第100話「宣戦布告」

概要

ヴィリー・タイバーとマガトの目的は、軍を再編して国を立て直すこと。彼らはレベリオ収容区祭事の演説中に敵が襲撃してくると予測している。そこで敵の襲撃を利用してマーレ群幹部殲滅、そして敵の実体を掴もうと企てていた。たとえヴィリーの命が危険にさらされようとも。

ヴィリーは歴史の真実を明らかにし、タイバー家が偽りの名誉にすがっていたことを告白。全てを捨てる覚悟を見せて世界に協力を呼びかける。今世界が直面している本当の脅威は「始祖の巨人」を奪ったエレンによる「地鳴らし」であると訴え、パラディ島に宣戦布告。

エレンは少なくともスラバ要塞の攻防終盤からマーレに潜入していたことが判明。敵と共に過ごした今なら、ライナーがパラディ島に潜入していたときの気持ちが、苦しみが分かると言う。

しかし、ライナーは否定する。自分は英雄になりたかったために周囲を巻き込んで突き進んだのであり、エレンの母が巨人に食われたのも全て自分のせいだという。それを見たエレンは決心がついたのか、ついに巨人化。戦いが始まる。

この回で張られていた伏線

戦鎚の巨人の正体

お前を犠牲にした…のコマで大きな近衛兵とメイドが並んで立っている。

回収25巻101話「戦鎚の巨人」

オレにはわからなかったんだ

エレンのセリフ「どうして何もしていない人達があんな目に遭って…大勢の人が食い殺されてしまったのか…オレにはわからなかったんだ」

回収34巻最終話「あの丘の木に向かって」

何で母さんは食われた?

エレンにカルラが巨人に食われた原因を問われたライナーは自分のせいだと答える。

回収34巻最終話「あの丘の木に向かって」

世界を救うためなら仕方がない

エレンのセリフ「世界を救うためだったら そりぁ 仕方ないよなぁ…」

回収34巻最終話「あの丘の木に向かって」

エルディア人の根絶

ヴィリー「エルディア人の根絶を願っていました」の後にメガネが曇ったジーク

回収29巻115話「支え」

この世に生まれてきてしまったからです

ヴィリー「私がこの世に生まれてきてしまったからです」に被るエレン

回収30巻120話「刹那」

お前と同じだよ

何が同じ?

回収33巻131話「地鳴らし」

それでも進み続けるエレンを見たライナー

海を渡り、敵と共に過ごして相手のことを理解したが、それでも進み続けるエレンを目の当たりにしたライナー

回収30巻119話「兄と弟」

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この回で回収された伏線

三重の壁の名前の由来

伏線

三重の壁の名前は外から順に、マリア、ローゼ、シーナ

1巻2話「その日」

回収

始祖ユミルの娘たちの名前から取って付けられていた

お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ…

伏線

エレンのセリフ「お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ…」

11巻46話「開口」

回収

ヴィリーの演説中の舞台裏地下室でライナーがこのセリフを持ち出すが、エレンは恥ずかしそうに「忘れてくれ」と言う。

今後我々に干渉するなら 壁に潜む幾千万の巨人が地上の全てを平らにならすだろう

伏線

今後我々に干渉するなら 壁に潜む幾千万の巨人が地上の全てを平らにならすだろう ←フクロウがエルディア復権派に宛てた手紙内の記述。

21巻86話「あの日」

回収

「地鳴らし」のこと

壁の巨人の発動

伏線

壁の巨人の発動

22巻89話「会議」

回収

後に「地鳴らし」と呼ばれる

手紙

伏線

ファルコが負傷兵の代わりに投函していた手紙

24巻97話「手から手へ」

回収

ファルコは敵であるエレンと仲間の連絡を手助けしていたことになる

ヴィリーの思惑

伏線

元帥ではなくマガトに会った理由とは?

24巻97話「手から手へ」

回収

マーレ軍の再編成が目的だから

家の増築の件

伏線

老朽化が深刻なので大幅な解体工事が必要。

24巻98話「よかったな」

回収

軍の再編成について。無能な上層部を一掃して入れ替えるつもり、ということ。カルヴィ元帥ら上層部をまとめて配置してエレンが倒しやすいようにした。

震えるヴィリー

伏線

ヴィリーはなぜ震えている

24巻98話「よかったな」

回収

マーレの好きなようにやらせていればいつかこのようなときが来るとわかっていた、というようなニュアンス?エレンに食われることを示唆

何かが変わりそうな気がする

伏線

ガビのセリフ「何かが変わりそうな気がする」

24巻98話「よかったな」

回収

良くないことが起きるフラグ

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その大半はエルディア人

馬車の中でのヴィリーのセリフ「その大半はエルディア人だ!!悪魔の末裔なんだろ!?」

考察

エレンたちの襲撃に乗じてマーレ軍幹部を殲滅しようという話の流れで出てきたセリフである。つまりマーレ軍幹部の大半はエルディア人であるということになる。具体的な回収はないが「カルヴィ元帥はエルディア復権派説」を後押しする描写として十分な説得力を持っている。

小ネタ・擬音

コボちゃん

擬音

コッボチャン → コボちゃん。読売新聞朝刊で連載される4コマ漫画

内容

エレンの左足の修復音

パリピ

擬音

パリ パリピ → パーティーピーポー or パーティーピープル。party people の略称。パーティ好きの人々のこと

内容

エレンが巨人化するときの音。

所感・考察

ヴィリー・タイバーとマガト隊長の目的

襲撃を逆手に取ってマーレ幹部を一掃

演説の前、ヴィリーとマガトは馬車の中で相談中。

2人は演説のときに敵であるパラディ島勢力が襲撃してくると予測しています。なぜならそこにはマーレ軍の幹部が一同に会すからです。

そしてその襲撃を利用して現在の幹部を一掃し、マガトが元帥となりマーレ軍を再編することが狙いのようです。正式な手順で再編したり、自分たちの手で身内を葬るよりも、こちらのほうが現実的な方法である、という判断なのでしょう。

とはいえ、この段階で「敵の実体」をはっきりと掴めている訳ではなく、多くの犠牲者が出ることも確実。そしてヴィリー・タイバー本人も無事では済まない、とマガトは言います。

ヴィリー・タイバーが犠牲にならなければならない理由

それでもやるのはどうしてでしょうか。

世界から同情を買うためです。そのためにエルディア人は「予期せぬ襲撃」となる必要がある。

そして、ヴィリー自身が死を覚悟で矢面に立つ、そこまでしないと世界を味方をつけることは出来ないと考えているのです。

マガトはエルディア人?

馬車のシーンでの最後、ヴィリーとマガトは「私達は悪魔に違いない」と言って握手します。

その前にマガトは「エルディア人は悪魔の末裔に違いありません」と言っています。

真相は不明ですが、マガト隊長もエルディア人の血を引いている可能性がありそうです。

ヴィリー・タイバーの演説で語ったこと

そして前回の演説の続き。

タイバー家の偽りの栄誉

タイバー家は一族の安泰を条件にカール・フリッツと手を組みマーレにエルディアを売りました。そのためエルディア人でありながら世界から尊敬を集め迫害されることもなく、戦槌の巨人を保持しながら戦争に参加することもなく過ごして来たのです。

ヴィリーは当初となったときにこの事実を知らされショックを受けつつも、マーレが覇権を握っている間は黙っていたわけです。わざわざ自分の立場が危うくなる事実を公表する理由はありません。

しかし、そのせいでマーレ軍は腐敗し、周辺国が力つけたことで巨人の戦術的価値が失われつつある今、とうとうけじめをつける日がやってきたということです。

3枚の壁の名前の由来

カール・フリッツが作った3枚の壁、ウォール・マリア、ウォール・ローゼ、ウォール・シーナ。

名前の由来は始祖ユミルの娘3人でした。

超大型巨人群の行進「地鳴らし」

そして、この壁の中に入っている超大型巨人群が大行進することで起きる地鳴らし。

これこそがカール・フリッツが生み出したパラディ島の脅威。

とはいえ、この地鳴らしは「始祖の巨人」を扱える王家の血筋でなければ発動は不可能であり、壁の王は代々「不戦の契り」により武力行使をすることはない。

しかし、現在はエレンが「始祖の巨人」を保有しており、かつて座標の力を使ったこともある。つまり地鳴らしを発動させる可能性があるということです。

地鳴らしの威力

幾千万もの超大型巨人が行進すれば、世界中の都市や大型の動植物が生態系ごと踏み潰されてしまいます。

現在の科学力では、地鳴らしを阻止できる兵器は今後しばらく現れることはないのは明らか。

地鳴らしが発動されたら何もかも手遅れになる。だからその脅威を止めるのは今しかない。

ヴィリー・タイバーの宣戦布告

地鳴らし発動の危機が迫る今、もはやタイバー家の保身のためにどうこう言っている場合ではなくなった、ということです。

人類共通の敵を用意して危機感を煽り、自身の生まれを呪うことで同情を買い、怒りの矛先を逸らす。そして世界に協力を呼びかけてパラディ島の悪魔に宣戦布告。

マーレが滅べばタイバー家も終わりですから、もうこれしか方法がなかった、ということでしょう。

戦いの始まり

ピークとポルコ

ジーク達が姿を消したを知ったマガト隊長は敵が動き出したと判断。しかしこの次点では敵は誰なのかさっぱりわかりません。

落とし穴に落ちたピークとポルコは無事でしたが、井戸のような狭い空間では巨人化出来ず、為す術なし。マーレ軍はこのような穴は戦士を拘束する仕掛けとしていくつか用意してあるようです。

ピークはノッポの兵士のついて心当たりがあるようですが、「マーレ軍なのか…単独犯なのか…」というセリフから察するに、自分たちをハメる相手の候補としてマーレ軍もありえると考えているようです。

エレンとライナーの会話

仲間に送っていた手紙

エレンが損傷した足を元に戻す姿を見て騙されていたことに気づくファルコ。尊敬して影響されてまくっていただけにショック倍増です。

さらに、エレンが仲間へ送る手紙を運ばされていたことも判明。今この事態を招いたのは他ならぬ自分自身。3倍ショックです。

純粋な気持ちを踏みにじられた挙げ句、まんまと敵に協力していた事実を知り崩れ落ちるファルコ…。

悟っているエレン

絶妙な表情でいったい何を考えているのかよくわからないエレンですが、とりあえず場の空気を完全に支配しています。

落ち着いた態度で、静かに、淡々とライナーに問いかけるエレン。

なぜ母さんは巨人に食われた?なぜ壁を破壊した?お前ら任務とは?

ライナーは萎縮して全部バカ正直に答えます。先生に怒られている中学生のようです。

「…そうか 世界を救うためだったら そりゃあ 仕方ないよなあ…」

全然仕方なくないですよね。この言い方。怖いです。…ファルコも言葉を失います。

ライナーは何と返せば良いのかわからず、巨大樹の森での会話を引っ張ってきます。

「お前らが出来るだけ苦しんで死ぬように努力する」って、そのために来た?違う?違うか…

エレンは一瞬戸惑い、照れくさそうに首を掻き、「そんなこと言ったっけ?忘れてくれ」

絶対忘れてないですよね、これ。でも、もはやそんな過去の個人的な恨みなどに執着している様子はありません。

…?

え…じゃあ何しに来たの?

ライナーとファルコはもう訳がわかりません。だけど緊張感だけはどんどん高まっていきます。

めちゃくちゃ大人になったエレンに対してライナーだけ時間が止まっている感じになってなんだかこっちが辛くなってきます。同窓会で話が合わない友達みたいです。

ライナー…お前と同じだよ…

そして、おもむろにまた語り始めるエレン。

シガンシナ区の壁が壊されたあの日、故郷を奪われ、母を奪われ、なぜそんなこが起きるのか、なぜ自由を奪われなければいけないのか、わからなかったエレン。

ライナーがパラディ島でそうしたように、エレンもまた敵だと思っていたマーレに潜入して敵と寝食を共にしたことで、理解したのです。

「海の外も、壁の中も、同じだ」と、あえてまだ子供のファルコに向かって言います。

ライナー…苦しかっただろう?

しかし、マーレの戦士たちはパラディ島のエルディア人は悪魔がいて、大陸のエルディア人や世界の人々を脅かすのだと教えられてきました。

そんな洗脳教育を受けた子供が、あのときのライナーが、あの環境と歴史を相手に、何かか別な方法を模索する術はあったのか。エレンたちを苦しめないで済む道なんてあったのでしょうか。

エレンはライナーに理解を示します。

ライナーの本当の気持ち

しかし、ライナーはその場にひざまずき、感情をあらわにして否定します。

時代や環境のせいではなく、すべては自分が英雄になりたいがために周囲を巻き込んで突き進んだことが原因だった。エレンの母親が巨人に食われたのも自分のせいなのだと告白します。

もう殺してくれと嘆くライナーに、目を見開いて驚くエレン。悲しんでいるでもなく怒っているでもなく、しかし哀れんでいるわけでもない、絶妙な表情です。

ライナーがこのタイミングで独白し弱気になっていることが意外だったのでしょうか。

エレンの宣戦布告

「もうわかったから」とライナーに手を差し伸べて起こしたエレン。

ライナーと手を取り合ったまま「敵を駆逐するまで進み続ける」と告げ、巨人化。

ヴィリー・タイバーの演説と同時に宣戦布告。

勢いそのままにヴィリーを切り裂いて、つづく。

気になるコマやセリフ

やっぱりオレは…お前と同じだ。の意味

エレンはライナーとの会話の終盤で「やっぱりオレは…お前と同じだ」と言います。

なぜなら、自分で選んだ道を進み続けているからです。しかも地獄の道を。

そして、それが嬉しいというかライナーに共感しているんだと思います。

エレンは「自分は生まれつきこうなんだ」とこれまでに何度も口にしています。

病院でファルコにも言ってました。

ほとんどのやつは他人や環境に背中を押されて地獄に突っ込む。しかし、自分で自分の背中を押した奴の見る地獄は別だと。

そして今回の地下室の会話で、ライナーは後者の「自分で地獄を選ぶ奴」だとはっきりしたのです。

「仕方なかったってやつだ」とか、洗脳教育のネタを振ってもライナーは全然食いつきませんでした。むしろ最後には全力で否定してます。

そしてパラディ島での行動を「時代や環境のせいじゃなく自分が英雄になりたかったからやったこと」だと泣きながら打ち明けました。心からの叫びでしょう。

だからエレンはライナーを自分と同じだと言うのです。

「だよね。そうだよね、じゃ俺もやるわ」みたいな、戦う前の確認というか、景気づけというか、そんな役割もあるじゃないでしょうか。

エレンの察する能力

エレンの「その通りだ」というセリフ。ヴィリー・タイバーの演説の内容に対して係っているのですが、同時にファルコの心の中を読んでいるように見えます。

実際、次のコマでファルコは心を読まれたと思い目を見開いて驚いています。病院での会話のときも、ファルコが戦士にさせたくない相手のことを女の子だと言い当てたり、エレンは何かを察する能力を身につけているようです。

具体的な設定云々ではなく、感覚が非常に鋭くなっている、という感じでしょうか。

ドラゴンボールでは、宇宙船の100倍重力で修行した悟空がクリリンの頭を触っただけで記憶を探ることが出来るようになりました。そのとき悟空はなんか知らんができるような気がした、と言っています。

エレンも90話で無垢の巨人を触って「俺たちの同胞だ」と言う描写がありました。なんとなく「こうやったら出来る気がする」という感じなんだと思います。

ジークの目的はエルディア人の根絶

ヴィリーの演説の後半、

「エルディア人の根絶を願っていました」

の直後のコマは眼鏡の曇ったジーク。

ジークの狙いは_エルディア人の根絶_であると予想出来ます。

エレンの進撃決意の瞬間

ヴィリーの演説の後半、

「私がこの世に生まれてきてしまったからです」にエレンが反応。

そして、「パラディ島の悪魔!!共もに戦ってほしい!!」の後は笑顔のような絶妙な表情の後、目を閉じて決心がついたような顔になります。

巨人化しようと思えばいつでも出来たはずのエレンが最後まで待っていたのは何か理由があるはずです。

ライナーへの「お前と同じだ」と合わせて、ヴィリーの「生まれてきたから」が巨人化して戦うことを決めたきっかけになっていると思われます。

戦鎚の巨人の正体は?

演説中、ヴィリーがステージの袖を見て、「これがお前を犠牲にした俺のけじめ」だというコマがあります。

作中で犠牲とは、巨人を継承を意味していますので、おそらく真ん中の黒いドレス(?)に白いエプロン(?)を着用した女性が戦鎚の巨人継承者ということになります。

単行本、別冊マガジン掲載時の情報

タイトル

第100話「宣戦布告」

Declaration of War
公開
別冊少年マガジン:2018年1月号
発売日:2017年12月9日()
コミックス
発売日:2018年4月9日()

サブタイトル「宣戦布告」の意味

ヴィリーとエレンの宣戦布告。

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