第105話「凶弾」
概要
レベリオ収容区の激闘はパラディ島勢力・調査兵団がマーレ戦士隊を終始圧倒。エレンは戦鎚の巨人を捕食し、リヴァイは「獣の巨人」ジークを討伐、「顎の巨人」ポルコ、「車力の巨人」ピークも戦闘不能になるまで追い詰めた。
ハンジ、アルミンを乗せた飛行船が駆けつけ、エレンとミカサが合流。軍港を破壊し民間人を殺害したアルミンは複雑な表情でエレンに手を差し伸べる。既に合流していたリヴァイはエレンの顔見るなり蹴りを入れ、失望した様子でエレンを拘束すると告げた。「すべて『お前ら』の思い通り」とは?今回の襲撃作戦はエレンと誰かの策略によるものだったようだ。
残りのメンバーも次々と飛行船に乗り込んでいく。マーレ軍には飛行船を撃ち落とせる火器はない模様。かつてオルブド区でロッド・レイス討伐にも参加した駐屯兵師団長ロボフは今、調査兵団として働いているらしい。彼は撤退の後処理を引き受け、ジャンを先に帰した。
今回の戦いで死者は6名。ジャンは悔しがるが、フロックは敵に与えた損害と比較すれば上出来、新生エルディア帝国の大勝利だと新兵たちと喜びを分かち合う。幾度も死線を乗り越え、それでもまだ終わらない戦いを嘆くシャン、コニー、サシャ。そしてもはやベテランの立場ながら、今回もまた同期共々生き残った喜びを静かに噛み締めるコニー、歓喜の雄叫びをあげる新兵たちとはあまりにも対照的な姿である。
調査兵団が着々と撤退態勢を整える中、ガビは復讐に燃え飛行船を追いかけていた。飛んでいる敵を走って追いかけたところで無駄だとファルコに止められても諦められない。ガビはエルディア人に生まれたせいで惨めで苦しい思いをしてきたが、世界に認めてもらい、いつか腕章が必要なくなる日が来ると信じて頑張ってきた。しかし今日、パラディ島の悪魔の手により大切な同期を失い、エルディア人である自分を庇った門兵のおじさんを撃たれ、これまでの努力諸共、すべて壊され、踏みにじられた。断じて許すわけにはいかない。
地下室でエレンの話を聞いて真実を知っているファルコは複雑な表情を浮かべる。ガビが受けた屈辱は、パラディ島の人たちも同じように過去に味わったこと。だから今その報復を受けているのだとファルコは説明する。しかし、ガビはそんな話は信じられず、譲らない。なぜならエレン達は「世界の平和を脅かす島の悪魔」であり、自分たち善良なエルディア人とは違うのだから報復などという論理は通用しないのである。
ファルコはエレンの「海の外も壁の中も同じ」という言葉が忘れられない。パラディ島のエルディア人が自分たちマーレのエルディア人とは違うとは、もう思えない。かといって、ガビの行動を止めることも出来ない。
そしてガビはついに調査兵団の最後尾を務めていたロボフに追いつき、銃殺。飛行船に繋がっている彼の立体機動装置を利用して潜入を試みる。死を覚悟しているガビを誰も止められないだろう。
今、ファルコがガビを救う方法は1つしかない。ガビが立体機動のトリガーを引き、死んだロボフごと飛び立った瞬間、ファルコはロボフの死体に飛びついた。2人をずっと探していたコルトがようやく追いつたが時既に遅し。
ガビはトリガーの加減がわからず、飛んだ勢いそのままに乗降口に激突。サシャは唯一異変に気づいていたが、調査兵たちは完全に油断しており反応が遅れてしまった。そしてガビが放った銃弾がサシャの心臓を貫く。
その頃地上では、ピークが傷を修復しながら自分を穴に落とした怪しい兵士のことを思い出していた。彼女によると、あの兵士は3年前にパラディ島に送られた調査船団のメンバーであった。そして、その兵士はイェレナという女性であり、ジークの信奉者である…つまり今回のレベリオ収容区の襲撃は、エレン、ジーク、イェレナらによって仕組まれてた、ということになる。
エレンはヴィリー・タイバーの演説会場に集まったマーレ軍幹部を殲滅、リヴァイはジークを殺したと見せかけて誘拐、アルミンが軍港と戦艦を破壊。あとはタイバー家が保持する戦鎚の巨人をどう無力かするか、というのが大筋だったのだろう。そしてこれら一連の作戦をスムーズに行うために、顎の巨人と車力の巨人を拘束しようとした。
当然、ガビとファルコはそんなことは全く知らず衝撃を受ける。そしてジークにとっても、この2人の子供が巻き込まれたことは大きな誤算であった。
調査兵団にも誤算があった。本来、イェレナはピークとポルコを拘束する予定だったが、脱出を許したせいで2人の巨人が戦闘に参加。結果、余計な犠牲者を増やすことになってしまった。戦闘を避け、被害を最小限に抑えるために作戦が練られていたことが伺える。
エレンによれば、マーレ軍幹部と主力艦隊、および軍港を壊滅状態にしたことで、とりあえず時間を稼ぐことはできた、戦果としては十分合格点だろうと考えている様子。
エレンなくして人類の未来はない、という島の状況は4年前から変わっていない。それを逆手にとるようにエレンが自ら人質となった今回の強硬策にハンジは不信感を抱いている。
そんなやり取りを見てジークはエレンをフォロー。「だがこうして『始祖の巨人』と『王家の血』を引く巨人が揃った。すべての尊い犠牲がエルディアに自由をもたらし必ず報われる。」
そして、サシャが死んだ。
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この回で回収された伏線
ジークのメガネ
コルトが「王家の血」について話しているとき、ジークの眼鏡が曇って表情がわからないようになっている。
23巻93話「闇夜の列車」
ジークが自身が王家の血を引いていることをマーレに隠している。後々マーレを裏切ることを示唆している。
ジークのメガネ
さすがピークちゃん2回、タイバー家が祖国マーレを憂いている、レベリオで祭事
24巻95話「嘘つき」
ジークのメガネが曇っているときは嘘をついている、あるいは何か本音を隠している。ジークが裏切ることを示唆している
電話するジーク
ジークは誰と電話をしている?
24巻97話「手から手へ」
ヴィリーとマガトの会話を盗聴している?
使える柱・ネズミ
使える柱とネズミの意味
24巻98話「よかったな」
マーレ軍内の有能な兵士がエレンらパラディ島勢のスパイの潜入を見抜いていた?
いいんじゃない?
ジークのメガネが曇っている。
24巻98話「よかったな」
ジークとエレンが繋がっていることを示唆している。
顎髭の兵士
戦士隊を呼びに来た兵士。目がわからないように描かれている。
25巻99話「疾しき影」
イェレナ。ピークとポルコを穴に落とした
ジークだけ別
顎髭の兵士に連れられた戦士隊。ジークだけが別な場所へ誘導される。
25巻99話「疾しき影」
イェレナとジークが仲間であり、マーレを裏切っていることを示唆している。
帰ってきて
ミカサのセリフ「…エレンお願い…帰ってきて」
25巻101話「戦鎚の巨人」
エレンとミカサ(&調査兵団)の考えが違うことを示唆。また「いってらっしゃい」との繋がりも感じさせる
フロックの暴走?
ジャンは民間の被害を最小限に抑えろと言うが、フロックは全員が敵だと考えているので区別なく攻撃を仕掛けている。
25巻102話「後の祭り」
少なくともこの戦いにおいてフロックとジャンは考えが違うことがわかる
ガビとサシャの目が合う
門兵のおじさん2人を撃ったサシャとガビの目が合う。その後ガビが門兵のおじさんが持っていた銃に手を伸ばす描写
25巻102話「後の祭り」
サシャの死亡フラグが立った
この戦いの先に
ジャンのセリフ「この戦いの先に何があるのかそれを見極めるためには生き残らねぇと」
25巻102話「後の祭り」
レベリオ襲撃はエレンとジークが中心になって立てられた作戦であり、ジャンは彼らの本当の目的が何かまだわかっていない。
こいつもかよ!?
ジャンのセリフ「こいつもかよ!?」どういう意味?
25巻102話「後の祭り」
当初の予定では井戸に落とした車力と顎は戦闘に参加してこないはずだった。これはイェレナの失態。なのでジャンのセリフは「顎だけじゃなくて車力も脱出してきたのかよ!?」というような意味合い。本来いないはずの車力と顎が戦場に現れてしまったせいでジークも調査兵団に攻撃せざるを得なくなった。
手加減するジーク
得意の投擲、のはずが調査兵団が横に避けやすいように縦方向に広がるような軌道で投げている。
26巻103話「強襲」
ジークがパラディ島勢と組んでいることを示唆。
ジャンの反応
ジークの行動に対する驚き方
26巻103話「強襲」
ジャンはジークを味方と認識しているので攻撃してきた事自体に驚き戸惑っている。だから逆上して向かっていった調査兵にも「待て」と言っている。
さすがピークちゃん
ジークのセリフ「さすがピークちゃん その通りだよ」
26巻103話「強襲」
ピークが言っていることは間違っていない。しかしジークは本当にその通りだと思っている訳ではない。
俺の敵じゃない
エレン・イェーガーは俺の敵じゃない
26巻103話「強襲」
敵じゃなくて味方だ、という意味。この作戦においては確かに2人は敵ではなく味方だが…
切り刻まない兵長
ジークを切ったときのリヴァイの行動が不可解
26巻103話「強襲」
ジークが調査兵団と繋がっていることを示唆。殺す気であれば切り刻んでしまうはず。しかし敢えて爆弾を仕掛けたのは、マーレ側にジークを攫うところを見られないようにするためと考えられる。
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謎
ロボフ師団長
オルブド区でロッド巨人と戦ったときの駐屯兵団の男?
違う。オルブド区の兵士はカルステン。アニメ版エンディングのクレジットを見るとわかる
エレンはなぜ笑った?
顔は全然笑ってないが、コニーが笑ったと感じるぐらいには笑っているらしい。
不明。ハンネスのときと同じパターン?
小ネタ・擬音
カツオ
カツオ → 鰹
ミカサの立体機動装置のアンカーが飛行船腹部の丸太に刺さる音
ガッツ
ガッツ → guts ガッツ・根性・闘志
エレンを蹴るリヴァイを止めようとするミカサをアルミンが制止するときの音。普通、大きいツは付けないだろう……
ダッシ
ダッシ → 脱脂?脱屣?
ファルコとガビにようやく追いついたコルトの走る音。間に合わないからダッシュにならなかった?
単行本、別冊マガジン掲載時の情報
タイトル | 第105話「凶弾」Assasin's Bullet |
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公開 | 別冊少年マガジン:2018年6月号 発売日:2018年5月9日(水) |
コミックス | 発売日:2018年8月9日(木) |
サブタイトル「凶弾」の意味
調査兵団にとってはガビが放った弾丸。ガビにとっては門兵のおじさんを殺したサシャが放った弾丸。