからでしょうか?

あそこか?

あそこか?のコマ。とても気になります。

壁がなさそうです。ないと思います。

エレンが「 敵から自由を奪うこと 」を強く望んだせいで壁が生まれたのだとしたら?

そのせいで、物語が始まってしまったのだとしたら?

なんて妄想をしています。

エレンの真意(の一部)が明らかになった回想

今回は久しぶりにエレンの回想が出てきましたが、大きな進展はなかったように思います。

  • イェレナとの密会で知らされていたのは「安楽死計画」と「脊髄液入ワインを兵団上層部に振る舞ったこと」
  • イェレナとの密会後、ヒストリアとフロックに自身の計画(地鳴らし)を話していた
  • フロックにはイェレナとジークに従うふりをするように指示をしていた
  • ヒストリアには獣の巨人の継承を避けるために憲兵団から逃げるor争うように提案していた
  • ジークにアッカーマン(ミカサ)の性質について聞いていた

結果どうなったのかというのは、これまでの物語で明らかになった通りです。

はっきりしたことがある一方で、依然としてわからないことはわからないままです。

今回の会話が全てではないでしょうし、4人はまだ生きていますから、この先の行動によってそれぞれの言葉が持つ意味は変わってきます。

エレンとイェレナの密会

イェレナとの話はアルミンが予想していた通りでした。エレンは脊髄液入ワインのこともあり、従うしかないからそうしたのでしょう。

あとはイェレナはイェレナでエレンのことをあまり信用していないということがわかったことくらいでしょうか。

エレンはフロックに計画を伝えていた

フロックがエレンから計画を聞いていたのは既にフロック本人が公言しており、あれはやっぱり本当だったということがわかった程度です。

エレンがフロックにどこまで詳細を話していたのか不明ですし、後のフロックの暴走の真意などもわからないままです。

エレンがジークに恋愛相談。アッカーマン話

アニキ面して得意げに弟の恋愛相談に乗るジークが非常に可愛らしくてムカつきます。

ジークのアッカーマンの性質に関する見解は基本的に巨人学会やクサヴァーさんの受け売りなので100%信用できるかどうかわかりません。

とはいえ、ミカサの頭痛やエレンに固執する理由がアッカーマン由来でないことはリヴァイやケニーを見ていればわかるので、多分ジークの言っていることはかなり真実に近いのではないでしょうか。

今回わかったのは、

  • エレンはジークにアッカーマンの性質について質問していた
  • エレンがミカサに話した内容(112話)はジークから聞いたこととは違う
  • エレンはミカサの好意を理解していた

です。

ジークの話が本当であれば、エレンが112話で話したことはウソになります。しかし、ジークの話にウソ含まれていれば、エレンが112話で話したことはウソとは言い切れなくなります。結局わからないということです。

エレンはミカサを大切に思っているからこそ突き放そうとしていた、つまり「お前がずっと嫌いだった」はウソということで間違いないと思いますが、アッカーマンの特性やらミカサの頭痛の原因は相変わらず不明なままでした。

ヒストリアはエレンの計画を知りながら黙っていた

そんな中、大きな進展があったと言えるのは、ヒストリアのところ。会話の内容については様々な解釈が可能だと思います。

とはいえヒストリアはエレンの計画を知っていながら結局誰にも言わなかったし、地鳴らしが実行されることになったのは紛れもない事実です。

エレンの要求がほぼそのまま通っている訳ですから、ヒストリアはエレンの味方をしていたということになります。

しかし地鳴らし完遂前までに、ヒストリア由来で何らかのアクションがある可能性は残されたままです。

地鳴らし実行まではエレンを泳がせておいて、実行後に止めるつもりだった、なんていう大博打が果たしてあり得るでしょうか。

エレンとヒストリアの会話を考察

エレン巨人&地鳴らし上陸

見ればわかる話ですが、第1話に被せてきました。

アニメではどうなるのか楽しみなシーンです。

エレン巨人は完全に鳥籠の中に囚われた操り人形という感じで本体はとっても弱そう、というか苦しそうに見えます。

世界連合艦隊が全滅させられたので、あとはもうアルミン達と戦うだけですね。じっくりやっていただきたいです。

エレンの真意

最終盤で大どんでん返しがあるとすれば、おそらくまだ隠されているエレンの真意もあるだろうと思います。あって欲しいです。

このまま突き進むにせよ、止められてしまうにせよ、あともう一声ないと締まらない気がします。

未来は変えられない、つまりエレンの最終結論は変わらないかもしれません。そこが面白いところです。しかしそこに至る過程にもう少しだけドラマが追加されて欲しい。

というのも、今回の回想シーンでエレンがヒストリアとフロックに打ち明けた「真意」はマーレに潜入する前のものでした。

しかし、エレンはマーレに潜入して様々な人と接したことで心境に変化があったこともまた事実です。

130話の描写だけだと、まるで壁内編当時の心境のまま地鳴らしに突入しているかのように感じます。

25巻100話「宣戦布告」近辺でライナーとの会話で見せたエレンの変化、小刻みに登場するスリの少年との出会いによって起きたエレンの変化が織り込まれていないような気がします。

今回は「仲間のために悲愴な覚悟で命を賭して進撃する決意」を強調するためにあえて余計な描写を省いているのでしょうか?

仲間に長生きしてほしいと言いつつ、その仲間が殺し合うことになったり、仲間が望んでいない大虐殺をやろうとしていたり、無視できない矛盾が生まれてしまっていることは確かです。

この辺りはクルーガー由来の「同胞を犠牲にしてでも進撃する精神」の現れなのでしょうか?

それでも尚進撃するに見合う「あの景色」が待っているのでしょうか?

エレンにとっての敵や仲間は変化しているのでは?

エレンは連載当初から終始一貫して、大切な仲間のために命を掛けて敵を駆逐し進み続ける、という行動を取っているように見えます。しかし同時に、他者とコミュニケーションを取りながら影響を受けて絶えず変化も続けています。

潜入前と潜入後でエレンにとっての「仲間と敵」の定義が変わっていたら?

未来は変えられません(多分)。しかしそこに向かうエレンの心境はいくらでも変わるはずです。

エレンはレベリオ収容区でライナーとの会話中、

「海の向こう側にあるものすべてが敵に見えた」

「そして…海を渡って 敵と同じ屋根の下で敵と同じ飯を食った…」

「海の外も壁の中も同じなんだ」

と語っています。

進み続けることに変わりはなくても、心境の変化があったことは間違いありません。

130話のエレンの回想の終盤、「ずっと幸せに生きていけるように」のセリフの近くにスリの少年のコマがあります。彼はマーレにいる戦争難民(ユミルの民かどうかは謎)です。つまり「海の向こうは全て敵」という考えが変わった証拠ではないでしょうか。

果たして地鳴らし完遂が意味するものは、文明も人間も何もかも叩きのめすことなのでしょうか。

エレンの放送を聞いたアニの父がレベリオ収容区でマーレ兵に反逆を始めたことで、少しでも生き残る人が出てくる可能性もありそうです。

そう思わせておいてやっぱり違った、残念ながらやっぱり大虐殺でした、というのもまた残酷さが増して強烈ですが。

伏線回収など

ローグの予想が外れていた

ヒストリアに会っていたのはイェレナではなくエレンでした。

また妊娠はヒストリアのアイデアであり、エレンが進言した訳ではありませんでした。

ところでヒストリアの子の父は

多分ヒストリアのお腹の子の父はサスペンダーの彼じゃないでしょうか。

父エレン説は完全に否定出来ないと思います。グリシャが2度結婚していることを考えるとあり得ない話ではありません。

とはいえ、自身の寿命が4年だからミカサの気持ちに応えられない、長生きして幸せになってほしいと願うエレンがヒストリアと関係を持つのは、最終的な回収も含めてちょっと心理描写が複雑過ぎる気はします。

太陽が登ってきたのは東側?

進撃の巨人の世界では太陽は西から昇って東に沈むことになっています。

ところが地鳴らしを迎え撃つ艦隊ページでは太陽が北から上ってきているように見えるような気がします。少なくとも西じゃないような雰囲気です。

  • 夕方?
  • 実は大陸の反対側?
  • 別な世界?
  • ミス?

しかしこの発想は、これはマーレの東側の海岸線はだいたい南北に垂直になっているという先入観によるものかもしれません。

マーレの東側の海岸

©諫山創 進撃の巨人 講談社 129話「懐古」

マーレ大陸の東側の海岸線は東西に水平気味(右肩下がり)になっているようなところも複数あります。

128話でハンジが言った「マーレ北東の都市」、つまり130話で地鳴らしが上陸したのもちょうどその辺りなのではないでしょうか。

そうであれば太陽は北西から昇って来ていることになります。

※132話で、地鳴らしが大陸の北端の都市から上陸したことがわかりました。

地鳴らしの進路

エレンはいつ始祖ユミルの記憶を見たのか

エレンはヒストリアと会った時に始祖ユミルの記憶を見たのではないか、という予想がありました。

しかし、今回そのような描写はありませんでした。

まだ確定ではありませんが、122話で座標空間でエレンが始祖ユミルに抱きついた瞬間に記憶が流れ込んできた、という解釈で良いのではないでしょうか。

ミカサの頭痛

ミカサの頭痛の謎は残されました。

近いうちに東洋の一族絡みで語られるのかもしれません。ここにきてわざわざ頭痛というキーワードが出てくるくらいなので、何かあると思っていしまうのも仕方がないでしょう。

個人的にミカサの頭痛の原因は最後まで明言されずに結局PTSDの症状みたいなもんだったとしても、それはそれで大筋に影響を与えない形で締めくくれるような気もします。

単行本、別冊マガジン掲載時の情報

タイトル

第130話「人類の夜明け」

The Dawn of Humanity
公開
別冊少年マガジン:2020年8月号
発売日:2020年7月9日()
コミックス
発売日:2020年9月9日()

サブタイトル「人類の夜明け」の意味

巨人の力が消滅する世界(神の死)へ向けて進撃が始まる。映画「2001年宇宙の旅」の第1章「人類の夜明け THE DAWN OF MAN」の前半のクライマックスのBGMは「ツァラトゥストラはかく語りき」であり、同名のニーチェの著書の第1章は朝焼けで始まり、「すべてが最初から決まっていたとしても すべてはオレが望んだこと」と同じようなフレーズも登場するし、進撃するエレンの姿は超人、永劫回帰を思わせる。明けの明星(=ルシファー。光をもたらす悪魔・堕天使)をエレンになぞらえている?

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