第129話「懐古」

概要

未だエレンの真意と大陸での地鳴らしの様子が不明なまま、アルミンたちとイェーガー派が争わなければならない状況。

前回、アルミンは血が流れることを避けるため芝居を打って飛行艇を奪うことを試みるも、用心深いフロックには通じずに結局開戦

もう後戻りはできない。

この回で張られていた伏線

ファルコ巨人の外見

顎というよりくちばし。毛のフサフサ感、手先が鳥っぽい。

回収34巻135話「天と地の戦い」

撃たれた後のフロック

小さく描かれたフロックは撃たれた右腕が残っている。

回収33巻132話「自由の翼」

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この回で回収された伏線

なぜエレン巨人はミカサを殴った

伏線

なぜエレン巨人はミカサを殴った?

3巻12話「偶像」

回収

練度の問題が有力。ファルコも初の巨人化時にピークを襲ったが、たまたまそばにいたからっぽい。なのでエレンの場合も特に意味はなさそう。ミカサ個人に原因があるのならば、エレンが初巨人化時にミカサを無視して無垢の巨人に向かっていったことの説明がつかない。考えられるとしたら、周囲に無垢の巨人がおらずミカサ(ほぼ巨人のアッカーマン)が一番近くにいたから?知性巨人同士はかつて敵対していたようなので、基本的に自分以外の巨人は全員敵だと思って反射的に襲いかかってしまう?

いつか借りを返さねぇと

伏線

ライナーに助けてもらったコニーのセリフ

10巻39話「兵士」

回収

調査兵団&マーレ残党VSイェーガー派の戦いでコニーがライナーとアニのピンチを救う

マガトと戦士候補生との会話

伏線

なんだかんだいってきちんと話を聞くし、指導・教育している。

23巻91話「海の向こう側」

回収

マガトのエルディア人に対する本音

マガトの気持ち

伏線

収容区に帰るエルディア兵と家族の再会を見つめるマガト

23巻94話「壁の中の少年」

回収

マガトのエルディア人に対する本音

マガトの本音

伏線

4人の子供に始祖奪還計画を託す軍の方針に疑問を抱いている

24巻95話「嘘つき」

回収

マガトは戦士たちに普通に生きてほしかった

全員…帰ってこい

伏線

マガトが始祖奪還に向かう4人にかけた言葉

24巻95話「嘘つき」

回収

マガトの良心

マガトの「ガビ」呼び

伏線

マガトはガビと合流した際、最初は「ガビ」と呼び抱きしめるが、すぐ「ブラウン」と言い直す。

29巻117話「断罪」

回収

マガトの本性がうっかり出てしまった。

誰か見ている

伏線

アルミンたちがシガンシナを出発するときに砦の窓から誰かが覗いている

31巻126話「矜持(きょうじ)」

回収

シャーディス教官。港でイェーガー派と戦うアルミンたちの援護に駆けつけた。

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過去回と重ねられている描写

自己紹介

シャーディス教官とマガト隊長(元帥)の自己紹介の仕方

内容

4巻16話のエレンとライナーと重なる

4巻16話「必要」

小ネタ・擬音

ヨーイドン、ダッシュ

擬音

ヨオオイ ドオオオオオン ダッシュ → よーいどん ダッシュ

内容

マガトがキヨミとヒィズルの技術者たちを逃した場面の戦闘音

スイーツ

擬音

スウィィツ → スイーツ

内容

マガトがファルコを巨人体から取り出すためにうなじに切れ目を入れるときの音。優しく丁寧な包丁さばき

所感・考察

壁巨人の進行速度は時速50km程度

壁巨人の進行速度が馬の駆け足より速いというのはかなり衝撃発言でした。

これを知る前のイメージとズシンズシンとせいぜい人間が走る速さぐらいだと思っていたので。

半日で600kmということは、時速50km。

600km /12hour = 50km/h

車と同じです。パラディ島の皆さんはさぞビビったでしょう。

この数字を知ってから改めて想像してみると、どんな感じになるでしょうか。

アメリカ国内のどこか広大なエリアの長い直線道路。そこで車と高さ60mの巨人が並走。自然な気がしてきました。

人間や馬、像、ダチョウなんかが時速50kmだとすごく忙しい感じがしますが、ものすごく背が高くて脚が長い生き物だとそこまでバタバタしませんね。

4日ですべての大陸が踏み潰される

地球の外周は 40,075km

壁巨人の進行速度 1,200km/1日

126話で夜も巨人が行進する描写があったので、1日あれば1,200km進む計算になります。4日分だと4,800km。

進撃の巨人の世界が現実と同じだとすると、4日で地球の1/10以上が踏み潰されることになります。

ということは「すべての大陸」というのは「マーレ大陸のすべて」ことを指しているのかもしれません。

マーレ大陸のモデルと思われるアフリカ大陸の東西幅は7,400km、南北だと8,000kmぐらいなのでまあまあ近い数字になります。

あるいは、進撃の巨人の世界の地球は現実世界よりも小さいのか。

細かい話は置いておいても、とにかくこの4日以内に物語上重要な地域は壊滅的な被害を受けることは間違いなさそうです。

作戦変更。海岸都市オディハで飛行艇を整備することに

ヒィズルの技術者によれば飛行艇の整備は1日、早くても半日かかる(結構幅があるな…)ということで、ハンジたちは作戦変更を余儀なくされました。

数時間しか戦えない巨人では圧倒的物量で攻めてくるイェーガー派を食い止めながら飛行艇整備をするなど到底不可能だからです。

仮に深手を負ったアルミンを叩き起こして超大型巨人の力を使うにしても、一旦飛行艇や整備に使う道具なんかを安全な場所に移すなどしなければならないので現実的ではありません。

そこでキヨミ・アズマビトが提案した海岸都市オディハへ移動して整備をする作戦。そこなら地鳴らしを避けられる「かもしれない」と。

ということで博打。ハンジの計算も加味してマガトが即決。

これはイェーガー派にとっても良かったのではないでしょうか。もし港に居座ろうものなら、結局全滅させられたでしょうから。

レベリオは間に合わない

ハンジの想定通りに壁巨人が進行を続ければ、たとえ作戦を変更せずにパラディ島の港で飛行艇を整備できたとしても、既にレベリオは諦めるしかない状況です。

このことを知っているのはマガト、ジャン、キヨミと5人の技術者たちだけです。

残りのメンバーに作戦変更(飛行艇の整備を大陸で行う)は伝えられましたが、レベリオを諦めなければならないことは伝わっていません。

パラディ島勢はともかく、マーレ組は果たして納得できるのでしょうか。仲間割れとまではいかないまでも、エレンを止めに行くためのモチベーションを保てるのか心配です。

スリの少年の謎

レベリオが間に合わないと知ったとき、ジャンは難民キャンプの家族(スリの少年)との宴を思い出して絶望していました。

とっさに彼らの姿が浮かんだのは唯一マーレで交流があった人たちというのもあると思いますが、弱い人の気持ちがわかるジャンだからこそではないでしょうか。

殺し合いの連鎖の真っ只中にいるのはいつも強い人達で、弱い人は巻き込まれるばかり。

この時点での未解決の謎として、「エレンの記憶の断片」に登場したスリの少年の肩に手を乗せる画、そしてエレンの涙 &「まだ何も」というセリフがあります。

もしハンジの想定通りに地鳴らしが進むならば、エレンの涙の理由は、難民キャンプやレベリオを自らが起こした地鳴らしによって踏み潰してしまうことを知っていたから、ということになってしまいそうです。

しかし、記憶の断片の画に関しては不明瞭なままです。あれだけ大きく描かれているのですから、何か重要なやり取りがあったはずです。そう考えると「ただ踏み潰されて終わり、ああ可哀想だったね」とはいかない可能性もあります。

ということは、ハンジが予想する「レベリオは間に合わない(難民キャンプ含む)」は間違いで、彼らは逃げるなりなんなりして生きており、今後の展開に関わってくるなんてこともあるかもしれません。

アニの焦りと飛行艇整備失敗の可能性

アニはミカサから作戦変更の知らせを受けたとき、「そんなことで始祖(エレン)に勝てるの?」と不安になっていました。

地鳴らしが発動された時点で、アニの中では既にレベリオの安全や自分が間に合うかどうかは半信半疑だったのではないかと思います。じゃないとミカサの伝令で即座にあんな反応はしないはずです。

それに加えて、飛行艇で追いつくという作戦そのものも怪しい感じがします。この手の物語に付きものですが、二転三転して結局頓挫パターンなんじゃないでしょうか。

オディハに到達できても飛行艇整備完了より先に地鳴らし到達、不死身のフロックなど何かしら邪魔が入って破壊など、バリエーション豊かな残念シナリオたちが大量に立ちはだかっています。

ファルコの巨人があきらかに鳥の姿というのも飛行艇作戦頓挫の可能性を高めています。読者を迷わせるようにあえてそうしているだけかもしれませんが。

アニを庇うライナー

アニを庇うライナー

諫山創 進撃の巨人 129話「懐古」 96話「希望の扉」 講談社

これは24巻「希望の扉」で描かれたマーレの戦士たちがパラディ島に上陸してウォール・マリアへ向かう前のシーンに被せているのではないでしょうか。

「帰ろう…みんなで…故郷に」

ライナーは何度か帰っていますが、アニはパラディ島上陸以来一度もマーレに帰ることが出来ていません。

そして、今回作戦変更を聞き不安が募るアニに対して「目的を果たして、みんなで生きて故郷に帰るぞ!」と叱咤激励しているように見えます。

アニとしてはやや複雑なのかもしれませんが、少なくとも「吐きそう」ではないと思います。

近代兵器の進歩と巨人の凋落

初登場時にはそれそれは恐ろしく手に負えない強敵として描かれていた女型と鎧の巨人がイェーガー派のモブ兵たちに滅多打ちにされる姿はなかなか切ないものがありました。

巨人と戦える人間といえば、リヴァイやミカサのようなアッカーマン(これも半分巨人ですが)くらいなもので、雷槍を使うようになってからも一部の優秀な兵士でなければ互角に戦うのは難しい状況でした。

グリシャの手記によって世界の真実が語られたときから、巨人の力が絶対的でなくなる世界がやってくることが言われ始め、マーレと中東戦争では強力な対巨人砲によって鎧が打ち砕かれるまでに。

そして今回、アニとライナーはアズマビトらと船を庇っていたとはいえ、いとも簡単に無力化させられてしまった訳です。

さらにさらに、オニャンコポンが心配しているように、今こんな状態で「これから先」は大丈夫なのかと。序章の段階で既にボロボロです。

エレンは始祖の巨人を保有していますから、その気になれば知性巨人をコントロール出来るかもしれません。もしそれが本当に実行されてしまうなら、つまりアニ、ライナー、ピーク、ファルコの4人は戦力として全然期待できません。

そもそも始祖のコントロールは知性巨人というか「ユミルの民」が対象なので、「説得」しようとしているアルミンやハンジ、ジャンもアウト。

ということはエレンとまともに対峙できる人はミカサ、リヴァイ、キヨミとオニャンコポンということになります。

これまでの戦いも毎度絶望的な状況でしたが、今回も相変わらず酷いもんです。

コニーがアニとライナーを助ける

ライナーとアニを助けるコニーとかつてのライナー

諫山創 進撃の巨人23話「女型の巨人」 129話「懐古」 講談社

コニーがライナーとアニを守るために敵陣に飛び込んで繰り出した回転斬り的な動き。

これは6巻23話「女型の巨人」でライナーがアニ巨人の手から抜け出すときに使っていたものに重ねてきていますね。

コニーはトロスト区攻防戦でアニに、ウトガルド城の戦いではライナーに命を救われていますから、ようやく借りを返した、ある意味対等な立場となり、共に戦う仲間であることが強調されているように感じました。

あの頃は無垢の巨人1体を討伐することもままならなかったコニーがここまで逞しくなったのです。

前回128話でダズとサムエルを迷いながら殺したことで通過儀礼を済ませたからなのか、今回のコニーはキレッキレです。

いくら相手が戦闘に不慣れなイェーガー派の兵士たちとはいえ、雷槍と銃を持って襲いかかってくる複数の相手をいとも簡単にサクサクめった切りにするなんてまるでアッカーマンのようです。

知性巨人軍団の影に隠れてしまいがちですが、コニーは天才と呼ばれ訓練兵時代の成績も上位でしたから、経験を積めばこれくらい動けて当然なのかもしれません。

あるいは、巨人に対する恐怖、人間(仲間)を殺すことへの躊躇いさえなくなってしまえば、戦闘能力は飛躍的に上がる。つまり気持ちの問題ってことでしょうか。

ミカサとジャンも覚悟が決まる

「躊躇えば仲間が死ぬ」を境にスイッチが入ったミカサとジャン。

それまでミカサは蹴りしか使っていなかったのに、この瞬間にブレードを抜きました。

王政編で人間を殺める経験はあった彼らですが、このときは中央第一憲兵という比較的理由づけしやすい相手でした。

しかし、今回は違います。かつての仲間、同期であり、しかも「島を守りたい」という部分では同じ気持ちの人間たちです。ずっと前からわかっていたことですが、いざ争いが始まるとやはりすごくモヤモヤします。

ファルコの決断

ファルコはピークに巨人化を止められたにも関わらず、自分の判断で巨人化して戦うことを決断。

結果的に、この決断がみんなを救うことになりました。

もしファルコがピークの言うことを素直に聞いていたら全滅していたかもしれません。

巨大樹の森で女型との戦闘中、仲間の意見を受け入れて後悔したエレンとは対照的です。

そのエレンは現在は独断で地鳴らしを起こしています。結果、仲間には反対されているのですが。

結局どちらを選ぶにせよ、何が正解かはわからないのだから、最終的には自分を信じるしかないのでしょう。

エルヴィンとフロックの違い。

巨人に噛まれるエルヴィンとガビに撃たれるフロック

諫山創 進撃の巨人 49話「突撃」 129話「懐古」 講談社

フロックがガビに撃たれたコマ。

12巻49話「突撃」でエルヴィンが右腕を失った場面と重なります。

エルヴィンは巨人に腕を噛まれたまま「進め!」と隊員を鼓舞。人類の救世主であるエレン(当時)を奪還するために執念を見せました。

また、自分を心配する部下に対して、「自分の代わりはいる。それよりもエレンを連れて離脱しろ」と命令しています。

対してフロックは「世界を救うのは俺だ(エレンではない)」という謎の自己主張。そして、彼が撃たれて海に沈んだ後、イェーガー派の兵士はビビって連携崩壊。彼に追従して船を撃とうとする者も、海に飛び込んで助けようとする者も誰1人としていませんでした。

同じ「心臓を捧げよ」でも、ここまで違って見るものかと思います。言っていることも、やっていることも大差ないはずなのに。

ハンジが「もう何も知らない島の悪魔には戻れない」と言っていましたが、そういうことなのだと思います。時代が変わったのです。

「心臓を捧げよ」から「生き延びろ」の時代へ

心臓を捧げよと叫び兵士を鼓舞するエルヴィン

諫山創 進撃の巨人 49話「突撃」講談社

当時のエルヴィンや調査兵団は、巨人のことも島の外の世界のことも満足な情報がない中で必死で戦っていました。そんな状況下で人類が進撃するためのスローガンとして「心臓を捧げよ」は有効だったかもしれません。

時は進み4年後のレベリオ襲撃。リヴァイ兵長は部下たちを鼓舞するために「死ぬな、生き延びろ」と言っています。

「心臓を捧げよ」は古いんです。

フロックとイェーガー派の一部はレベリオ襲撃に参加しています。ですから「何も知らない島の悪魔」ではありません。

それなのに当時のエルヴィンと同じことを言っている。状況は当時よりずっと複雑です。島のことだけ考えていれば良い、というフェーズはとっくに終わっています。

心臓を捧げよと叫び兵士を鼓舞するフロック

諫山創 進撃の巨人 129話「懐古」講談社

今この状況でひたすら島を守ると叫ぶのは、王都を守るためにウォール・シーナ外の人間を犠牲にしようとした王政編の貴族と同じではないでしょうか。

やられたらやり返す。何もしなければやられる。というのは負の連鎖です。

こっち何もしなければ、相手は喜んで攻撃してくる、ということが大前提になっています。

確かにその通りなのかもしれませんが、この発想から抜け出さない限りは連鎖は止まらないでしょう。

そこがイェーガー派に対して感じる違和の源かもしれません。

フロックはどのように再登場するのか

大方の予想通りフロックは生きていると思います。ガビに撃たれた直後の引きのコマでは右腕が残っていますし、死体の確認もされていません。

ハンジたちが船に乗り込む際、途中でコニーの姿が消えました。途中までジャンと一緒にライナーに肩を貸していたのに乗り込むときはジャンだけになっています。

コニーが海に飛び込んでフロックを回収して拘束していた、なんてことを期待してしまいます。

自力に船に忍び込んでいたらガビのように誰かを射殺したり、何かしら危害を加える可能性があります。

しかし、裏切り者と認定したコニーに命を救われたとしたら、フロックは変わるかもしれません。

フロックが聞いたエレンの真意とは

125話「夕焼け」にて、地鳴らし発動の10ヶ月前、フロックはエレンから計画を聞いたと言っていますが、どこまで聞いたのか謎です。「ジークを利用し始祖の力をエレンが掌握する計画」としか言っていません。

29巻118話「騙し討ち」でコニーがアニ、ライナー、ベルトルト、エレンに裏切られたことに激しく怒っている描写がありました。裏切った者が何を考えてそうしたのか、言い分を聞きたいという気持ちが強くても不思議ではありません。

レベリオ襲撃以後、フロックは常に大量の取り巻きがいたり、人質を抱えて登場するのでまともに話が出来る状態ではありませんでした。

フロックの一連の狂った行動もどこまでが作戦通りなのか、独断なのか。この辺りは読者の印象を大きく左右すると思うのでとても気になります。

シャーディスは「傍観者」から「英雄」になったのか

126話で砦の窓からアルミンやアニたちがエレンを追って出発するのを見ていたのはシャーディスでした。

そしてその姿を見ていたことが、今回イェーガー派の援軍が乗った列車の破壊に繋がりました。マガトが言うようにシャーディスの影の活躍がなければアルミンたちは逃げ切れなかったでしょう。

「特別」に憧れ、呪われ続けていたシャーディスが「傍観者」から「英雄」になった素敵な瞬間なわけですが、イェーガー派の中にも教え子はいたであろうことを考えると素直に喜べないところです。

とはいえ、それもまたシャーディスの選択であり、最期を共にしたマガトと認めあったことで多少救われる部分もあったのではないでしょうか。

あとはスルマ辺りがハンジにこのシャーディスの活躍を伝えてくれることを祈ります。

マガトとシャーディスの死から

今回マーレとパラディの重要人物2人がお亡くなりになりました。

なんだか安いハリウッド映画のようで不謹慎にも笑ってしまった人も一定数いるのではないでしょうか。

それはさておき真面目な方向で考えると、マーレ軍の元帥とパラディ島調査兵団の元団長が、お互いの肩書を抜きに名を名乗り合ったこと、そして2人が自由の翼を背負っていたことが重要なメッセージだと思います。

希望の持てる展開に期待して解釈すると、彼らは元帥としてでも団長としてでもなく、個人として自由に選択をした、ということ。

切羽詰まった状況で、アルミンたちを後押ししている。それは「世界を救う」ほうに賭けているのであり、「自分さえ良ければ、自分の国さえ良ければいい」ではないという選択です。

マガトは個人的な良心と国の方針の間でずっと悩んでいました。

シャーディスは、一度は敵対したアルミンたちとアニが協力する姿に胸を打たれ、イェーガー派は間違っている、と考えています。

そして今回、彼らは自分の信じる道を選びました。元帥だからではなく、団長だからでもなく、一個人としての決断という側面が強いのだと思います。

世界中で同じことが起きる?

現時点で様子がわからない大陸側でも同様のことが起きているんじゃないでしょうか。

「一人一人の選択がこの世界を変えたんだ」というやつです。

フロックらイェーガー派は「やらなければやられる」と考えています。無理もありません。大多数がそうでしょう。

しかし、今地鳴らしの脅威が現実のものとなり、人々が選択を迫られたときにどうなるのか。そういう部分にチャンスがあるかもしれないよね、と思います。

オディハには森抜け思想の人間がいるか

今回キヨミの進言で向かうことになったオディハはマーレの南方にある都市です。

マーレの南方といえばサシャの親戚がいるかもしれない地域です。そこにアルミンたちに同調してくれる人々、「森を抜けよう」としている人々がいるかもしれません。

次回以降、あっさり叩きのめされる可能性も高そうですが、期待するだけなら無料です。

地鳴らしの様子が出てこないけど…

123話でエレンのドアップが描かれて以来、地鳴らしの具体的な描写がありません。

実際のところ、どうなっているのか誰もわからないのです。アルミンたちはもちろん、フロックだってよくわかっていないはずです。

壁巨人の行進は時々差し込まれますが、大陸の街を踏み潰した描写は0です。

可能性は低いと思いますが、実はエレンが上手に巨人をコントロールして民間人の大虐殺なんて起きてなかった、という線も残されている訳です。

読者に見せるのはあくまでもアルミンたちが見ているところまで、というのはとても上手いやり方だと思いますが、これがまた本当に焦れったいです。

地鳴らしの様子が見えないことは、そっくりそのままアルミンたちの行動のボヤけに跳ね返ってきます。「こいつらなんのために島の元仲間を殺しているの?」と。

こうしたモヤモヤも全て楽しむくらいでないといけないのかもしれません。

身近な解決策に流れる人々

色々想像は膨らみますが、これまでの流れやエレンの道を通じたメッセージから察するに、残念ながらおそらく大陸では大虐殺が展開され、パラディ島を除く世界の全てが順次踏み潰されていくのでしょう。

そうした前提のもと、それぞれのキャラクターがそれぞれの判断して行動しています。

イェーガー派の動きを見ていると、

恐怖にさらされると人はどんなことでもする。「解決策」を示す人物に見境なく従ってしまう。

という映画「ミスト」のセリフを思い出します。

イェーガー派を含むパラディ島の大多数の住民にとっては、フロックの「解決策」がとても魅力的に映るのでしょう。

一方アルミンたちの「世界を救う」という案は、目の前にある恐怖(世界から攻められる)を即座に取り除いてくれるようなものではありません。

地鳴らし続行の場合 → 自分たちは安全 → 自分たちは平和な世界を手に入れられる、かもしれない。

地鳴らしストップの場合 → 安全の保証なし → 自分たちも、世界も平和を手に入れられる、かもしれない。

途中からリヴァイの姿が見えないんだけど?

ピークの巨人に紐でくくられて移動していたリヴァイ。

ファルコが巨人化するために飛び出すところまでは姿が確認できるのですが、船に乗り込む姿が見えませんでした。

ジーク絡みで何かやるはずなので、まさか1人で島に残ってなにかするとも思えず。

位置的にちょうど見えない席だったということで済まされそうですが、どんな形であれ最後にもう一花咲かせて欲しいので、姿が見えないのはちょっと気になりました。

ファルコの巨人は顎の巨人?

完全に鳥の巨人、あともうひと押しで飛べそうな勢いです。

顎の巨人は継承者によって見た目がかなり変わって面白いですね。ファルコの場合はジークの脊髄液ワインを飲んだ影響もあるのかもしれません。

それ以外にも、ファルコ(隼)という名前、23巻冒頭の鳥、調査兵団の自由の翼、等々…何かこれまでとは違う存在であることを匂わせる要素が満載です。

ちなみに、イタリア語だと falco(ファルコ)で鷹。英語は falcon(ファルコン)で隼。学名だと falco で隼。

物語を考える上で鷹なのか隼なのか、細かいことは気にする必要はないかもしれませんが、原作からアニメのPVで描写が変わったことなどを踏まえて考えると、隼のつもりで描かれているように思われます。

自由の象徴として鳥関係がなにか関わってくるんじゃないかと度々言及されてきたようですが、ここにきてかなり具体的に描かれました。

エレンが世界を終わらせるなどと言っっていたので物語は最終盤、ということは知性巨人関係ではもう新しい要素は出ないかなと思っていました。

しかし、ここに来てこんな特徴的な巨人が現れるなんて。ワクワクします。

単行本、別冊マガジン掲載時の情報

タイトル

第129話「懐古」

Retrospective
公開
別冊少年マガジン:2020年6,7月合併号
発売日:2020年6月9日()
コミックス
発売日:2020年9月9日()

サブタイトル「懐古」の意味

過去の戦闘描写と重なる場面が多数登場。懐古し、その上で前に進むことを決意した兵士たちの心情を表現している?

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