第127話「終末の夜」

概要

調査兵団とマーレ残党が手を組んで集まった夜。森で火を囲み飯を食いながら話し合いに……なるのか?という回。

前回126話では、本来敵同士だったはずのメンバーが地鳴らしストップ!そして世界救出!という共通の目的の元にあっさり合意し集結してしまった感があったが、今回はやはりというかなんというか軋轢が表面化してしっかりと揉める。

この回で回収された伏線

飛行艇

伏線

ヒィズル国製の飛行艇。燃料はパラディ島の資源・氷爆石。地鳴らしの実験を視察するために来島した。

27巻109話「導く者」

回収

地鳴らし発動後、この飛行艇を使ってハンジたちはエレンを止めようとする。

寝室の窓に人影

伏線

兵士たちの寝室の窓に人影(ジャンのコマ)。それに気づいている様子のミカサ

31巻126話「矜持(きょうじ)」

回収

人影の正体はハンジ。

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ジャンの夢

ミカサ(右頬に傷がある)と結婚しセントラルの一等地で暮らしている

考察

不明。過去の似たような描写(道や記憶)を踏まえるとこの手の描写は単なる妄想以上の意味があったりする。最終話の終盤の展開を示唆している?

亡霊?

死んだ調査兵団のメンバーが現れたのはどういうこと?

考察

兵士たちだけではなく家具もボロボロになっている。またハンジだけでなくジャンも(多分ミカサも)兵士たちを認識しているっぽい。単なる妄想ではなくユミルの民ならではの現象に近いイメージなのかもしれない。

過去回と重ねられている描写

呼ぶ人呼ばれる人

窓を叩くハンジと耳を塞ぎ葛藤するジャン

内容

窓を叩くアルミンと毛布に包まり外に出ようとしないエレン

3巻13話「傷」

小ネタ・擬音

カバディ

擬音

カバディ → カバディ。インド発祥のスポーツ

内容

ミカサとアニの一触即発のシーンで立ち上がるオニャンコポンの音

悟空

擬音

ゴクウ → 悟空。西遊記、ドラゴンボールの主人公

内容

ジャンがシチューを飲む音

所感・考察

集合前夜の出来事

ジャンたちをピークが咥えて脱出する前夜。

やっぱり(?)無策だったハンジさん。地鳴らしが発動したからマーレはしばらく攻めてこないので猶予がある、その間になんとかしようというスタイル。

ミカサは「エレンに無差別攻撃をさせたくない」と自らの意志をはっきりと表明しハンジに賛同。

しかし、エレンを止めることはすなわちパラディ島の終わりだし、この状況で世界が黙っているはずがない。そもそもこれまでもそうやって結論を先送りにして結局何もできなかったジャン、という真っ当な指摘が入ります。

それでも断じて虐殺は許せません。志半ばで散っていった調査兵団の仲間たちも同じ気持ちだろうと。地鳴らしが成功してパラディ島が自由になればそれでいいなんてケチなこと言うはずない。

だから、何もせずただこのまま黙って見ている訳にはいかないのです。

ジャンもマルコの英霊に視線を向けられ、セントラル一等地で黒髪美人妻と暮らす夢を諦め、戦うことを誓います。

シチューを囲んで大喧嘩

マガトの目的は何?

ジャンとマガトの言い合い。

ジャンはここに来ている以上、歩み寄って協力する気満々だとは思いますが、複雑な感情を抱えているのも事実。

地鳴らし発動に加担しておきながら今度はそれを止めると言い出した調査兵団に対して「正義に目覚めたか?」と言うマガトに対して、ジャンは気持ちを抑えられなくなります。「根本的な原因はパラディ島に巨人を送り込んできたマーレだろう」と。

ところがエルディアとマーレの歴史の話をほじくり返すマガト…。グリシャの手記~マーレ編以降、散々語られてきたのに、またそこから話し合わなきゃいけないの?

まるでかつての自分を見せられているようなライナー、ガビの2人はバツの悪そうな顔でうつむいております。幼少期のガキは一体誰なのか…。

マガトは敵キャラの2番手集団筆頭あたりの存在とはいえ曲がりなりにも大国マーレ軍の元帥であり、エルディア人である戦士たちに対して理解ある振る舞いを見せるなど、実は器の大きい人物なのではないかと思っていたのですが、このような様子を見る限りまだいまいち真意がつかめません。

ハンジの言う通り、初めて対峙した「島の悪魔」の本当の姿に戸惑っているだけかもしれませんが。

アニが懸念していることは?

お前ら、エレンを殺す覚悟は出来ているんだろうな??「…え?」じゃねえよ。ほらな、やっぱり思ったとおりだよ。何にも考えてないじゃないか。

話し合うといったって、説得に応じなかったらどうすんの?殺すしか無いよね。

そうなったらどうよ?またマーレとパラディの殺し合いが始まるよ?分かってる?わかってたよね、そんなこと。初めから。

……。

じゃあ何?今ここで私を殺すのか?とミカサが踏み出すと、アニが巨人化する素振りを見せて一触即発。エレンを巡り何かと遺恨のある2人ですが、今回はアニが譲歩。

とりあえず説得までは争うべきではない。そこまでは仲良く行きましょう…って、ちょっとうやむやな感じでこの場は収まってしまいました。

イェレナの嘘。「世界を救う」という甘美な言葉

さしあたって取るべき行動は港へ行ってアズマビトの飛行艇でエレンに追いつくこと。むやみに飛んで燃料を浪費する訳にもいかないので、進路を探る手がかりが必要。ということで、イェレナなどうなの?お前なら検討ついてんじゃないの?なーんてマガトが問い詰める流れで、イェレナの出自が明らかに。

なんとイェレナはごく普通の一般家庭で育ったマーレ人でした。故郷を奪われた難民というのは真っ赤なウソ。マーレに不満を持っていたためにジークに便乗しつつ「世界を救う」という夢を叶えようとしていたのです。

ピークに本当のことをバラされてもイェレナはお前らも一緒だろ?と、動じません。

これまで殺し合ってきた者同士が、「世界を救う」という共通の目的のために、これまでの遺恨を水に流そうとしている。それくらい「世界を救う」って言葉には人を惹きつける力があるのです。

イェレナは続けて、マーレとパラディの殺し合いの数々を振り返りベラベラとまくし立てます。ライナーやアニが壁を破って調査兵団相手にしてきたこと、逆に調査兵団がレベリオ収容区で起こした殺戮劇のこと。

ジャンがファルコを殺そうとしたこと、ガビがサシャを殺したこと。面と向かっては言いにくい、お互いの傷を蒸し返す作業を一手に担ってくれました。

ついに104期に明かされたマルコの死の真実

そしてトドメとばかりにマルコの死の真相へ。殺戮の思い出話もお互いのわだかまりをすっきりさせるには必要なことだと大人な態度でいたジャンもさすがにグラっときます。

そしてついにアニが「自分がマルコから立体機動装置を取り上げた。だからマルコは巨人に食われた」と真実を語ります。

「それは俺の命令だった」とかぶせるライナー。なんとも複雑な表情のアニ。

ここぞとばかりにライナーは懺悔。詳細を語ります。

マルコの最後の言葉が「俺たちはまだ話し合っていない」であったと明かされ、その場も話し合いを進めようムードが広がるかと思いきや、懺悔が足りずすっきりしないライナーはいかに自分がダメな奴かを語り続けてしまいます。

これにはさすがのジャンも堪忍袋の緒が切れ「んんんんん!」と言葉にならない叫びを挙げながらライナーを滅多打ち。ここ最近ライナーいじめが加熱しています。

均衡を破ったのはガビだった

どちらかが大人になり相手に協力を求めなければならない状況。

仕事をしたのはガビでした。

ジャンがライナーをタコ殴りにしているのを横から庇って蹴りを喰らいながら、自分の無知さを晒し、跪いて嘆願。これでジャンは正気に戻り、一旦1人で森の奥へ。

パラディ島の悪魔を殺せば自分たちは善良なエルディア人であると認められると信じて頑張ってきたのに、却ってそれが仇となり大切な家族を虐殺されることになるとは何とも皮肉な現実です。

マガトは泣き崩れるガビを慰めようと一旦手を伸ばしますが、その手を下ろしてしまいます。

本来ならば元帥である自分が果たさなければいけなかった役目をまだ子供の候補生であるガビに担わせてしまったことを悔いたからでしょうか。

自分たち大人が教育指導した子供たちが素直に努力して突き進み続けた結果、自ら不幸を招いてしまった事実。

まだ幼いガビとファルコはパラディ島に来て現実を知り、自分たちの未来のために行動をしています。対して、マガトは未だに過去の歴史に囚われていました。これを機に変化が起きるでしょうか。

港を占拠する無敵のフロック、イェーガー派

翌朝、すっかり怪我も治ったライナーを叩き起こしていざ港へ。

ところが港はイェーガー派に占拠されていた模様。しかも対巨人用装備を携えて。働き者のフロックには感心されっぱなしです。

人質がいる以上は超大型巨人パワーで一掃するわけにもいきません。鎧や女型ならパラディ島民を躊躇なく殺せるもしれませんが、対巨人用装備があるのでちょっと期待薄。そもそも巨人化出来るかも謎。

人質となっているキヨミには次回以降なにかしらの新事実発覚が期待されます。記憶関係の能力を持ってましたとか。ミカサとの絡みも兼ねて、物語に決着をつける強烈なやつが欲されるところです。

果たしてどうやってイェーガー派を捌くのでしょうか。

おそらくこの中には、シャーディス教官をボコボコにした後改心した109期訓練兵の面々(メガネの坊主スルマ君など)が潜んでいると思われます。なので、126話でシガンシナ区の砦の窓からアルミンたちを見ていたのはきっとシャーディス教官なんじゃないでしょうか。

そんなわけで、109期が内側からイェーガー派を鮮やかに成敗する流れに期待します。

気になるポイント…

結局、地鳴らしはどうやって止めるの?

地鳴らしストップの具体策は結局うやむやです。まずは説得、ということなのでしょう。

シチューパーティーを経てお互い多少なりともすっきりした分、この後の悲慘な展開がやや怖いですね。ライナーを誰かが庇って退場とか…

やっぱりアズマビトが裏で手を引いていたか…というマガトの発言

色んな意味が考えられますね。

マガトらマーレ軍はずっと前からアズマビトのことを怪しんでいた。ヴィリー・タイバーの演説前、馬車の中で会話していたときに窓から見えた黒いコートの男は多分アズマビトの付き人です。

あるいは、それ以前の話として歴史的背景からアズマビト(ヒィズル国)がマーレ軍に対して攻撃してくる下地があった。その秘密がこれから明らかになる、など。

パラディ島内の防御がスッカスカでは?

地鳴らしが発動され、壁の巨人たちは完全に島の外へ行ってしまったようです。ということはマーレ軍は今のうちに飛行船で島に飛んできてしまえば島内の住民を全滅させることは簡単なのでは……??

単行本、別冊マガジン掲載時の情報

タイトル

第127話「終末の夜」

End's Eve
公開
別冊少年マガジン:2020年4月号
発売日:2020年3月9日()
コミックス
発売日:2020年9月9日()

サブタイトル「終末の夜」の意味

パラディとマーレの敵対関係の終末?世界が終末に向かう夜?

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