第114話「唯一の救い」

概要

巨大樹の森でリヴァイからの逃走を試みるもあっさり捕まってしまったジーク。現在はリヴァイの荷馬車に乗せられてで移動中。雷槍を身体に突き刺ささった状態で拘束され、巨人化防止のために定期的に足を切られながら…。ジークは朦朧とする意識の中で、先代の獣の巨人・クサヴァーさんのことを思い出していた。

ジークの回想。

エルディア人であるがために幼少期から激しく差別され、その上両親からは戦士を目指すことを命じられ、不自由で肩身の狭い思いを過ごしてきたジーク。

本人にその気がないこともあり訓練の成績はいまいちで、やる気が無いことも教官に見抜かれている。

両親はエルディア復権派の活動に心血を注いでいるため、遊んでほしくても相手にされない。おまけに毎晩祖父母の元に預けられ、マーレの洗脳教育を施される。かと思えば自宅では父グリシャが真逆のエルディア寄りの歴史を叩き込んでくる。

それでもみんなに「いい子」を演じ続ける健気なジークに救いの手を差し伸べたのがトム・クサヴァー。獣の巨人を保有する彼の本業は研究者であり、戦争自体には興味がない。あくまでも巨人の謎を解くために戦士の道を選んだ変わり者。いわば唯一の理解者である彼とキャッチボールをして遊ぶことがジークの癒やしとなっていった。

ある日、ジークはマーレ軍がエルディア復権派を摘発しようとしているとの情報を得る。両親に身の危険を知らせ、説得を試みるも聞いてもらえず…。泣きながらクサヴァーさんに相談すると、彼は「告発しろ」という。なぜなら「両親は自分たちの計画のために勝手にジークを利用して、勝手に期待して勝手に見放し、気にかけず、愛さなかったから」

クサヴァーの任期(寿命)が迫ってきた頃、彼は「始祖の巨人」の力があれば、ユミルの民の身体の構造を変えることも可能であることを解明した。それを聞いたジークは「ユミルの民から子供が出来なくする」ことを思いつく。生まれてこなければ、差別による負の連鎖に苦しむこともなかったのだから。

衝撃を受けたクサヴァーは隠していた家族のことを話し始める。彼は自分がエルディア人であることを隠して結婚したマーレ人の妻と子供がいたが、事実を知った妻は子供と共に自殺。クサヴァーが戦士になった本当の理由は、巨人のが研究が捗る上に寿命まで設定されて自動的に自殺できるからであった。彼もまた、「生まれてこなければよかった」と思っている人間だったのである。

そしてジークは獣の巨人を継承をすることを決意。始祖奪還を成功させて、エルディア人を苦しみから解放することを誓った。

それがジークが考える唯一の救い「エルディア人の安楽死」である。

★★★

ジークはエルディア人を救うと言いながら、人の命を軽く扱っている様子だったのはこの「安楽死計画」が理由であった。

荷馬車の中で目を覚ましたジークは、突如叫び身体をよじらせ自身に繋がれた雷槍を爆発させる。

ジークの身体は真っ二つになって飛散。異変に気づいたリヴァイは咄嗟に防御態勢を取るが爆風で吹き飛ばされてしまった。

この回で張られていた伏線

クサヴァーさんの獣の巨人

クサヴァーのセリフ「私の『獣の巨人』はあまり戦争の役に立たない」

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この回で回収された伏線

呪われた歴史

伏線

ジーク戦士長の言う呪われた歴史とは?

19巻77話「彼らが見た世界」

回収

エルディア人(ユミルの民)は巨人になれるせいで強力な戦争兵器として利用されている上、悪魔・化け物として迫害を受け続けている。ジークはそんな歴史を終わらせるためにエルディア人そのものがこの世から消えてしまえば良いと考えている。

クサヴァーの導き

伏線

グリシャを告発したジークの横に居る眼鏡のおじさん。

22巻87話「境界線」

回収

ジークに両親を告発するように導いたのはこのクサヴァーだった。

獣の巨人の投擲技術

伏線

他よりは多少デカいってだけの巨人がまさか…投擲技術でここまで恐ろしい兵器になっちまうとは

24巻95話「嘘つき」

回収

投擲技術はジーク由来のもの。

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2000年問題・クサヴァー編

クサヴァーのセリフ「私達が生まれるより二千年も前から存在したとされる九つの巨人だが」

考察

クサヴァーが正しければ、かの有名な「二千年後の君へ」の計算が成立しない。このときジークは7歳(832年)でありグリシャはまだマーレにいるので当然エレンは生まれていない。この年から数えて2000年前に九つの巨人が生まれてしまっているので少なくとも20年以上の誤差が発生する。残念ながら“約”2000年という解釈で妥協するしかないのかもしれない。

小ネタ・擬音

パシリ

擬音

パシリ → パシリ。使い走り

内容

ジークとクサヴァーの初めてのキャッチボール。落ちこぼれコンビに相応しい擬音?

パアシイ

擬音

パアシイ → パーシー(機関車トーマスのキャラクター)、パーシー・ウィーズリー(ハリーポッターの登場人物)、パーシー・ジャクソン(小説シリーズ)…など

内容

ジークとクサヴァーのキャッチボール音。2回出てくる

パンチ

擬音

パンチ → パンチ

内容

ジークとクサヴァーのキャッチボール音

単行本、別冊マガジン掲載時の情報

タイトル

第114話「唯一の救い」

Sole Salvation
公開
別冊少年マガジン:2019年3月号
発売日:2019年2月9日()
コミックス
発売日:2019年4月9日()

サブタイトル「唯一の救い」の意味

外では迫害され、軍では落ちこぼれ、家では両親と祖父母との板挟みだった少年ジークにとってのクサヴァーさん。ジークが考える世界を救う唯一の方法がエルディア人の安楽死。

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