フロック・フォルスター Floch Forster

104期訓練兵団卒業生。

フロックという名前の由来は、「まぐれあたり」の fluke と「群れ・群衆」の flock をかけていると思われる。

初登場時は、ウォール・マリア最終奪還作戦の直前、世間の楽観ムードに乗っかり駐屯兵団から調査兵団に編入してきた生意気な勘違い野郎のモブキャラ新兵の1人(flock)に過ぎなかったが、獣の巨人の投石を逃れて奇跡的な生還(fluke)を果たし、一躍時の人となる。

マーレ編突入以後はエレンの地鳴らし実現をサポートするために暗躍。パラディ島兵団に反発するイェーガー派のリーダーとして存在感を示す。

初めて名前が明かされたのは84話「白夜」のとき

初登場は17巻70話「いつか見た夢」。食堂でマルロが雷槍(この時点では名前など詳細は明かされていない)について熱く語っている場面。

駐屯兵団時代の仲間と思われる2人と共にジャンに馴れ馴れしく話しかけてくる。このときお互い知っているような風で会話をしているが名前は呼ばれない。

シガンシナの決戦中もマルロやリヴァイに叱咤される場面があるがモブキャラ扱い。

21巻84話「白夜」にて、リヴァイと口論するエレンの口からようやく フロック の名前が出てくる。

一般大衆の モブキャラ(flock)奇跡の生還(fluke) を果たしてついに floch を襲名した、という流れが美しい。

そして、フロックがすごいのは彼のサクセスストーリーがここで終わらないことである。エレンがそこまで見通して名前をつけたのかと思うほど。

悪魔を蘇らせる物語

進撃の巨人は名前ありのいいヤツでも、いやむしろそういうナイスガイほどあっさり退場する。

それに対し、フロックのようないかにも早死にしそうな初期名無しの生意気勘違い野郎が終盤の中ボス級にまで出世するのは実に鮮やかな対比である。

シガンシナの決戦では獣の巨人の投石により次々と兵士が死んでいくのを目の当たりにして完全に戦意喪失。駄々をこねてマルロやリヴァイに叱られる様や、覚悟を決めて特攻を命じるエルヴィンに対する反抗的な態度は本当にイライラさせられる(良くも悪くも)。

囮特攻作戦を強いられ、誇りを感じるどころか恐怖ばかりを植え付けられたことで、ピーピー喚きながら密かにエルヴィンに恨みを募らせていた。そして奇跡の生還をきかっけに悪魔を蘇らえることが自分の使命であると考えるようになる。

瀕死のエルヴィンを担いで巨人化薬注射を持つリヴァイの元まで連れてきたのは、あくまでもエルヴィンに生き地獄を味わわせたかったからである。そのためリヴァイがアルミンを生かしエルヴィンを死なせる判断をしたことに最後まで不満を隠さなかった。

マーレ編突入以後、おとなしく兵士として義勇兵の監視をしていると思ったら、エレンが世界を滅ぼす悪魔に成り得ると察知し、スイッチが入ってしまった。「悪魔再生」の使命を思い出したのか、眠たそうな目が一気に影を帯びて鋭くなる。

レベリオ襲撃では無闇やたらに建物に火をつけ、民間人への被害も顧みない。

パラディ島帰還後はイェーガー派を率いて世論を誘導したり、ザックレー総統暗殺、ジークの脊髄液入ワインによって兵団を内部から破壊(イェレナ主導とはいえ過剰にやっている節がある)、シャーディス教官の集団リンチ等々、傍若無人の大活躍。

地鳴らし発動後はまるで国王にでもなったかのように、独善的な振る舞いを始め、見せしめに義勇兵を射殺したり、イェレナとオニャンコポンを公開処刑しようとしたりした。

アルミンらの裏切りを察知すると、真っ先に港を占拠しキヨミを人質に取るなど的確な判断と迅速な行動を見せる。

パラディ島を守るためなのか、悪魔を復活させてその行く末を見守るためのなのか、どちらかわからないが、恐ろしいバイタリティを見せつけてくる。ハンジやアルミンがなかなか決断を下せずもたもたしていることも相まって余計目立つ。

129話「回顧」にて、港の戦いでガビに撃たれ海に沈んで消息不明になる。

132話「自由の翼」では、なんとそのまま船にしがみついてバレずにマーレのオディハまで到着していたことが判明。離陸を阻止するために銃で飛行艇に穴を開けるもそれが最後の抵抗となり、ミカサが発射した立体機動装置のアンカーが喉に突き刺さり死亡。

どんな思いで行動していたのか、ハンジ達のことをどう思っていたのか、影でどれだけ悪さをしたのか、結局最後は何を言いたかったのか、色々気になることを残して退場してしまった。

彼に名前がついた瞬間から悪魔再生物語は始まってしまったのかもしれない。

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