第122話「二千年前の君から」
概要
第1話のタイトル「二千年後の君へ」という進撃の巨人における最大の謎の1つがついに回収される122話。
道に1人でいる始祖ユミルと思われるあの少女が、どのようにして現在の状況に至ったのかを振り返る回。
「二千年前の君から」の君は始祖ユミルで「二千年後の君へ」の君はエレン、と読めます。
始祖ユミルがエレンをここまで導いた、ということなのでしょう。
この回で張られていた伏線
13
少女を指した奴隷たちの指の数が13。13ページ目で巨人化。巨人化ページから数えて13ページ目に死亡。
豚を逃したのは誰?
始祖ユミルが指をさされ本人も認めていたが実際に豚を逃した描写はない。
誰か
エレンのセリフ「待っていたんだろ ずっと 誰かを」
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この回で回収された伏線
二千年後の君へ
サブタイトル「二千年後の君へ」の意味は?
1巻1話「二千年後の君へ」
122話「二千年前の君から」と対になっている。122話のエレンのセリフ「オレをここまで導いたのはお前なのか? 待っていたんだろ ずっと 二千年前から誰かを」から考えると1話の君はエレン、122話の君は始祖ユミル。尚、ミカサがどうこうはまた別の問題。
鳥籠 その1
なぜ人類が鳥籠に囚われる?
1巻1話「二千年後の君へ」
鳥籠=遊郭。鳥=遊女。ユミルの民は「売女の末裔」と呼ばれている。始祖ユミルとその娘たちの境遇に由来している?
誰か僕らを見つけてくれ
ベルトルトのセリフ「誰か僕らを見つけてくれ」
12巻48話「誰か」
難問。見つけてほしいと思っている人間が他にもいることを示唆?「待っていたんだろ ずっと 二千年前から 誰かを」に繋がる?
ヒストリアが読む本に登場する少女と悪魔(?)
黒髪の「おねえちゃん」とヒストリアが一緒に読んでいる本に登場する少女と悪魔(?)
13巻54話「反撃の場所」
始祖ユミルと大地の悪魔?。頭巾を被りランタンを持っている姿は130話でヒストリアと密会しているときのエレンとだぶる。絵本の少女クリスタのモデルは始祖ユミルと考えられる。
王さま
ケニーはロッド・レイスのことを「王さま」と呼んでいる。
16巻63話「鎖」
この段階ではあやふやだが、作中では「壁の王」は基本的に「始祖の巨人継承者」を指している。しかしロッド・レイスは巨人の力を持っていない。ケニーの「王さま」呼びは、初代フリッツ王が非ユミルの民であることを暗に示唆している?
奴隷用の血
ザックレーに芸術品にされた貴族が言ったセリフ「お前のその血は奴隷用の血だ… 我々名家の血筋とは違ってな…」
16巻63話「鎖」
始祖ユミルが奴隷であり、その子孫であるユミルの民もずっと奴隷として生きてきたことを示している。
傍観者
自分を特別だと勘違いし、最終的に傍観者になることを選んだシャーディス
18巻71話「傍観者」
理想が叶わず「道」に囚われ、2000年間ひたすらた子孫の様子を眺めていたであろう始祖ユミルはある意味シャーディスと同じような状態である。
腕章のマーク
グリシャらエルディア人が付ける腕章のマーク
21巻86話「あの日」
初代フリッツ王(エルディア部族の長)がつけていた王冠にあしらわれている飾りと一緒。角の数が9(←九つの巨人を表現?)
結婚に拘る104期ユミル
104期ユミルはなぜ結婚に拘る?
22巻89話「会議」
始祖ユミルが巨人の力を手に入れる前、結婚式的なものを挙げる男女を羨ましそうに眺める描写がある。始祖ユミルの思いが104期ユミルに受け継がれていることを示唆? もちろん単純にヒストリアのことが好きなのもあるはず。
エレンの表情
歯を食いしばるエレンの表情
22巻90話「壁の向こう側へ」
始祖ユミルと一緒(礼拝堂地下で巨人化するときのグリシャも)
売女の末裔
中東連合の兵士が顎の巨人に向けた言葉
23巻92話「マーレの戦士」
始祖ユミルやその娘たちの境遇を示唆
豚の末裔
マガトがエルディア人を豚の末裔と呼んでいる
23巻94話「壁の中の少年」
エルディア人(ユミルの民)の先祖は豚?
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謎
花びらの数
森を逃げていた場面の花びらの数は8枚。槍に打たれて死ぬときの花びらの数は9枚。
9枚目は進撃の巨人?何らかの意思的なものを表現している?
光るムカデ
大木の穴で始祖ユミルが接触したムカデのようなアレ。有機生物の起源?見た目が似ていることからハルキゲニアと呼ばれたりもしている。122話のラストでエレンの首に繋がった
ガビ曰く「エレンの背骨のあたりから光るムカデみたいのが飛び出して首と繋がった」これが巨人の力の正体?
ジークの命令を無視
始祖ユミルがジークの命令を無視している(ように見える)。
王家の血筋は関係なくなった?座標に到達して始祖ユミルに会うために王家の血筋が必要なだけで、到着して命令する段階まで来たら関係ないのかもしれない。エレンが始祖ユミルの思い込みを解除したから、と考えることも出来る。
王家の血筋と普通のユミルの民の違いは?
ユミルの民って全員王家の血筋なのでは?
不明。作中で明言はされていない。しかし王家の血筋が特別扱いされており、機能的な部分でエレンとジークに明らかな違いがある以上、なんらかの区別はあるはず。
過去回と重ねられている描写
妊娠中の始祖ユミル
バルコニーから兵隊を眺める妊娠中の始祖ユミル
自宅のポーチ的な場所から夕日を眺める妊娠中のヒストリア
27巻107話「来客」
結婚したい
結婚式を羨ましそうに眺める始祖ユミル
ヒストリアと結婚したいライナー(24話、39話)や104期ユミル(5話、89話)
06巻24話「巨大樹の森」
お前は自由だ
エルディア部族の長(フリッツ王)が始祖ユミルにかけた言葉
グリシャ→エレン(139話)、グロス曹長→グライス(87話)、ロッド→ケニー(65話)。始祖ユミルは奴隷状態からは開放されたが命の保障はどこにもない。自由ってそんな都合の良いものじゃないよ的な
22巻87話「境界線」
ユミルとユミル
豚を逃した罪で追放され、森を彷徨う中で偶然巨人の力を手に入れた始祖ユミル。
教祖役を務めていた宗教団体がマーレ当局に見つかり楽園送りになり巨人にされ壁外を彷徨う中で偶然巨人の力を手に入れた104期ユミル
22巻89話「会議」
ただの人
フリッツ王にお前は奴隷として働くために生まれてきたのだと言われた始祖ユミルがエレンから「ただの人」と言われて涙を流し、地鳴らし発動
母から疎まれ誰からも必要とされていないのではと感じていたヒストリアがエレンから「普通のヤツ」と言われて喜ぶ
16巻65話「夢と呪い」
少女の回想
おそらく、これは2000年前の出来事です。民族同士が戦争を繰り返しているような時代と思われ、このときからマーレ民族やエルディア民族がいたんですよ、という設定だと思います。
★★★
エルディア民族に戦争で負けた少女の村の人々は奴隷として働かされることになります。
ある日、少女は豚を逃した罪で罰せられるのですが、その方法は人狩り的なものでした。少女は森の中に逃げて彷徨い、大きな裂け目のある巨大な木を見つけて中に飛び込みます。
するとそこには水が溜まっており、ハルキゲニアのような不思議な生物と接触し、巨人化しました。以後、エルディア民族のフリッツ王の元で再び奴隷として働くようになります。
巨人の力を使ってインフラを整備し、敵の民族を駆逐し、エルディア帝国の発展に大きく貢献します。
王との間に娘を3人授かりました。しかし、相変わらず奴隷として働きまくっています。
国も大きくなっていったあるとき、1人の兵士が王に向かって槍を放ちました。少女は王を庇って槍が打たれ、その場に倒れ込みます。
それでもなお、起き上がって働くことを要求してくるフリッツ王。彼女は絶望し、静かに息を引き取りました。
フリッツ王は3人の娘、マリア、ローゼ、シーナに少女の身体を食べさせます。巨人の力を受け継ごうという魂胆です。目論見通り、巨人の力は代々受け継がれ、今に至る…。
★★★
そして、道に戻ってきます。
一連の回想は少女(始祖ユミル)の記憶であり、エレンが少女に触れた瞬間に流れてきたのだと思います。
エレンがハグしながら「お前は奴隷じゃない」と言うと、少女は涙を流します。暗かった目元にも光が灯りました。
この表情は、勲章授与式でエレンがヒストリアの手にキスをしたときと同じように見えます。
これで始祖の巨人の力がエレンへ移ったのか、あるいは少女の意志のなのか。壁が崩れ、中から巨人が出てきました。
地鳴らし開始?エレンの姿はどうなるの?
大人ユミル死亡時、少女ユミルは既に座標空間にいる
ここから先は妄想。
成人のユミルが槍に撃たれて死んだ後に舞台が現実世界から座標空間へと移っています。
少女版ユミルはその前からずっと座標空間にいたのであり、死んだ後に飛んだわけではないと思います。
始祖ユミルは座標空間と現実世界の両方にいた、謎の生物と接触した瞬間から座標の世界が始まっているということです。
巨人になってマーレを亡ぼしているときも、インフラ整備をしているときも、子供たちを産んだときも、槍に撃たれて死んだときも、始祖ユミルは全部座標空間からそれらの出来事を見ていたはずです。
現実世界での自分が死んだ時に、「ああ、やっと解放される」と思ったかもしれません。ところがフリッツ王は娘たちに自分の遺体を食べさせたことで、3本に枝分かれした道が発生します。
1本道が3本に増えたのか、あるいは1本道が一旦消えて急に3本の道として復活してきたのか、いずれにせよ本格的な地獄の始まりです。
奴隷の少女は名前はクリスタ?
122話はフリーダが幼い頃のヒストリアに絵本を読み聞かせている場面から始まります(13巻54話「反撃の場所」の4ページ目と同じ)。
左側には大地の悪魔らしき生物、右側にはリンゴを渡そうとしている(貰おうとしている?)少女の絵が描かれています。
フリーダが「この子みたいな女の子のことかな」と指差しているの少女、アニメ版ではクリスタと呼ばれています(原作では何も言ってないが、51話のヒストリアのセリフから本の少女の名前はクリスタであるとわかる)。
13、9など云々
- ユミルに罪を被せた奴隷たちの数が13人
- 少女が初めて巨人化したシーンは13ページ目
- 巨人化した13ページ後に少女が死ぬ
13といえば第1話で「いってらっしゃい」のシーンが13ページ目であり、そこだけページ表記があります。
- 人狩りに遭い転んで倒れたときに出てくる花びらの数は8
- 槍に打たれて死んだときに出てくる花びらの数は9
ということで、増えた分の9枚目の花びらは「進撃の巨人」を表現していると思われます。
フリッツ王は槍で倒れるユミルに向かって「起きて働け」と言いました。この発言にユミルはおそらく酷く絶望し、王に抗って死を選んだのだと思われます。その意志こそが「進撃の巨人」が生まれたきっかけなのかもしれません。
単行本、別冊マガジン掲載時の情報
タイトル | 第122話「二千年前の君から」From You, 2,000 Years Ago |
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公開 | 別冊少年マガジン:2019年11月号 発売日:2019年10月9日(水) |
コミックス | 発売日:2019年12月9日(月) |
サブタイトル「二千年前の君から」の意味
始祖ユミルからエレンへのメッセージ。