62話「希望の扉」(Final 3話)
ライナーの回想でマーレの戦士たちの過去が描かれる回。第1話につながる重要なシーンが登場。
ライナーの苦悩がより強く印象付けられ、本格的に不穏な空気が漂い始めます。
原作でいうと?
- 23巻94話「壁の中の少年」後半部分
- 24巻95話「嘘つき」後半部分
- 24巻96話「希望の扉」一部
- 24巻97話「手から手へ」一部
冒頭(オープニング前)
- 回想(ライナー): ライナーが寝ながら母の話を聞いているところから壁を隔てたパラディ島の少年エレンと少年アルミンのシーンまで
23巻94話「壁の中の少年」の後半部分
Aパート
- 回想(ライナー): 知性巨人紹介部分から始祖奪還計画開始、マルセルがユミルの無垢巨人に食われてライナーたちが逃げ出すまで
24巻95話「嘘つき」の後半部分
- 回想(ライナー): ウォール・マリア破壊から訓練兵団入団まで
24巻96話「希望の扉」
Bパート
- 回想(ライナー): 開拓地で自殺したおじさんが子供を置いて巨人から逃げた話
- 回想(アニ): アニとケニーの絡みか
- 回想(ライナー)&現在: エレンを励ます兵士ライナー、ライナーの自殺未遂
- ファルコと負傷兵との会話
24巻97話「手から手へ」の前半部分。
現在公開可能な情報
戦士候補生
『悪魔』であるエルディア人の少年少女から構成された少年兵隊部隊。
マーレ軍監視の元、過酷な訓練を受け、その成績、素行、技術、人格、国家への献身などの評価項目より選別される。
九つの巨人は「エルディア人」にのみに継承されるため、『悪魔』でありながら、国防を担うエルディア人は必須の存在であり、そのため戦士に選ばれたエルディア人と、その一等親の親族は「名誉マーレ人」の資格を得ることが出来る。
カットされたシーン
アニメ62話のタイトルは「希望の扉」であるにもかかわらず、原作96話「希望の扉」はかなり端折られています。
ウォール・マリア破壊のシーン
アニメではかなりあっさり片付けられたウォール・マリア破壊ですが、原作ではかなり濃厚に描かれています。
マルセルを失ったライナーたちが作戦続行を決めた後、巨人化したアニがライナーとベルトルトを肩に乗せて壁間際まで走って移動します。これは本来マルセルと交代でやる予定だったものを1人で進んだため、アニは激しく体力を消耗してしまいました。
このとき女型の巨人の「叫びの力(?)」によって無垢の巨人を呼び寄せているのですが、これは壁内に大量の巨人を侵入させることで混乱状態を作り、そのスキをついてライナーたちが大衆に紛れ込むためです。
6巻23話「女型の巨人」でアルミンがシガンシナ区に無垢の巨人が大量に出現したのは女型の巨人が呼び寄せたのだと予想していましたが、それが正したかったことが判明する場面でもあります。
絶妙なのが、女型は遠くの巨人を呼び寄せることができないという設定です。そのため、壁に到着してから巨人を呼び寄せるわけにもいかず、道中まとまった数の巨人を見つけたら随時呼び寄せなければならなかったであろうと思われます。
大量の無垢の巨人と近い距離で行動することは、知性巨人といえどリスクが高いです。ライナーたちはスムーズに壁を破壊して避難しなければならないので非常に緊迫感があります。
ついにウォール・マリアが見えるところまで到達した一行。シガンシナ区の外門は彼らにとってまさに「希望の扉」でした。
ここで疲弊したアニに代わってライナーが運搬役に。ベルトルトは目の前に立ちはだかる壁の大きさに不安を感じながら巨人化し、壁の中のエレン、アルミン、ミカサの姿をはっきりと捉えつつも、心の声などは一切ないままに扉を破壊。このときベルトルトは何を思っていたのか…想像が膨らむ名シーンです。
無垢の巨人に追いつかれたライナーはアニを守りつつ、必死に応戦。なんとか無垢の巨人を振り切って仕事を終えたベルトルトを回収しようとしますが、1体の巨人が目前に迫っています。それがエレンの母を食ったダイナ巨人でした。
死を覚悟したベルトルトでしたが、ダイナ巨人はなぜかスルーし、一直線にカルラの元へ向かって行きます。ライナーは急いでベルトルトを救出して壁の上に避難し、2人を置いて内門破壊へ。
家族で暮らす夢が破れても、戦士として世界を救う決意をしたのもつかの間、マルセルから自分は戦士になる予定ではなかったことを打ち明けられ、その上マルセルを失うという超踏んだり蹴ったりの展開の中、それでもこの生きる意味を見出そうと必死に足掻くライナー…。
一連のシーンのBGMは「YouSeeBIGGIRL/T:T」※1 だと盛り上がるなあ、などと放送前は随分大層な妄想をしていたのですが、正直ちょっと拍子抜けでした。完全版の発売を期待します。
とはいえ、このあたりのエピソードは新情報がほぼないのでカットされるのもやむを得ない気がします。伏線回収という意味でも、他の描写で十分補っていると言えるでしょうし。
逆に、これだけ猛スピードで駆け抜けていながらダイナ巨人がベルトルトをスルーした場面がきっちり挿入されていたということは、あそこは非常に重要だということの裏付けになると思います。
※1. アニメ31話(2期6話)「戦士」でライナーとベルトルトの正体が明かされ、エレンの「この裏切りもんがああああ」につながる場面で流れていた曲
とはいえ
シガンシナ区の壁破壊はたしかに重要な出来事です。しかし進撃の巨人という物語全体を見たときに、あまりライナーやベルトルトだけに気を取られ過ぎるのも良くないかなと思ったりします。
女型の叫びカット
無垢の巨人を壁内に流し込むために女型の叫びが必須なのでしょうか?
もしそうだとすると、トロスト区攻防戦のときもアニが巨人化して無垢の巨人を呼び寄せていなければならなくなります。しかし恐らくあのときアニは巨人化していません。
その辺をぼやかすために、今回のアニメ62話では女型の叫びがカットされたのかな、などと思いました。
それでもやって欲しかったですが…。
ライナーと104期の戯れ
原作ではライナーがエレンとジャンの喧嘩を止める場面があります。
これによってアニの「あんたらの友達は大勢死ぬね」の発言の重みが増します。
アニの潜入調査~トロスト壁破壊への流れ
ライナーたちが壁内に潜入してから訓練兵団に入団するまで2年の空白期間があります。
この間、彼らは壁内の調査を続けていました。機動力のある女型の巨人アニがちょくちょく王都周辺を嗅ぎ回っていたのです。
ライナーとベルトルトは動けないのでもっぱら開拓仕事に従事(エレン、アルミン、ミカサも同様)。
この2年間の調査で、
- フリッツ王が偽物であり、本当の王は別にいること
- 始祖の巨人の力が及ばない他人種系エルディア人が中央を仕切っていること
といった、かなり重要な情報を掴んでいました。
そして、さらに中央憲兵に接近することを計画したのですが、ケニーに遭遇してしまったのでアニが壁内調査を諦めることになった、という流れになります。
だからライナーたちは思い切ってトロスト区の壁破壊に踏み切ったのです。
ライナーの自殺未遂シーン
原作ではライナーの自殺未遂シーンは現在の場面にオーバーラップする形で、思い悩むエレンを自分と重ね、トロスト区壁破壊の決行、マルコ殺害、ソニー&ビーン殺害、正体バレ、ウォール・マリア最終奪還作戦時…と走馬灯が流れる粋な演出になっています。